「ミスター・オオタニは被害者」:米連邦検察が大谷翔平選手の専属通訳だった水原一平氏を訴追

メジャーリーグを揺るがす一大スキャンダル
大谷選手を巻き込み大騒動に
違法賭博に厳しいメジャーリーグ
何も知らなかった大谷選手
米連邦検察が水原氏を起訴
事件はソウルで発覚
当初、ウソの説明をした水原氏
代理人や財務顧問もいたが……
「事実上のマネージャー」
英語の教科書に取り上げられる予定だったが……
大谷選手の被害額はいくら?
野球賭博ではなかった
「署名保証金」制度で保釈
具体的な保釈条件
最長30年の禁固刑
プレーに専念する大谷選手
メジャーリーグを揺るがす一大スキャンダル

「二刀流」のプレーヤーとしてメジャーリーグで異例の活躍を見せる一方、元バスケットボール選手の田中真美子さんとの結婚を発表するなど、スタジアムでもプライベートでも順風満帆だった大谷翔平選手。ところが、専属通訳だった水原一平氏の違法賭博が発覚し、事態は一変してしまった。

 

大谷選手を巻き込み大騒動に

しかも、莫大な額の賭け金が大谷選手の口座から胴元へ送金されていたと判明し、一時は大谷選手本人も賭博に関わっていたのではないかと邪推する声まで挙がっていた。

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違法賭博に厳しいメジャーリーグ

また、本人が直接関与していなくとも、水原氏の賭博を知りながら支払いの肩代わりをしていた場合には、大谷選手にも重い処分が下される可能性があったのだ。実際、数々の記録を打ち立てながら、野球賭博に手を染めたため球界を永久追放されてしまったピート・ローズ選手という前例もある。

何も知らなかった大谷選手

しかし、大谷選手本人は一貫して違法賭博への関与を否定。水原氏が自分の口座から胴元に送金していたことについても知らなかったと説明した。

米連邦検察が水原氏を起訴

さらに、『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、事件の捜査にあたっていた米連邦検察は4月11日に「ミスター・オオタニはこの事件の被害者だと見なされる」と述べ、水原氏を銀行詐欺の容疑で起訴したと発表。捜査当局が大谷選手の主張を裏付ける説明を行ったことで、野球ファンは一安心することとなった。

写真:今回の事件について会見を行うマーティン・エストラーダ連邦検事(写真右)

事件はソウルで発覚

そもそも、この事件が発覚したのはソウルで行われたMLBワールドツアー開幕戦でロサンゼルス・ドジャースが連勝を収めた直後のことだった。このとき水原氏はチームメイトたちの前で、はじめて自らの違法賭博を打ち明けたのだ。

当初、ウソの説明をした水原氏

しかし、スポーツ専門チャンネル「ESPN」によれば、水原氏は当初、賭博によって負った借金を大谷選手に肩代わりしてもらっていたというウソの説明を行ったようだ。ところが、大谷選手にとってこれは寝耳に水だった。本当は水原氏から何も知らされていなかったのだ。

代理人や財務顧問もいたが……

ESPNによれば、大谷選手は捜査当局に自分の携帯電話を預けて捜査に協力。問題の口座については、代理人のネズ・バレロ氏や財務顧問チームが管理しているものだと思い込んでいたと説明したそうだ。

写真:大谷選手(写真右)と代理人のバレロ氏(左)

「事実上のマネージャー」

けれども、実際にその口座を握っていたのは水原氏だった。ESPNいわく、水原氏は大谷選手の代理人や財務顧問に対し、大谷選手が口座をプライベートにしておくことを望んでいるとウソをつき、自らが「事実上のマネージャー」になっていたのだ。

英語の教科書に取り上げられる予定だったが……

もともと、水原氏は好感度が高く、マスコミ受けがよいことで知られていた。『朝日新聞』によれば、中学3年生用の英語教科書に「成功を支える人々」の例として取り上げられる予定になっていたという。ところが、実は人知れずとんだ悪事を働いていたのだから、まったく驚きである。

大谷選手の被害額はいくら?

さて、思いがけぬ大事件に巻き込まれてしまった大谷選手だが、これによって生じた被害額は一体どのくらいに上るのだろう? これについて、『ワシントン・ポスト』紙は米連邦検察の発表を引用し、水原氏が大谷選手の口座から1,600万ドルあまりを盗み出したと報道。当初は450万ドルとされていたものが、3倍あまりに膨れ上がってしまったことになる。

 

野球賭博ではなかった

ちなみに、メジャーリーグの声明によれば「捜査では水原氏が野球賭博を行っていたという証拠は見つからなかった」とのこと。つまり、水原氏の違法賭博は野球に関するものではなかったというのだが、果たして本当だろうか……

「署名保証金」制度で保釈

さて、一時は当局によって身柄を拘束されていた水原氏だが、ESPNによれば、2万5,000ドルの「署名保証金」ですでに保釈されたとのこと。これは保釈条件に違反した場合にのみ、2万5,000ドルの支払い義務が生じるということであり、保釈にあたって水原氏がこの額を支払ったわけではない。

具体的な保釈条件

では、具体的な保釈条件はどのようなものなのだろうか? ESPNはこれについて、事件の被害者や証言者と接触しないこと、ギャンブルを行わないことなどが含まれていると報道。さらに、ギャンブル依存の治療に取り組むことも求められたというが、これについては本人も積極的に望んでいるようだ。

最長30年の禁固刑

さて、気になるのは水原氏に科される量刑だろう。ESPNは同氏が銀行詐欺罪で有罪となった場合、100万ドル以下の罰金のほか、最長30年の禁固刑が言い渡される可能性があるとしている。ただし、司法取引が成立すれば、刑期が短縮されることもありうるようだ。

プレーに専念する大谷選手

一方、大谷選手への影響はどうか。一連の騒動がプレーの妨げになってしまうのではないかという懸念が生まれるのは当然だ。しかし、NHK放送は4月18日、大谷選手が2試合連続で複数安打を放ったと報道。信頼していた相棒の裏切りを物ともせずに、調子を上げつつあるようだ。この勢いで今シーズンも大活躍を見せてくれることを期待しよう。

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