「世界一リッチなテニス選手」、ニューヨーク出身ジェシカ・ペグラとは
昨今の女子テニス界を代表するスター選手、ジェシカ・ペグラ。輝かしいキャリアに加え、実は生い立ちも異次元だ。そこで、今回はジェシカ・ペグラがコート内外で辿った道のりを見てゆくことにしよう。
ペグラは1994年2月24日、ニューヨーク州バッファローで誕生した。
ペグラの両親、テリー&キム・ペグラはNFLチーム「バッファロー・ビルズ」とアイスホッケーチーム「バッファロー・セイバーズ」のオーナーだった。というのも、父のテリーは天然ガス開発や不動産事業で財を成した億万長者なのだ。
『フォーブス』誌の見立てによれば、テリー・ペグラの純資産は推定68億ドル。ジェシカ・ペグラが「世界一リッチなテニス選手」と呼ばれるゆえんだ。
しかし、ジェシカ本人はその異名をあまり気にしてはいないようだ。実際、ウィンブルドン選手権の記者会見では「ええ、事実ですから…… 別に気になりません。もちろん、そんな風に言われずに済むのであれば結構でしょうが、気にしているかと言えばそんなことはありません。でも、どのくらい財産があるかなんて他愛ない話だと思います」とコメントしている。
ジェシカの母はソウル生まれだが、幼い頃に米国人夫婦の養子になったという経緯を持つ。また、ジェシカにはケリー、マシュー、マイケル、ローラという4人のきょうだいがいる。
ジェシカのプロ入りは2009年。2011年にはワイルドカード(主催者推薦枠)で全米オープンのダブルスに出場、グランドスラムデビューを果たした。そして、初の大舞台で3回戦進出という快挙を成し遂げたのだ。
しかし、シングルスでグランドスラムに出場することができたのは2015年になってから。このときは全米オープンの本戦まで勝ち進んだが、2回戦で敗退してしまった。
ジェシカがはじめてシングルス決勝に挑んだのは、2018年のクープ・バンク・ナショナル(ケベック・シティー)だ。結果はポーリーン・パルマンティエに敗れ準優勝だった。
しかし、その後も着実にランキングを上昇させていったジェシカ。2019年にはついにトップ100入りを果たし、全仏オープンとウィンブルドン選手権でデビューを飾ることとなった。
さらに同年、ムバダラ・シティDCオープン(ワシントンD.C.)でカミラ・ジョルジ(伊)を破り、WTAシングルスで自身初となる優勝カップを手にした。
続く2020年にはASBクラシック(オークランド)で準優勝を果たし、全豪オープンにも初出場するなど、幸先のよいスタートを切る。
さらに、2020年の全米オープンでジェシカはシングルスにおける新たな一歩を踏み出す。初めてグランドスラム3回戦に進出したのだ。ジェシカにとって、女子テニス界の頂点を目指す戦いはここから始まることとなった。
2021年の全豪オープンでは準々決勝に進出し、グランドスラムにおける自己ベストを記録してトップ50入りを果たす。
その後も順調な活躍を見せたジェシカは、世界ランク18位でシーズンを終えた。
以降、ジェシカは快進撃を続け、女子テニス界に旋風を巻き起こしてゆく。2022年のグランドスラムでは3度にわたって準々決勝に進出。グアダラハラ・オープン・アクロン(メキシコ)で自身初となるWTA1000トーナメント優勝を果たした。一方、ダブルスではコリ・ガウフ(米)とペアを組んで全仏オープン決勝戦に挑んだが、敗れている。
また、2022年にはWTAファイナルズにも出場。シングルスで世界ランク3位、ダブルスで6位という素晴らしい成績でシーズンを終えた。
ところが同年、ジェシカの母が心停止で入院。一家に激震が走る。AP通信が2023年7月に伝えたところによれば、一命は取り留めたもののいまだリハビリ中で、後遺症に悩まされている模様だ。
2023年に新設されたユナイテッド・カップ(男女混合の国別対抗戦)では、世界ランク1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)を破るなど活躍を見せ、米国の優勝に貢献した。
これで自信をつけたジェシカは、2023年のグランドスラムで2度にわたる準々決勝進出を果たし、ナショナル・バンク・オープン(モントリオール)で優勝したほか、ダブルスでも世界ランク1位に登りつめる。
一方、私生活では2021年にテイラー・ガハゲンと結婚。
また、2016年には妹のケリーとレストラン事業に乗り出し、速さがウリの「The Healthy Scratch」をオープン。その後も店舗を増やしていったが、2022年5月には事業から撤退してしまった。
他方、スキンケア事業にも参入し、オリジナルブランド「Ready 24」を立ち上げている。
ジェシカは女子テニス専門サイト「wtatennis.com」に対し、「私は成長期の間、ずっと肌のトラブルに悩まされてきました。数えきれないほど色々試してみましたが、いつも効果があるとは限りませんでした。あまりやりすぎると、肌の調子がおかしくなってしまうんです」とコメント。
ジェシカいわく:「だから常々、どうすれば効果があるのが突き止めたいと思っていました。みんなそうでしょうが、即効性のある方法を探していたんです」
すでに輝かしいキャリアを積み上げてきたジェシカ・ペグラ。しかし、グランドスラムでのさらなる活躍を目指し、今後も努力を続けてゆくことだろう。