「天才ウォーターマン」カイ・レニー、ハワイの大会で頭部を負傷

ウォータースポーツの天才
ハイドロフォイル・サーフィンの先駆者
ハワイ諸島の海峡を渡る
地球環境保護活動
導師(グル)のような存在
「加速しようと力めば力むほど、逆にスピードは落ちてしまう」
ハワイの文化に親しむ
ビッグウェーブ・サーフィン
類まれなサーフ・テクニック
26歳で異例の殿堂入り
成功の秘訣
2024年1月の事故
ヘルメットに大きなひび
パイプラインは非常に危険なサーフスポット
「自分にできることはなんでも」
ウォータースポーツの天才

ハワイ・マウイ出身のカイ・レニーは天才ウォーターマンとして知られており、あらゆるタイプのサーフ・スタイルを極めている。ビッグウェーブ・サーフィン、SUP(スタンド・アップ・パドルボーディング)、ウインド・サーフィン、カイト・サーフィン、そしてハイドロフォイル・サーフィンなどだ。

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ハイドロフォイル・サーフィンの先駆者

ハイドロフォイル・サーフィンとは、サーフボードが水面から少し宙に浮いた状態で行うサーフィンである。ボードの下に水中翼(ハイドロフォイル)が取り付けられており、それがボードを浮かすのだ。カイ・レニーはそのサーフィンの先駆者のひとりと見なされている。

ハワイ諸島の海峡を渡る

サーフィン情報サイト「SurferToday.com」によると、カイ・レニーはそのフォイル・サーフボードとカイトボード、そしてSUPボードに乗り、数多くの島からなるハワイ諸島の主要な6島のすべての海峡を渡るという快挙を成し遂げた。2017年4月のことである。

地球環境保護活動

そのチャレンジは、4月22日の「アース・デイ」に合わせて行われた。地球環境保護のために行動を起こす日のことだ。カイ・レアーの海峡横断チャレンジには、プラスチックによる海洋汚染とマイクロプラスチック(5ミリメートル以下の微細なプラスチックごみ)の危険性について、人々の意識を高めるという目的があったのだ。

導師(グル)のような存在

そのような活動もあり、地球環境についてコンシャスなアスリートとして人々の尊敬を集める一方、とくにサーファーたちにとってカイ・レニーはいわば導師(グル)のような存在になっている。なぜならその精神は研ぎ澄まされ、尋常ならざるセルフコントロールの能力を持っており、自身の感情もよく把握しているからだ。命が脅かされるような極限の状況にあっても平静さを失わないという彼の特質は、多くのサーファーたちが真似したくとも真似できないものである。

「加速しようと力めば力むほど、逆にスピードは落ちてしまう」

彼はあるインタビューでこう語っている。「サーフィンにおいて重要なのは、リラックスすることです。加速しようと力めば力むほど、逆にスピードは落ちてしまいます。足の力を抜いてやる。そうすればうまくいきます。それ以外の道はありません」

ハワイの文化に親しむ

カイ・レニーは1992年10月8日、ハワイのマウイ島で生まれた。ごく自然の成り行きとして、彼はさまざまなマリンスポーツに取り組むことになった。一言で言うならハワイの文化に親しんだのだ。サーフィンもすぐに覚え、めきめきと頭角を現していき、地元のサーフィン大会で名を知られるようになる。しかし彼が追い求めていたのは、大会の優勝よりずっとスケールの大きな、そしてずっと素晴らしいものであった。

ビッグウェーブ・サーフィン

カイ・レニーが心を引かれたのは、ビッグウェーブ・サーフィンだった。マウイ島の「ジョーズ(ペアヒ)」、北カリフォルニアの「マーヴェリックス」、タヒチ島の「チョープー」、ポルトガル「ナザレ」の危険きわまわりない大波を、彼は一つずつ征服していく。

類まれなサーフ・テクニック

彼のサーフ・テクニックについて特筆すべきポイントは、舵取りの正確さにある。まるで優れた外科医がメスをさばくように、波の複雑なうねりの上でボードを巧みに操ることができるのだ。それはビッグウェーブに挑むときにも変わらず、終始上品さを失うことなく、優雅に折り目正しく乗りこなす。傍目にはじつに簡単なことをしているように見えてしまう。

26歳で異例の殿堂入り

カイ・レニーはSUPも得意としており、2012年に初めて開催されたSUP世界選手権では、若干19歳でレース部門のワールドチャンピオンになった。2017年にはメキシコで開催された「ビッグ・ウェイブ・ツアー」で優勝、2019年に26歳で異例の殿堂入りを果たすと、2020年には「ナザレ・トウ・サーフィン・チャレンジ」で優勝した。

成功の秘訣

そのような成功の秘訣について、彼は「レッド・ブル」公式HPのインタビューでこう語っている。「秘密と呼べるほどのこともないんだけれど、息止めトレーニングを毎日欠かさず続けること、これが肝要なんだ」

2024年1月の事故

しかし、天才ウォーターマンも事故とは無縁ではなかった。2024年1月4日、オアフ島ノースショアのパイプラインで開催された恒例のコンテスト「ダ・フイ・バックドア・シュートアウト」のSUP部門に出場したとき、ワイプアウトして(ボードから落っこちて)頭を強打してしまったのだ。

ヘルメットに大きなひび

『サーファー・マガジン』誌によると、ワイプアウトしたカイはまっさかさまに、剃刀のように鋭いリーフの天辺へと墜落してしまった。その衝撃たるや凄まじく、着用していたヘルメットには大きなひびが入り、頭は強烈な脳震盪を起こし、耳からは血が出たという。

パイプラインは非常に危険なサーフスポット

オワフ島ノースショアのパイプラインでは2023年にも危険な事故が発生している。『サーファー・マガジン』が指摘しているように、ジョアン・チアンカは一時意識不明となったし、エイメオ・チェルマクも大怪我をして病院送りとなった。パイプラインは非常に危険なサーフスポットなのだ。

「自分にできることはなんでも」

事故の後、カイ・レニーはリハビリを慎重に進めている。サーフィンはすでに再開しているが、頭部の治療はまだしばらく継続中である。彼は『サーファー・マガジン』に次のように語っている。「パイプラインで頭部に怪我を負ってからというもの、僕は自分にできることはなんでもやっている。元の感覚を取り戻し、そして前よりもっとうまくなりたいからね。この頭の怪我はまず間違いなく僕史上最悪の怪我だよ」

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