五輪アスリートの経済問題:メダルを獲得しても「家賃を支払ったら何も残らない」

20年ぶりにメダルを獲得した米代表
困窮するアスリートたち
チームは資金不足
スター選手なら話は別だが……
ラミレス選手の場合
「家賃を支払ったら何も残らない」
SNSで収入を確保
「主な仕事はSNS」
再生回数は3億5,000万回
フルタイムでスポーツに打ち込むため
2020年に行われた調査
五輪メダリストに対する報酬
ラミレス選手のコメント
20年ぶりにメダルを獲得した米代表

2024年パリオリンピックではアーティスティックスイミングで米国代表チームが銀メダルを獲得した。米代表がメダルを獲得するのは2004年アテネオリンピックの銅メダル以来のことで、実に20年ぶりの快挙だった。

 

 

困窮するアスリートたち

しかし、銀メダルに輝いた米代表の一員だったダニエラ・ラミレスが、アスリートの直面する経済的な窮状を訴えている。

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チームは資金不足

20年ぶりのメダル獲得といえば、それだけ長期間にわたって成果を挙げられなかったということであり、同チームはおのずと資金不足に直面していた。そこで、ラミレス選手はスポーツ以外の方法で収入を確保しなくてはならなかったそうだ。

スター選手なら話は別だが……

もちろん、スター選手ならば話は別である。金メダル2つを獲得し、母国から莫大な報奨金を約束されたフィリピン人体操選手のカルロス・ユーロや、スポンサー契約によって何百万ドルもの収入を得ているシモーネ・バイルズといった大物アスリートたちは、当然ながら貧困とは無縁だろう。

 

 

ラミレス選手の場合

しかし、オリンピック選手全員がそのような環境に恵まれているわけではない。実際、ラミレス選手はBBC放送に対し、1日8時間のトレーニングに取り組みながら、家賃を支払うために悪戦苦闘するアスリートの実態を明かしている。

「家賃を支払ったら何も残らない」

ラミレス選手いわく:「家賃を支払ったら何も残りません。(アスリートは)職業としては不十分です。しかし、フルタイムの仕事なのです」カリフォルニア大学ロサンゼルス校で午前6時半から午後2時半までトレーニングに取り組んでおり、これ以外にフルタイムの仕事をする余裕はないそうだ。

SNSで収入を確保

そこで、同選手はトレーニングをしながら収入を確保するため、SNSを活用することにした。Instagramで6万1,500、TikTokで54万7,500人のフォロワーを獲得し、自分自身をブランド化したのだ。

画像:Instagram @Daniellaaramirezzz

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「主な仕事はSNS」

『フォーチュン』誌によれば、ラミレス選手はSNSについてこう語っているそうだ:「今のところ、わたしの主な仕事 —つまり、もっとも収入をもたらす仕事— は間違いなくTikTokやInstagramをはじめとするSNSアカウントです」

 

 

再生回数は3億5,000万回

なかでも、カチカチに固めたアーティスティックスイミング用の髪型をほどく様子を紹介した「ASMR」動画は、3本合わせて3億5,000万回近く再生され、ロレアル・パリをはじめとする大手企業からスポンサー料を受け取れるようになったという。

画像:TikTok @Daniellaaramirezzz

 

フルタイムでスポーツに打ち込むため

ラミレス選手いわく:「SNSならば、自分のスケジュールに合わせて時間のあるときに取り組みつつ、生活費を稼ぐことができるので、フルタイムでスポーツに打ち込めるようになります」

2020年に行われた調査

2020年に、48ヵ国のトップアスリート500人を対象として行われた調査では、対象者の58%が「経済的に不安定」であり、スポーツ以外の副業で生計を立てなくてはならない、と回答している。

 

五輪メダリストに対する報酬

また、国際オリンピック委員会(IOC)がメダリストに賞金を授与することはない。メダリストに対する報酬は各国の裁量に任されており、米国の場合、金メダリストは3万7,500ドル、銀メダリストは2万2,500ドル、銅メダリストは1万5,000ドルとなっている。

ラミレス選手のコメント

ラミレス選手によれば、アスリートとしての挑戦は「4年に1度ではありません。毎日のことです。クリスマスはないし、家にも戻れないので家族も恋しいです。それだけの価値はありますが、本当に過酷なのです」とのこと。

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