競売界のホープ、藤田菜七子騎手が引退:きっかけはスマートフォンの使用
競馬界の紅一点として活躍して来た藤田菜七子騎手(27)。しかし、NHKによれば、日本中央競馬会(JRA)は10月11日に同騎手の免許取り消しと現役引退を発表したとのこと。一体、何があったのだろうか?
事の発端は若手騎手たちの間で相次ぐ、調整ルーム内へのスマートフォンの持ち込みだった。競馬は公営ギャンブルという側面があるため、八百長につながるような行為は厳しく禁止されている。
しかし、スマートフォンはもはや日常の一部になっており、とりわけ若者にとっては手放すことのできないツールだ。そのような状況の中、10月7日には20代の騎手2人が調整ルームでスマートフォンを使用し、騎乗停止処分を受けていたことをNHKが伝えた。
さらに、昨年5月にも若手騎手6人が同様の違反によって、騎乗停止処分を科されていたとのこと。
そして、競馬界きってのスター、藤田奈七子騎手も昨年4月ごろまで調整ルーム内でスマートフォンを使用していたことが発覚。今年10月10日に騎乗停止処分が下ることになってしまった。
『現代ビジネス』誌によれば、藤田騎手は当初、スマートフォンでTwitter(現X)やYouTubeを閲覧しただけで、不正には当たらないと説明していたようだ。しかし、『日刊スポーツ』紙いわく、実は複数の厩舎関係者と通信を行っていたことが判明し、JRAは事態を重くみたようだ。
NHKによれば、藤田騎手は責任を取る形でJRAに引退を申し出たが、同団体は翌日に免許停止の上、現役引退という判断を下したという。
競馬情報サイト「東スポ競馬」いわく、公正さを確保するためには厳罰もやむなしという主張がある一方で、スマートフォンが普及した現状に制度が追いついていないのではないかという意見も出されているようだ。
藤田菜七子騎手は1997年生まれ。2013年に競馬学校に入学し、卒業とともに騎手免許を取得。女性ジョッキーは藤田騎手以前から存在していたが、男性騎手にも劣らない大活躍を見せて日本における競馬会のスターとなったのは藤田騎手が初めてだ。
画像:Instagram @nanako.fujita_official
2018年には通算勝利数を35に伸ばし、JRA女性最多勝利記録を更新。翌年には東京盃を制覇するなど、快進撃を続けた。
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さらに、2019年のカペラステークス(GIII)では、日本の女性騎手としては史上初めて、中央競馬の重賞制覇を成し遂げた。
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その後はケガや病気に悩まされつつも、第一線で活躍を続けてきた藤田騎手。今年7月にはJRA職員の男性と結婚したことを発表し、その後も現役を続ける意向を見せていたが、今回の騒動で突如、引退することになってしまった。