ウクライナの元重量挙げ選手、ロシア軍との戦闘で家族を残して戦死
ウクライナの重量挙げ選手、オレクサンドル・ペレシェンコが亡くなった。オリンピックでも活躍した選手だったが、ロシアによるウクライナ侵攻に始まる戦いで兵士として命を落としたのである。
『ガーディアン』紙によると、オレクサンドル・ペレシェンコは2024年5月5日、30歳で亡くなったという。
ロシア軍によるウクライナ侵攻が2022年に始まって以来、ウクライナのオリンピアンが戦死するのは今回が初めてである。
『ガーディアン』紙によると、ロシア軍がウクライナへの侵攻を開始したことを受け、ペレシェンコはただちに自国の軍に入隊することを決めたという。
ウクライナ・オリンピック委員会はテレグラムのチャンネルを通じて元重量挙げ選手の訃報を伝え、その死を悼んだ:「ロシアによる全面侵攻が始まってまもなく、オレクサンドル・ペレシェンコはウクライナ軍に加わった。そして昨日われわれは、悲しいことに彼の訃報に接することになってしまった」
『ザ・サン』紙によると、ペレシェンコは重量挙げの85キロ級で2016年に欧州チャンピオンになったという。そしてその翌年も同タイトルを獲得した。
ペレシェンコは2016年リオデジャネイロ・オリンピックにおいて、同種目の金メダル有力候補と目されていた。しかし、この大会ではイランのキアヌーシュ・ロスタミが世界記録を更新するなど力を発揮し、ペレシェンコは惜しくもメダルに届かず4位に終わった。
同じくウクライナ代表選手として2022年北京五輪のスケルトン男子に出場したウラジスラフ・ヘラスケヴィチによると、このたびの軍事侵攻によって、同国のプロスポーツ関係者およそ450人が命を落としているという。
同選手がその上で問題とするのは、国際オリンピック委員会の態度である。国際オリンピック委員会は、2024年のパリ五輪について、ロシア選手の開会式への参加は認めないとしたものの、試合出場を認める方針を変えていないのだ。ヘラスケヴィチは次のように糾弾している:「戦争を支持するロシア国籍の選手が国際試合に出場している。どうしてそんなことがあってよいのだろう? 私にはさっぱり分からない。狂気の沙汰だ」
国際オリンピック委員会は現時点で、ロシアとベラルーシ国籍の選手が「中立」の立場でパリ五輪に参加することを認めている。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化の一途をたどる中、その方針に強く反発する声もあがっているのである。