クラブのオーナーになったサッカー選手たち:ベッカム、ロナウド、ピケ……
現役を退いたサッカー選手はピッチの外で新たな道を歩み始める。指導者になるケースが多いが、クラブのオーナーになる例もある。今回はそんなサッカー選手たちを紹介しよう。
レアル・マドリードやマンチェスター・ユナイテッドで活躍したデビッド・ベッカムは、現役引退の翌年にあたる2014年、米プロサッカーリーグ(MLS)のクラブ拡大にともなう新設クラブの共同オーナーになることを決めた。2018年創設のインテル・マイアミCFである。ベッカムは現在同クラブの会長も務めており、2023年にリオネル・メッシをクラブに加入させることに成功している。
ベッカムはさらに、マンチェスター・ユナイテッドFC時代のチームメイトだったポール・スコールズ、ライアン・ギグス、ニッキー・バット、ガリー・ネヴィル、フィル・ネヴィルの5人とともに、サルフォード・シティFC(イングランドEFLリーグ2)の株式を10%ずつ(あわせて60%)を取得。これで彼らは、残りの40%を保有するシンガポールの実業家ピーター・リムと共同オーナーになった。
パオロ・マルディーニもベッカムと同じくマイアミの地で、サッカークラブのオーナーになった。ACミランとイタリア代表で活躍した伝説的センターバックは、実業家のリカルド・シルバとマイアミFCの共同オーナーになったのだ。同クラブは米2部リーグのUSLチャンピオンシップに在籍している。
「銀河系軍団」と呼ばれていた頃のレアル・マドリードでベッカムのチームメイトだったロナウド・ナザリオもまた、オーナーへの道を歩んでいる。それも1つのクラブではなく、2つのクラブのオーナーである。ロナウドが最初に投資したのは2018年のことで、そのときはレアル・バリャドリード(スペイン)の大株主になった。
レアル・バリャドリードのオーナー兼会長になったロナウドは、就任してから2年間で、株式の保有率を51%から72.7%に引き上げることに成功、クラブをしっかりと手中に収めた。そして彼は、ブラジルに目を移し、2021年12月、駆け出しの頃にプレーしていたクルゼイロECのオーナーになった。
元スウェーデン代表のズラタン・イブラヒモヴィッチも投資のチャンスを逃していない。筆頭株主とはいかないが、イブラヒモヴィッチは2019年11月27日からハンマルビーIF(スウェーデン1部リーグ)の株式を23.5%を保有している。ちなみに同クラブの株式の51%は、スカンジナビアのクラブがすべてそうであるように、クラブ会員が保有している。
ジェラール・ピケはFCアンドラ(スペイン3部リーグ)のオーナーをつとめている。自身の会社「コスモス・スポーツ」を通じて2018年に同クラブを買収し、現在は株式の100%を保有している。
2004年から2014年までの10年間、チェルシーFCで大活躍したディディエ・ドログバは、2017年からUSLチャンピオンシップのフェニックス・ライジングFCで共同オーナー兼選手として活躍、2018年に選手を引退した。
現役時代アーセナルFCでチームメイト同士だったティエリ・アンリとセスク・ファブレガスは、2022年にハルトノ兄弟(インドネシアの裕福な実業家)とともに、イタリア・ロンバルディア州のクラブであるコモ1907の少数株主になった。コモ1907はセリエAでプレーしており、現在はセスク・ファブレガスが監督を務めている。
セスク・ファブレガスやティエリ・アンリに似た例として、ジネディーヌ・ジダン、ビセンテ・リザラズ、アラン・ボゴシアンの例があり、彼らはフランスのエヴィアン・トノン・ガイヤールFCの株主になっている。クラブのオーナーはミネラルウォーターの「エヴィアン」で知られるダノングループだが、彼らが株式を購入した当時、クラブはあわや消滅という危機に直面していた。
チリのサッカー史における史上最高のフォワードの一人、マルセロ・サラスは、チリ代表でのイバン・サモラーノとのコンビや、イタリアのSSラツィオとユヴェントスFCでの活躍、そしてアルゼンチンのCAリーベル・プレートでの活躍でファンに記憶されている。2008年に現役を引退、2013年からは地元のクラブ、デポルテス・テムコのオーナー兼会長を務めている。
元日本代表の本田圭佑は、2013年から2017年にかけてACミランで献身的にプレーするかたわら、2015年に300万ユーロを払ってSVホルンの経営に参加した。その後2018-2019年シーズンを最後にSVホルンから撤退、東京を拠点とするクラブ「Edo All United」を2020年に設立している。
元アルゼンチン代表フォワードのマキシ・ロペスは、2022年7月、歴史あるバーミンガム・シティFCの共同オーナーになった。そこに至るまでの折衝は大変に難航したようである。
FCバルセロナ時代にUEFAチャンピオンズリーグで優勝し、FIFAクラブワールドカップ2011でも優勝を経験したダビド・ビジャは、自身の会社であるDV7グループを介して13万ユーロでCFベニドルムを2023年3月に買収した。ビジャがオーナーになったそのシーズン、クラブはスペイン5部にあたるテルセーラ・フェデラシオンに昇格を果たした。
アンドレス・イニエスタがサッカークラブのオーナーになっていた期間は短かった。彼は故郷のクラブ、アルバセテ・バロンピエを救うために一時的に主要株主になったのだ。イニエスタが同クラブの主要株主となってクラブの資金難の危機を救ったのは2011年のことだったが、2017年にはオーナー職を辞した。
2010年、ユヴェントスFCでプレーしていたジャンルイジ・ブッフォンは、自身の会社Buffon & Co.を通じ、地元トスカーナ・カッラーラ州のクラブ、カッラレーゼ・カルチョの大株主になった。同クラブはイタリア3部のクラブだが、当時財政難でアマチュア降格危機に陥っており、ブッフォンはそれを救ったのだ。
イングランドのレスター・シティFCに所属するジェイミー・ヴァーディは、2021年にロチェスター・ニューヨークFCの共同オーナーになった。同クラブは2022年に新しくスタートした米プロリーグ「MLSネクストプロ」の初年度に参加したが、しかし2023年シーズンが始まる前に活動を停止している。
フランス代表のミッドフィールダー、エンゴロ・カンテもまた、クラブを所有する現役選手である。エンゴロ・カンテはベルギー3部のロイヤル・エクセルシオール・ヴィルトンを2023年に買収、ベルギー2部への昇格を目指している。
ハッシュタグ・ユナイテッドFCは2016年にユーチューバーのSpencer Owenによって創設されたクラブで、まずはイングランド10部に参加し、そこからじわじわと成長と昇格を重ねてきた。そのユニークな来歴に惹かれ、当時チェルシーFCの選手だったセサル・アスピリクエタが2018年に共同オーナーとなっている。
フルミネンセFCとレアル・マドリードでの活躍で知られるマルセロ・ヴィエイラは、2017年にアズリズFCを設立、同クラブは2020年にカンピオナート・パラナエンセの1部リーグに昇格している。さらにヴィエイラは2023年にポルトガルのCDマフラを買収、1部リーグへの昇格を目指している。
現役選手がクラブオーナーになった最近の例は、キリアン・ムバッペである。ムバッペは1,500万ユーロを投じ、2024年7月にSMカーン(フランス2部)株式の80パーセントを獲得したのだ。
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