クリスティアーノ・ロナウド史上最高のゴールベスト10
2022年12月30日、欧州ファンの惜しむ声を背にクリスティアーノ・ロナウドはマンチェスター・ユナイテッドを退団、サウジアラビアのアル・ナスルへの大型移籍を発表した。ポルトガル代表FWをつとめるロナウドが、欧州以外のクラブでプレーするのはこれが初めてのことだ。
アル・ナスルへの移籍に関して多くの人が感じた疑問の一つが、サウジアラビア・サッカーリーグにとっては5度のバロンドールに輝いたクリスティアーノ・ロナウドのレベルは高すぎるのではないか、ということだった。この疑問に対する答えは、2023年2月9日の試合で明らかにされた。
この日、ロナウドはアルワフダ(Al-Wehda )戦で4ゴールを決める素晴らしいパフォーマンスでスタジアムに詰めかけた観客全員を魅了した。この活躍によりリーグ戦通算500得点という偉業をも成し遂げている。
数あるクリスティアーノ・ロナウドの偉業から、今回はキャリア史上最高のゴールを取り上げてみよう。ただし、世界中のファンを熱狂させたゴールは数多くあり、その中からベストを挙げることは決して簡単なことではないのだが......
この年、プレミアリーグで苦戦を強いられていたマンチェスター・ユナイテッドは来季のチャンピオンズリーグ出場権への切符を手にするには何としてもトッテナム・ホットスパーを下す必要があった。シーズン始めにマンチェスター・ユナイテッドに加わったクリスティアーノ・ロナウドは、37歳という年齢にも関わらずチームを代表するスコアラーであることを示した。
ロナウドはこの試合でハットトリックを記録、マンチェスター・ユナイテッドは3-2で勝利を手にしてチャンピオンズ・リーグ出場の可能性を固めた。また、ロナウドはこの試合における3得点でキャリア通算807ゴールを達成、サッカー史上最多得点記録者となった。
ロナウドがレアル・マドリードに所属していた2016年は、クラブ史に刻まれる重要な年となった。1月にはラファエル・ベニテス監督が解任され、新たな指揮官としてジネディーヌ・ジダンが就任。そして2月17日、レアル・マドリードはチャンピオンズリーグのラウンド16第1戦でASローマと対戦した。
拮抗する試合でスコアを動かしたのはクリスティアーノ・ロナウドだった。試合開始53分、ロナウドは自身が得意とするフェイントの一つ「チョップ」でマークを外し、鮮やかなシュートを相手ゴールに突き刺した。試合を制したレアル・マドリードはトーナメントリーグを順調に勝ち上がり、ついにチャンピオンズ・リーグ優勝を果たした。
こうした結果から得られる教訓、それは「クリスティアーノ・ロナウドを挑発してはいけない」ということだろう。2019年3月、ロナウドはユベントスFWとしてチャンピオンズリーグに出場。決勝トーナメント1回戦のファーストレグではユベントスに対しアトレティコ・マドリードが2-0で先勝していた。
このシーズンからユベントスに加わったロナウドは、サポーターの大きな期待に応えて見事なパフォーマンスを見せる。ハットトリックでアトレティコ・マドリードの夢を打ち砕き、ファーストレグを2-0で制した相手を上回る3-0のスコアでチームを勝利に導いた。ロナウドを怒らせると、こうしたしっぺ返しを食らうことになるのだ。
最も印象に残るクリスティアーノ・ロナウドのゴールの 1 つといえば、2018年1月30日、マンチェスター・ユナイテッドがポーツマスと対峙したプレミアリーグの一戦が挙げられる。
マンチェスター・ユナイテッドはフリーキックを獲得、ロナウドは約30メートルの距離から圧倒的なシュートを放ってゴールネットを揺らし、貴重な勝ち点3をチームにもたらした。
2014年5月に行われたチャンピオンズリーグ決勝は、レアル・マドリードとアトレティコ・マドリードが対峙するチャンピオンズリーグ史上初の同国ダービーとなった。
12年ぶりのチャンピオンズリーグ優勝というプレッシャーを背負うレアル・マドリードは、アトレティコに先制点を奪われたままで試合90分が経過する。
アディショナルタイムに入った93分にセルヒオ・ラモスが思いがけずゴールを決め、決勝は延長戦にもつれ込む。延長戦の終了間際、クリスティアーノ・ロナウドがPKを決めてレアル・マドリードは12年ぶり10回目となる優勝を果たした。さらに、ロナウドは同大会で17得点を挙げチャンピオンズリーグでの1シーズン最多得点記録を樹立した。
リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドはサッカー史を代表する永遠のライバルとして世界中のファンを魅了してきた。2017年4月、FCバルセロナのリオネル・メッシは敵地で行われたリーガ第33節のクラシコで試合終了直前に劇的なゴールを決めた。チームに勝利をもたらしたしメッシは、自身のユニフォームを脱ぐとそれを高く掲げた。
屈辱の敗北から4か月後、レアル・マドリードとFCバルサはスペイン・スーパーカップの第1戦でふたたび対戦。今回はレアル・マドリードが敵地カンプノウで試合をリードし、3-1で鮮やかな勝利を挙げた。ロナウドは試合開始80分に力強いシュートを放ち、チームにとり3本目となるゴールを決めるとメッシと同じくユニフォームを脱いでその逞しい筋肉を全世界に示した。
チャンピオンズリーグのラウンド16でインテル・ミランを下したマンチェスター・ユナイテッドはFCポルトと対戦。アレックス・ファーガソン監督率いるマンチェスター・ユナイテッドが勝利候補とみられていたものの、ホームで行われたファーストレグでは2-2の引き分けに甘んじることになった。
FCポルトにとって最大の問題は、マンチェスター・ユナイテッドには復讐心に燃えるクリスティアーノ・ロナウドがいるということだった。母国チームであるFCポルトに遠慮することなくロナウドは強烈なシュートをゴールに突き刺し、マンチェスター・ユナイテッドをラウンド8に導いたのだった。
チャンピオンズリーグの準決勝に進んだマンチェスター・ユナイテッドはファーストレグで宿敵アーセナルを1-0で制しており、セカンドレグで引き分けに終われば決勝進出となるはずだった。しかしロナウドは必要最低限に甘んじることなく、自身が世界最高の選手の1人であることを証明する。
アーセナルのホームで行われたセカンドレグで、マンチェスター・ユナイテッドはゴールから約35メートル離れた位置でフリーキックを獲得。コメンテーターは「ロナウドでも直接ゴールを決めるには遠すぎるだろう」とクロスパスを予測したがその直後、ロナウドの強烈なシュートがゴールネットを揺らした。この年の夏、ロナウドはレアル・マドリードへの大型移籍を発表している。
2018年ワールドカップロシア大会でもロナウドは新たな歴史を作った。開幕2日目に行われたスペイン対ポルトガルの一戦、ポルトガルはロナウドのゴールで前半に2得点を挙げていたが、後半に逆転を許3-2となっていた。
しかし試合終了間際、ポルトガルはフリーキックを得る。代表キャプテンを務める33歳のロナウドが放ったシュートは壁を越えてダビド・デ・ヘアが守るゴールに突き刺さった。ロナウドは本試合でハットトリックを達成したばかりか、ワールドカップ開幕戦における敗北から代表チームを救ったのだ。
これは間違いなく、クリスティアーノ・ロナウドのキャリアを飾る最高のゴールのひとつだ。レアル・マドリードはチャンピオンズリーグの準々決勝ファーストレグでユベントスと対戦、敵地へと足を運んだ。
レアル・マドリードはユベントスに対し3-0と勝利した。だが、サッカーファンがこの試合を記憶しているのはスコアよりもロナウドの放ったシュートだろう。ポルトガル代表FWは2.3メートルの高さからオーバーヘッドキックを放ち、ブフォンが守るゴールに見事収めた。
相手チームのサポーターも喝さいを惜しまなかったロナウドのオーバーヘッドキックは、数多くのファンにとりサッカー史でもっとも完璧なゴールの一つとなった。新天地サウジアラビアでプレーを続けるロナウドからまだまだ目を離すことはできない。