突然の苦しみに襲われたスペイン代表FWアルバロ・モラタ:「この世で感じる最もひどい痛み」とは
ACミランで活躍し、サッカースペイン代表ではキャプテンを務めるアルバロ・モラタだが、身体的にもそしてキャリアの上でもきわめて厳しい状況におかれている。
今年アトレティコ・マドリードからACミランに移籍したモラタは、「三叉神経痛(さんさしんけいつう)」に苦しんでいることを明らかにした。この症状は命に関わるものではないものの、専門家は「この世で感じる最もひどい痛み」を伴うとしている。
モラタはラジオ局「Cadena COPE」のインタビューを通じ、「三叉神経痛」を抱えていることを明かして人々を驚かせた。これはサッカー選手に起こりがちな故障ではなく、一般的によく知られた病でもない。
三叉神経とは顔の感覚を脳に伝える末梢神経のひとつで、その名の通り三つに分かれ、額、頬、顎の辺りに広がっている。さらに、この神経は「咀嚼」をつかさどる咀嚼筋を支配していることから、会話や呼吸に必要な開口運動にも大きな関わりを持っている。
「三叉神経痛(さんさしんけいつう)」とは、頭部にある三叉神経が動脈に接触し、圧迫されることで細胞が傷み、顔面への刺激が増幅されて痛みが発生するとされている。ほかに患者の加齢や、神経機能の低下により誘発される可能性もあるという。
この病気はあまり知られておらず、また患者は50歳以上というケースが多い。そのためまだ30代前半のアルバロ・モラタが発症したことはきわめて意外なことだった。
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スペイン・バルセロナにある医療施設「マヨ・クリニック」によれば、「三叉神経痛」の痛みはまるで顔に電気ショックを受けたかのような感覚だという。
患者にとってはつらいことに、こうした激しい痛みの感覚は、洗顔や食事、会話や歯磨きといったごく日常的な動作でも引き起こされ、しかも数秒から数分にわたって続くのだという。
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前述の「マヨ・クリニック」によれば、「三叉神経痛」は身体的な痛みをもたらすだけではなく、患者は身体的な痛みに耐えかねて、うつ病や不安神経症といったこころの病を発症することもある。そして、その罹患率は通常と比べて3倍になるという。
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さらに、睡眠障害や倦怠感、身体機能の低下、摂食障害などを引き起こす可能性もあるため、メンタルヘルスの専門家によるサポートが必要とされることも多い。
前出の医療機関によれば、残念ながら「三叉神経痛」のこうした症状は慢性的なものと考えられている。しかも、三叉神経から来る痛みは日増しに強くなり、痛みの継続時間も長くなっていく傾向にあるという。
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だが、ものごとのいい面に目を向けることも必要だ。ひとり孤独に難病と闘っていたモラタが「三叉神経痛」の発症を明らかにしたことはきわめて勇気ある行動であり、本人はもちろん同じ症状に苦しむ多くの人々にとっても大きな一歩となった。