サッカー元フランス代表カランブー、親戚2人が仏領ニューカレドニアの暴動で命を落とす
仏領ニューカレドニア出身で、サッカーフランス代表のメンバーとして伝説となったクリスティアン・カランブーが悲劇に見舞われた。最近、ニューカレドニアで発生した暴動に巻き込まれ、親戚2人が犠牲になってしまったのだ。
「Europe 1」放送のインタビューを受けたカランブーは故郷のニューカレドニアを揺るがす暴動に関し、痛ましいエピソードを打ち明けた。
カランブーの発言は「親戚2人が頭を銃で撃たれました。犯人はスナイパーです。わたしたち家族は彼らが殺人犯として捜査されることを願っています」というショッキングなものだった。
ニューカレドニアではフランス政府の掲げる方針に対し、独立を志向する先住民系の住民たちが反発。抗議活動がエスカレートし、焼き討ちや銃撃を伴う大規模な暴動に発展してしまっていた。
焦点となったのはマクロン政権が計画している選挙制度の変更だ。ニューカレドニアでは先住民の権利を尊重するため、新住民には選挙権が与えられていないが、マクロン政権はこれを同地で10年以上暮らすすべての住民へと拡大しようとしているのだ。この計画が実現すれば、およそ2万5千人が新たに選挙権を得ることとなる。なお、ニューカレドニアの人口は27万人。
しかし、人口の40%あまりを占める先住民系の住民たちはこの変更によってフランス系移民の政治的発言力が高まることを危惧し、抗議活動に乗り出した。
ところが、BBC放送いわく、この抗議活動は予想外に過激な暴動へと変貌してしまった。
そして、この暴動の犠牲者には、クリスティアン・カランブーの親戚も含まれていた。カランブーは「私は親戚を亡くし、喪に服していたので、これまで沈黙を保っていました」と述べている。
カランブーはニューカレドニアの政治家たちに対し、これ以上犠牲者を増やさないためにも、早急に事態の解決を図るよう求めた。また、親戚2人が殺害された事件についても、捜査当局による真相解明を訴えている。
ニューカレドニアでは暴動で7人が死亡したことを受け非常事態宣言が発令されていたが、マクロン政権はこれを5月28日に解除。ロイター通信によれば、マクロン大統領は制度変更を「強行しない」と述べ、事態打開を図っているとのこと。
一方、ニューカレドニアのルイ・ル・フラン高等弁務官は「午後6時から午前6時まで、島内全域の道路および公共エリアを通行禁止とする」措置を継続すると発表。いまだ、情勢は緊迫しているようだ。