スポーツ界で人気を集め、映画界でも成功したアスリートたち:33人を振り返る
映画史を振り返れば、意外に多くのアスリートたちで溢れている。1回限りの出演のこともあれば、プロ引退後のセカンドキャリアになることもある。いずれにせよ、大スクリーンの魅力はアスリートたちにとっても抗いがたいようだ。
WWEとUFC で活躍するロンダ・ラウジーは柔道家としても一流。オリンピックにも何回か出場しており、北京オリンピック(2008年)では銅メダルを獲得している。同時に、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014年)、『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015年)、さらにTVドラマ『ブラインドスポット タトゥーの女』(2017年)をはじめ、多数の作品に出演するなど女優としても人気を博している。
マンチェスター・ユナイテッドで大活躍したフランス人ストライカー、エリック・カントナ。『Le Bonheur est Dans le Pré』(1995年)で俳優デビューを果たすと、『L'Outremangeur』(2003年) やケン・ローチ監督の『エリックを探して』にも出演。フィールドでも撮影現場でもカリスマ性を発揮することとなった。
誰もが知っているハリウッドスター、アーノルド・シュワルツェネッガー。90年代アクション映画の顔として『コナン・ザ・グレート』『ターミネーター』『ジュニア』『イレイザー』『プレデター』をはじめ、多数の作品に出演する大活躍を見せた。しかし、ハリウッドデビュー以前のシュワルツェネッガーはプロのボディビルダーとして活動しており、「ミスター・オリンピア」をはじめとする世界的なボディビル大会で何度も優勝を果たしている。
まずは、ルーニー・テューンズ、ビル・マーレイとバスケットボールを組み合わせるという異色の試みで大コケした『スペース・ジャム』(1996年)に出演したマイケル・ジャクソン。あまり知られていないが、スパイク・リー監督の『ラストゲーム』(1998年)にもカメオ出演している。
『スペース・ジャム』にはラリー・バード、パトリック・ユーイング、チャールズ・バークレー、ショーン・ブラッドリー、ラリー・ジョンソン、マグジー・ボーグスなど、マイケル以外のNBAスターも多数カメオ出演。2021年にはレブロン・ジェームズを主役に迎え、シリーズ第2弾となる『スペース・プレイヤーズ』が制作された。しかし、こちらも失敗に終わり、レブロンはゴールデンラズベリー賞にノミネートされてしまった。
型破りなことで知られるデニス・ロッドマンも脇役や本人役でスクリーンに登場している。とりわけ、『ダブルチーム』(1997年)ではジャン=クロード・ヴァン・ダムと共演を果たし、異彩を放っている。
スクリーンに挑戦したサッカー選手といえば、あのペレを忘れてはいけない。ペレの出演作となった『勝利への脱出』では、オズワルド・アルディレスやボビー・ムーアといったサッカー界のスターと、シルヴェスター・スタローンやマイケル・ケーンのような名優たちが共演を果たしている。
サッカー選手としても俳優としても快進撃を見せたヴィニー・ジョーンズ。AFCウィンブルドン、リーズ・ユナイテッドFC、シェフィールド・ユナイテッドFC、チェルシーFCといったプレミアリーグのチームで勝利を重ねた後、俳優業に専念。『スナッチ』(2000年)、『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』、(1998年)『ユーロトリップ』(2004年)、『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006年)、『チャンプ』(2016年)など、50本あまりの作品に出演している。
ジェイソン・ステイサムが若い頃クリフダイバーとして、英国ダイビングチームに12 年間所属していたことはあまり知られていない。一方、俳優としては知名度抜群、『スナッチ』『トランスポーター』『ワイルド・スピード』 シリーズなど、出演作は枚挙に暇がない。
前途有望な競泳選手だったが、オリンピック出場の夢は第二次世界大戦で潰えてしまった。しかし、MGM社の水中映画で頭角を現し、『百万弗の人魚』(1952年)、『世紀の女王』(1944年)、『水着の女王』(1949年)などに出演した。
WWFとMMA(総合格闘技)の格闘家だったが、引退後に俳優業に挑戦、悪くない結果を残した。『スコーピオン・キング3』(2011年)や『リディック:ギャラクシー・バトル』(2013年)に出演したほか、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年)ではドラックス役を演じている。
WWEのプロレスラー「ザ・ロック」として大成功を収めたドウェイン・ジョンソンだが、今ではハリウッド屈指のギャラを誇る人気俳優に。『スコーピオン・キング』(2002年)や『ワイルド・スピード』シリーズ(2011、2013、2015、2019、2023年)『ジュマンジ』の続編(2017、2019)、『ブラックアダム』(2022年)など、出演作も豪華だ。
ロサンゼルス・レイカーズで活躍した元バスケットボール選手、パウ・ガソルの場合、引退後の活躍の場はTVドラマだった。2009年に『NUMBERS 天才数学者の事件ファイル』と『CSI:マイアミ』に出演したのを皮切りに、2011年の『Cubed』や『Eva Luna』にもカメオ出演している。
80年代のテニス界を制覇したジョン・マッケンローは何度か映画にカメオ出演している。『Mr.ディーズ』(2002年)でアダム・サンドラーと共演したほか、『N.Y.式ハッピー・セラピー』(2003年)や『エージェント・ゾーハン』(2008年)にも登場しているのだ。2022年にはドキュメンタリー映画『マッケンロー』も公開されている。
1984年のロサンゼルスオリンピックで金メダルを獲得した米国の体操選手、メアリー・ルー・レットン。その後、TVドラマ『ベイウォッチ』や映画『3人のゴースト』(1988年)で姿を見せている。
シャキール・オニールもまたハリウッドスターへの道に挑戦したNBA選手の1人。カメオ出演のほか、『ミラクル・アドベンチャー/カザーン』(1996年)、『The Wash』(2001年)、『アンクル・ドリュー』(2018年)で主役を張っている。
イタリア人俳優バド・スペンサー(本名カルロ・ペデルソーリ)はもともと水泳選手であり、1952年のヘルシンキオリンピックと1956年のメルボルンオリンピックに出場している。その後、活躍の場をコメディ映画と「マカロニ・ウェスタン」に移し、同じくイタリア人俳優のテレンス・ヒルと名コンビを組むこととなった。
1932年から1948年にかけて12本あまりの映画でターザン役を演じたジョニー・ワイズミュラー。70年代までには30本以上の作品に出演し、輝かしいキャリアを築き上げることとなった。しかし、1920年代には世界屈指の水泳選手としてオリンピックに出場、金メダル5つと銅メダル1つを獲得している。
元WWEレスラーとして16度にわたり世界チャンピオンの座に登りつめたジョン・シナ。その後、スクリーンに転向するとここでも大活躍。2006年の『ネバ―・サレンダー 肉弾凶器』を皮切りに20本あまりの作品に出演、なかでも代表作は『スーサイド・スクワッド』(2011年)だろう。
アポロ・クリード役として知られるカール・ウェザースだが、もともとアメフト選手として活躍していた。オークランド・レイダースでプレーしていた1974年に引退し、俳優に転身。『ロッキー』からTVドラマ『マンダロリアン』まで幅広い作品で演技の才能を発揮した。
『マイネーム・イズ・アール』の主役として世界的に知られるようになったジェイソン・リー。ケヴィン・スミス監督のお気に入り俳優として何度も起用されており、カルト的人気を誇る『モール・ラッツ』(1995年)、『チェイシング・エイミー』(1997年)、『ドグマ』(1999年)、『クラークス』(1994年)に出演している。しかし、80年代から90年代初頭までは、実はプロのスケートボーダーとして活動していたのだ。
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プロ選手ではないものの、あと一歩でNFL選手になるところだったエド・オニール。アウトサイド・ラインバッカーとしてピッツバーグ・スティーラーズと契約を結んだものの、レギュラーシーズンが始まる前に退団、俳優業に専念することにしたのだ。米TVドラマ『Married... with Children』や『モダン・ファミリー』での好演を見れば、彼の判断は正しかったといえよう。
チャック・ノリスにとってスポーツと演技は分かちがたい。スクリーンで敵役の俳優たちと火花を散らす一方、若い頃はボクシングや空手、柔道、フルコンタクト空手、柔術など、様々な格闘技を嗜んでいたのだ。空手の世界チャンピオンに輝いたほか、自らの道場も開設している。
映画界でも武道の世界でも尊敬を集める伝説のファイター、それがブルース・リーだ。ただし、タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』では面白おかしく描かれてしまっているが……
類まれなアメフト選手であり、俳優としても『カプリコン・1』や『裸の銃を持つ男 Part2½』などに出演し、まずまずの才能を見せたO・J・シンプソン。ところが、ハリウッドで成功を掴みかけていた矢先の1994年、妻のニコール・ブラウンを殺害したとして起訴され、道は閉ざされてしまった。
トロント・ラプターズに所属するスペイン人バスケット選手、フアンチョ・エルナンゴメス。『HUSTLE/ハッスル』では無名のスペイン人選手ボー・クルス役を演じ、アダム・サンドラーと共演を果たした。
1928年のアムステルダム五輪で砲丸投げの選手として銀メダルを獲得したブルース・ベネットは、俳優としても輝かしいキャリアを築き上げた。代表作は『ターザンの新冒険』(1935年)、『ミドレッド・ピアース』(1945年)、『黄金』(1948年)など。
NFLではロサンゼルス・ラムズ、サンディエゴ・チャージャーズ、ワシントン レッドスキンズ、フィラデルフィア・イーグルス、さらにUEFAヨーロッパリーグのライン・ファイアーを転々としながら5シーズンにわたってプロとして活躍したテリー・クルーズ。一方、俳優としても才能を発揮、すでに40本あまりの作品に出演しているのだ。『ブルックリン・ナイン-ナイン』や『Everybody Hates Chris』『デッドプール2』での演技が良く知られている。
スキャンダラスなボクサーとしてヘビー級王座に2度輝いたことがあるマイク・タイソンだが、実は俳優業にも挑戦している。主にカメオ出演とはいえ『ハングオーバー!』(2009年)や『Pharaoh's War』(2019年)、『Vendetta』(2022年)では素晴らしい演技を見せている。また、自身の伝記映画『タイソン』(2008年)も公開されている。
ここまで見てきたのはスポーツ選手が俳優業に転身するケースだが、ヒラリー・ウルフは逆に映画界からスポーツの世界に飛び込んだ。『ホーム・アローン』(1990年)ではケヴィンの妹、ミーガン・マカリスター役を演じたほか、1992年の『Big Girls Don't Cry... They Get Even』にはローラ・チャートフ役で登場しているのだ。その後、柔道家になるとパンアメリカン柔道選手権でメダルを4つ獲得するなど、大活躍することとなった。
ツール・ド・フランスを7度にわたって制覇したもののドーピングの発覚で自転車競技から追放されてしまったランス・アームストロング。俳優業への挑戦にはそこまで積極的ではなかったが、映画『ドッジボール』(2004年)にカメオ出演した際にはヴィンス・ヴォーンと共演し、印象を残した。
現役時代に何度かカメオ出演を果たしているが、なかでも『テッド2』(2015年)ではマーク・ウォールバーグと共演して話題となった。
スポーツ選手によるもっともおかしな映画シーンは、NBAの生きる伝説、カリーム・アブドゥル=ジャバーが『フライングバイ』(1980年)で見せたカメオ出演だろう。長距離フライトの副機長役として登場したカリームだが、それがカリーム本人だとは気づかない少年にバスケット選手としてのプレーを批判され、思わず腹を立ててしまうのだ。
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