スポーツ界を牛耳る「クロエンケ・スポーツ&エンターテイメント」とは?

クロエンケが築き上げたスポーツ帝国
スタン・クロエンケとその妻
スポーツビジネスに進出
クロエンケ帝国の拡大
最高のスタート
NBAデンバー・ナゲッツ
アーセナルFCの主要株主に
NFLラムズを買収
アーセナルFCを完全に保有
他にもチームを所有
世界第2位の事業価値
長期的な利益を考えるチーム運営
若いコーチを起用
スーパーボウル制覇
スタンレー・カップ優勝
NBA優勝
プレミアリーグ優勝まであと一歩
クロエンケが築き上げたスポーツ帝国

スタン・クロエンケが設立したクロエンケ・スポーツ&エンターテイメント(KSE)は、ここ10年で非常に有力な「スポーツ帝国」へと成長を遂げており、さまざまスポーツチームを運営している。

スタン・クロエンケとその妻

大富豪スタン・クロエンケは不動産業によって財産を築いた。結婚相手のアン・ウォルトンもまた大富豪であり、彼女はウォルマート創業者サム・ウォルトンの姪にあたる。

スポーツビジネスに進出

クロエンケの「スポーツ帝国」は1995年、NFLセントルイス・ラムズの株を少しばかり購入したときに始まった。セントルイス・ラムズはその後、1999年シーズンに初めてのスーパーボウル優勝を果たすことになる。

クロエンケ帝国の拡大

2000年にかけて、クロエンケは自身のスポーツ帝国をさらに大きくしようとし、バスケットボール(NBA)のデンバー・ナゲッツとアイスホッケー(NHL)のコロラド・アバランチの買収を済ませる。

最高のスタート

クロエンケによる買収後の最初のシーズン、NHLコロラド・アバランチはすばらしい成績を収めた。スタンレー・カップでニュージャージー・デビルズを下し、優勝したのである。どこまでがクロエンケの手柄と言えるかはさて置くとしても、まずは最高のスタートだった。

NBAデンバー・ナゲッツ

クロエンケによって買収されたとき、NBAデンバー・ナゲッツは低迷続きのチームだった。それから数年もがいたすえ、2003-2004シーズンに43勝39敗でプレーオフ進出を決める。前年度の成績は20勝にも届いていなかったので、これは異例の大躍進だった。カーメロ・アンソニーと、彼をドラフトでを指名したキキ・ヴァンダウェイの功績が大きい。

アーセナルFCの主要株主に

クロエンケはスポーツ分野のビジネスをクロエンケ・スポーツ&エンタテイメントのもとに組織していった。同グループは2007年、アーセナルFCの主要株主になるために12.19%の株を取得する。

NFLラムズを買収

2010年、スタン・クロエンケはNFLセントルイス・ラムズの買収を完了する。NFLの厳しいクロスオーナーシップ・ルールにのっとり(このあたりはややこしいが)、NBAデンバー・ナゲッツの保有権を息子ジョシュ・クロエンケとその妻アンに譲ることで、ラムズ買収にこぎつけたのだった。

アーセナルFCを完全に保有

クロエンケは長年の奮闘の末、アーセナルFCの買収を完了させる。2018年8月、ロシアの実業家アリシェル・ウスマノフが保有している株を買い取り、アーセナルFCの全株式を保有するに至ったのだ。

他にもチームを所有

クロエンケの版図は、プレミアリーグ、NFL、NBA、NHLにとどまらない。他にもコロラド・ラピッズ(MLS)、コロラド・マンモス(ナショナルラクロスリーグ)、eスポーツではロサンゼルス・グラディエーターズ(OWL)、ロサンゼルス・ゲリラズ(CDL)を所有している。

世界第2位の事業価値

『フォーブス』誌が作成した「スポーツ関連事業者の価値ランキング2023」で、クロエンケ・スポーツ&エンターテイメントは第2位にランクインしている(1位は米リバティ・メディア)。その事業価値は127億5000万ドルと見積もられている。

長期的な利益を考えるチーム運営

スポーツチームのオーナーには、心の底からスポーツが好きで、損得抜きでチームに関わるオーナーもいれば、ただチームを金儲けの手段としてしか見ていないオーナーもいる。クロエンケはそのどちらでもなく、必要とあらば出費は惜しまず、かといって度は過ぎず、長い目で見て何が一番利益になるかを考えるオーナーだ。

若いコーチを起用

クロエンケは、すでに定評のある大物コーチよりも、まだ若くて経験の浅いコーチを起用する傾向にある。たとえばNFLのショーン・マクベイ。彼は30歳という若さでラムズのヘッドコーチに就任し、すぐさまめざましい成果をあげた。アーセナルFCの監督ミケル・アルテタについても、次なる才能に賭けようというクロエンケの姿勢がうかがえる。

スーパーボウル制覇

ショーン・マクベイは2017年からラムズを率い始めたが、目指すところはスーパーボウル制覇だった。スタン・クロエンケがその歩みを資金的にバックアップした。ディフェンシブタックルのスーパースター、アーロン・ドナルドを中心としてメンバーを揃え、QBマシュー・スタッフォードをトレードで獲得した2021年シーズン、ついにスーパーボウル制覇を成し遂げたのだった。

スタンレー・カップ優勝

ラムズのスーパーボウル制覇の数ヶ月後、NHLのコロラド・アバランチはスタンレー・カップ優勝を果たす。こちらもクロエンケから潤沢な資金援助を得て、ゆうゆうと勝ち進んでいったのだった。

NBA優勝

NBAのデンバー・ナゲッツは、屈指の攻撃型センター、ニコラ・ヨキッチの活躍があり、NBAファイナル2023でマイアミ・ヒートを下して初のNBA優勝に輝いた。

プレミアリーグ優勝まであと一歩

英国プレミアリーグの名門、アーセナルFCはここ数年あまりぱっとしない成績が続いていた。アーセナルくらい名門になると、FAカップ優勝ではもの足りず、やはりプレミアリーグの優勝が欲しい。そうして迎えた2022-2023年シーズン、アーセナルFCはリーグ優勝まであと一歩というところまで行ったのだった。クロエンケの手厚いバックアップを受けて、今シーズンこそは優勝に期待がかかる。

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