元テニス界の伝説ジョン・マッケンロー、失言でネット炎上を起こす:女子シングルス覇者イガ・シフィオンテクについて性差別的な発言?
元テニス界の伝説的選手であり、現在は解説者として活躍しているジョン・マッケンロー。つい先日の全仏オープン・テレビ中継で不用意な発言をしてしまった。おそらく本人はふと思いついたことを口にしたまでなのだろう。しかし、そこに性差別的なニュアンスがあったという非難の声があがっている。
2024年6月8日、全仏オープン女子シングルス決勝、イガ・シフィオンテクとジャスミン・パオリーニの試合を彼は解説していた。隣にはもう一人のコメンテーター、メアリー・カリロ(元プロテニス選手でマッケンローと組んだ全仏オープン混合ダブルスで優勝)がおり、二人のやりとりはイガ・シフィオンテクのスポンサー契約に及んでいた。
イガ・シフィオンテクはワルシャワ出身の23歳、いま女子テニスで最も強い選手であり、化粧っけのなさが何かと話題になる。解説のメアリー・カリロは、シフィオンテクが「化粧をあまりしないから」という理由で高級化粧品ブランド「ランコム」のブランド・パートナーシップの申し出を断ったというエピソードをとりあげた。これを受けてジョン・マッケンローがしたコメントが非難の的となっているのだ。
「どうだろうね、もしランコムがたっぷり支払うなら、あるいは彼女も考えを変えて、少しは化粧をしてみようかな、という気になるのかな?」 これが多くのファンの眉をひそめさせた問題の発言である。
英紙『デイリー・エクスプレス』によれば、あるファンはソーシャルメディアで次のような発信をした。「あのコメントは気持ち悪い。もうマッケンローはコメンテーターとして退場させるべきだ。バイバイ」
その他にも、マッケンローのことを「性差別主義者」や「愚かもの」と言ったり、シンプルに「ひどい」と形容するファンも出たようだ。ネットメディア『The Mirror』によると、テレビ中継を見ていた視聴者の中には、テレビ局(NBC)に対して正式に苦情を申し立てた者もいたようである。
マッケンローが女子選手がらみの発言で非難を受けるのは、これが初めてではない。2017年のNPR(米国公共ラジオ放送)のインタビューでもやはり波紋を呼ぶことになる発言をしたのだが、そのときはセリーナ・ウィリアムズについてだった。彼女のことを回想録の中で「史上最高の女子選手」としていることについて、インタビュアーが「どうして女子と限定をするのか、どうして史上最高の選手としないのか」と質問し、その返答が問題となったのである。
マッケンローはこう答えた。「なぜかというと、もし彼女が男子のトーナメントでプレーしたら、世界ランキングで700位あたりになるでしょうから」。なくもがなの発言として、このコメントも非難を集めることになった。
イガ・シフィオンテクにとっては甚だ迷惑なことであるが、その化粧っ気のなさを取り上げて、さらに失礼な言葉をかけられたこともある。「パーティーに行くときはメイクをするんですか?」というのが、2022年に彼女に対して投げかけられた質問だった。さすがに彼女もうんざりして、そのときは「オーケー、サンキュー」と返すしかなかった。
ところで今年の全仏オープンでは、中継の最後にジョン・マッケンローが発したコメントも注目を集めた。6月9日、男子シングルス決勝戦が終わった後で、マッケンローが解説をつもめるNBCネットワークに対し感謝を捧げたのである。「キャスターとして初仕事の機会を与えてくれたNBCに感謝したい」。『The Mirror』が指摘しているように、NBCは今年を最後に全仏オープンの中継から撤退することが決まっている。