米俳優ドウェイン・ジョンソン、新作の役作りで大きくイメチェン:総合格闘家マーク・ケアーを演じる
まずこの写真をご覧いただきたい。ラウンドガールの脚とロープが大胆に画面を区切るこのカットは、いま撮影が行われている映画『The Smashing Machine(原題)』について、その第一報として公開されたスチル写真である。
写真:'The Smashing Machine' - A24
リングコーナーに腰かけているのは、伝説的レスラー、マーク・ケアーだ。もちろん役としてのマーク・ケアー、ということだが。
しかし、そのレスラー役を務めているのがドウェイン・ジョンソンだとすぐにわかる人は少ないのではないだろうか。なぜならそこにはスキンヘッドの代わりに短髪があり、トレードマークのタトゥーはどこにも見当たらないからだ。
いずれにせよ、そこに写っているのはマーク・ケアー役のドウェイン・ジョンソンである。映画『The Smashing Machine(原題)』の主人公を演じるのだ。
ケアーの妻ドーン・ステープルズを演じるのは、エミリー・ブラント。先ほどのスチル写真ではその横顔がくっきりと照らされており、リング下から真剣な眼差しでケアーのほうを見上げている。
この映画は2002年のドキュメンタリー映画『The Smashing Machine: The Life and Times of Extreme Fighter Mark Kerr』をドラマ化したものだ。制作会社A24の発表によると、マーク・ケアーという人物の総合格闘家としての側面はもちろん、一人の人間としてその人生をさらに深く掘り下げた作品になるという。
一方ドウェイン・ジョンソンにとって、マーク・ケアーという実在の人物を演じることはキャリアにおける転機となりうる。これまで筋骨隆々のアクション俳優として、多かれ少なかれ似たような役柄を演じることを求められてきた彼だが、今回は本格的な人間ドラマに挑戦することになるのだ。
それはちょうど、ウィル・スミスが映画『ALI アリ』でモハメド・アリを演じたことに似ているかもしれない。コミカルでどちらかといえば軽めの演技で知られていたウィル・スミスは、その映画を境として、いわば本格的な役者として広く認められるようになったのだった。
ドウェイン・ジョンソン本人も以前、『バラエティ』誌にこう語っていた。「最近は、人間の本質や人生における戦い、苦しみを描くような、深みのある作品を作りたいと考えています」
本作の監督は、ベニー・サフディが担当する。彼はこれまで兄ジョシュ・サフディと共同監督で(サフディ兄弟)、『グッド・タイム』『アンカット・ダイアモンド』といった話題作を撮ってきた。単独で監督をつとめるのは本作が初めてとなり、才能ある若手としての手腕に高い期待が寄せられている。
先ほどのスチル写真の完成度から推し量るかぎり、主人公の役作りは完璧に行われており、制作活動も順調に進んでいるようだ。2025年の公開が待ち遠しい。