ドキュメンタリー映画『イカロス』が暴いたロシアの国家ぐるみのドーピング隠ぺい工作

『イカロス』
大スキャンダル
栄誉に輝く
事のはじまり
薬物検査をパスする方法
ドーピング検査体制の脆弱性を暴く
国際的なスキャンダル
国を挙げてのドーピング
4年間の追放処分
中立旗
ロドチェンコフの亡命
カメラの前で証言
ロンドン・オリンピックとの関わり
有罪の証拠
「大惨事になる」
ロドチェンコフに迫る脅威
『イカロス』

ブライアン・フォーゲル監督の『イカロス』(2017)は、アマチュアの自転車選手でもある監督自身が、レースに勝つためにドーピングを試みるところからはじまるドキュメンタリー映画だ。

大スキャンダル

ドキュメンタリーを制作するにあたり、フォーゲル監督はロシアの反ドーピング機関所の元所長グリゴリー・ロドチェンコフの協力をあおいだ。その結果、国際スポーツ界を揺るがす大きなスキャンダルへと発展した。

栄誉に輝く

『イカロス』は、米国ドキュメンタリー特別審査員賞とアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した。

事のはじまり

フォーゲルはスポーツ界での不正薬物使用を調査していた際に、ロシアの科学者グリゴリー・ロドチェンコフと知り合う。

画像 - YouTube - CBS Mornings

薬物検査をパスする方法

ロシアの反ドーピング機関所長ロドチェンコフは、フォーゲルが身体強化薬(PED)を服用したうえで、ドーピング検査をパスする方法をアドバイスした。

画像:YouTube – ABC News

ドーピング検査体制の脆弱性を暴く

フォーゲルは、当時の薬物検査の方法が不十分であることを発見し、適切な支援があれば、どんな選手でも不正をして身体強化薬を摂取できることを証明した。

国際的なスキャンダル

フォーゲル監督と親しくなるにつれ、ロドチェンコフはオリンピックで国家公認のドーピング計画を監督していたことを暴露し始めた。

画像:YouTube – ABC News

国を挙げてのドーピング

その結果、ロシアの組織的かつ国家ぐるみのドーピングにより、48個のオリンピックメダルがロシア選手から剥奪された。ロシアのドーピング失格者は150人を超え、世界最多となった。

4年間の追放処分

ドキュメンタリーの告発を受け、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は2019年に、オリンピックを含む全ての主要な大会からロシア選手を4年間追放することを決定した。

中立旗

スポーツ仲裁裁判所は、ドーピングの問題がないクリーンな選手に限っては、中立旗の下で国際大会に参加できるとの判決を下した。

ロドチェンコフの亡命

ロシアにおける国家ぐるみのドーピングを暴露したロドチェンコフは亡命を余儀なくされ、フォーゲルはその支援を行った。アメリカ入国後、ロドチェンコフは自身の知識を総動員して、ロシアが何十年にもわたって不正をしていたことを、アメリカ司法省に伝えた。

画像:YouTube – ABC News

カメラの前で証言

ロドチェンコフはカメラの前で、2014年のソチ冬季オリンピックで、ロシア選手団の薬物成分が含まれている尿サンプルをクリーンなサンプルにすり替えたことを証言した。

画像:YouTube – ABC News

ロンドン・オリンピックとの関わり

ロドチェンコフは反ドーピング機関所長としてロンドン五輪用に新設された反ドーピング施設への特別アクセスを認められていた。ロンドン訪問を通し、ロンドンと2014年のソチ五輪でロシア選手のドーピングを行う方法を特定していった。

有罪の証拠

ロドチェンコフは、スプレッドシートや電子メールを始め、ロシアがドーピングへ関与したことを示すあらゆる種類の証拠を提出した。

「大惨事になる」

espn.comによれば、州および連邦の元検察官でフォーゲル監督の法律顧問であるEdwin Stierは、『もしロシアが「証拠」から逃れる方法を見出したとすれば、大惨事になるだろう』とコメントした。

ロドチェンコフに迫る脅威

ロシア政府の陰謀を暴露したロドチェンコフは、元同僚の2人が疑わしい死を遂げたこともあり、米国の法執行機関によって保護されている。1本のドキュメンタリー映画が、世界を揺るがすことになった。

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