観光大臣の飼いネコを射殺、出場停止を受けてしまった自転車ロードレーサー
ツール・ド・フランス開催が29日に迫っている。こうした自転車ロードレースの選手に課される罰金や出場停止処分というと、パフォーマンス向上のため禁止薬物に手を出すケースなどが思い浮かぶだろう。
ところが、トレック・セガフレードに所属するイタリア人選手、アントニオ・ティベリに課されたペナルティの理由は、運動能力とはまったく関係がなかった。なんと、サンマリノ観光大臣のネコを射殺してしまったことが原因だ。
この珍事が起きたのは2022年6月。地元紙『コリエーレ・デラ・セラ』の報道によって事実が明かされることとなった。
2019年、当時20歳だったアントニオ・ティベリはジュニア世界選手権自転車競技大会のタイムトライアル種目で優勝を果たしており、イタリア自転車競技界期待の新星だった。
2022年11月に行われた裁判で、ティベリは2022年の夏にエアガンを購入し射程距離を調べるために試射したと証言。
『コリエーレ・デラ・セラ』紙の取材によれば、ティベリは裁判の場で「私の意図はエアガンの射程距離を測ることでした。そこで、駐車禁止の標識に狙いを定めたんです。また、試しにネコを撃ってみたら、思いがけず命中してしまったことも認めます」と述べたという。
ティベリはまた、「猫を殺すつもりはありませんでした。致命傷にはならないと思い込んでいたんです」と主張している。しかし、銃弾はネコの頭部に命中し、命を奪うことになってしまった。
ところが、そのネコはサンマリノのフェデリコ・アマーティ観光大臣のペットだったため、事態は一段と深刻化してしまう。
写真:Instagram - @federicopediniamati
ひとたび事件が報じられるとティベリは声明を発表、「あれは非常に愚かで無責任な行為でしたが、深刻さに気付いたときには後の祭りでした。責任感と罪悪感をもって、自分の行いが招いた結果と罰を受け入れます」とコメントした。
写真:Instagram - @antonio.tiberi01
この事件に関して、サンマリノの裁判所はアントニオ・ティベリに4,000ユーロの罰金を科したという。
写真:Pexels - Ekaterina Bolovtsova
さらに、所属チームのトレック・セガフレードもティベリの雇用および給与支払いを20日間停止する処分を下した。
同チームはティベリの「許しがたい行為を断固」非難するとともに、給与の支払いを20日間停止し、「動物の救助や保護、世話に取り組む団体」に寄付すると発表したのだ。
写真:Twitter - @TrekSegafredo
その結果、ティベリは間近に迫る3つのレース(トロフェオ・ライグエーリア、ティレーノ~アドリアティコ、ミラノ~トリノ)の欠場に加え、チームから「将来的にさらなる措置」を課される可能性が出てきた。
トレック・セガフレードは声明を通じて、「アントニオの自律と人間的な成長を促すため、本人と緊密に連携して必要な措置を検討する」と発表したのだ。
一方、ティベリ本人もこの決定を真摯に受け止めているらしく、「今季獲得できた賞金は寄付に当てる」という公約を発表。
「サンマリノ政府に意見を求めながら野良猫の世話に取り組む団体を選んで」寄付を行うと申し出たティベリ。さらに、「休暇の一部を使って個人的に協力したい」と締めくくった。
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