アル・ナスル移籍で話題のサディオ・マネ、母国セネガルの村に病院や学校を設立
セネガル出身のサッカー選手サディオ・マネは欧州の名門クラブで輝かしい成績を残し、現在はサウジアラビアリーグのアル・ナスルでプレーしている。しかし、注目を集めているのはそのキャリアだけではない。マネは手にした報酬の多くを故郷のために使っているのだ。
マネは西アフリカ沿岸部、セネガル・セディウ州のバンバリで生まれた。ここは人口2000人という小村である。
写真:Instagram @sadiomaneofficiel
バンバリはとても貧しい集落で、インフラも整っておらず、国際的な支援の手も届いていなかった。マネが7歳のとき、彼の父は満足な治療を得られないまま病で亡くなった。
サディオ・マネに取材したドキュメンタリー映画『 Made in Senegal』(2020年)で、彼は妹が生まれたときの様子を語っている。当時、村には病院がなかったので、マネの母は家で出産したという。
セネガルの人々にとってヒーローとなったマネは、現在サウジリーグのアル・ナスルFCでストライカーとして活躍し、途方もない財産を築いている。そして、祖国の人々の暮らしむきを良くしようと多額の寄付を行っている。
2021年、リヴァプールでプレーしていた時のこと、彼は故郷バンバリに50万ドルを寄付し、地元に産科病棟を備えた病院を設立した。
写真:Unsplash - Francisco Venancio
その同じ年、電力会社とパートナーシップを結び、サハラ砂漠以南のアフリカに電気をもたらすプロジェクトに着手した。
この共同事業の最初の一歩は、バンバリにガソリンスタンドをつくることだった。「私にとって大事なのは、できるだけ多くの人が教育、ヘルスケア、そして次は電力にアクセスできる環境を整えることです」とマネは語った。ブラジルのサイト「UOL」が報じている。
その2年後の2019年、マネは学校を建てるために30万ドルという多額の寄付を行った。
写真:Unsplash - Annie Spratt
無償で学べる高校を作っただけではない。生徒にノートパソコンを配り、とりわけ優秀な生徒には400ドルの奨学金を与えたのである。
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コロナ禍では、新型コロナウイルスに対処するセネガルの国家委員会におよそ4万5,000ユーロ(約530万円)を寄付した。
マネはバンバリの家庭ごとに70ユーロを提供し、村の全員が無料で4Gインターネット回線を使えるようにしている。社会的不均衡を是正し、外の世界と接続できる環境を整えようとしているのだ。(写真は2022年、バイエル・ミュンヘンがDFLスーパーカップで優勝した時のもの)
ときおり、マネはバンバリの人々に衣類やスポーツ用品を贈っている。
このような活動が評価され、マネは仏サッカー専門誌『フランス・フットボール』主催のバロン・ドールのセレモニーで「ソクラテス賞」の初受賞者となった。この賞はブラジルのサッカー選手ソクラテス(1954-2011)にちなんでおり、シーズンを通して社会活動に最も献身した選手に与えられる。
この賞が2022年10月に授与されたとき、マネはバイエルン・ミュンヘンに所属していた。彼にトロフィーを渡したのは、ソクラテスの弟で自身も元ブラジル代表のライーである。
サッカー選手になるという夢を追って故郷をあとにした15歳の少年は今、セネガル代表の最多得点記録保持者として34ゴールを挙げている。
マネは2021年アフリカネイションズカップに出場してセネガル代表の優勝に貢献し、そのシーズンのアフリカ最優秀選手にも選出された。2012年ロンドンオリンピックと2018年ロシアオリンピックでの活躍も忘れてはならない。
リヴァプールに所属していた6シーズン(2016年から2022年)の間には、プレミアリーグ、UEFAチャンピオンズリーグ、UEFAスーパーカップ、FIFAクラブワールドカップのタイトル獲得に貢献した。マネはいま、世界で指折りのストライカーである。
2023年、マネはサウジリーグのアル・ナスルに加入した。サッカー選手としての活躍もさることながら、今後の社会貢献にも注目が集まっている。