「FCバルセロナファン」を自負するスターたち
スペインの名門サッカークラブ、FCバルセロナは世界中に数多くのファンを抱えている。「バルサ」のファンは「クレ」と呼ばれ、試合が行われるたびに一喜一憂している。たとえばブラジル出身のファッションモデル・俳優のブルーナ・マルケジーニもその一人だ。
ブルーナ・マルケジーニTVドラマ『Mulheres Apaixonadas』で世界的に知られるようになった人物である。彼女は2013年から2018年にかけてネイマールと交際していた。ネイマールは当時バルサでプレーしていたので、もちろんブルーナ・マルケジーニも「クレ」の仲間になったのだ。
スペイン出身のオートバイレーサー、ホルヘ・ロレンソも熱烈なバルサファンの一人。最初のマネージャーであるダニ・アマトリアインがクレだったからであり、くわえて当時バルサでプレーしていたフォワードのサミュエル・エトーと個人的に親しかったのだ。
2009年のカタルーニャGPでは、FCバルセロナのチャンピオンズリーグ優勝を祝い、同クラブのエンブレムをあしらったヘルメットとスーツで登場した。また、キックオフセレモニーを同僚のオートバイレーサーたち(トニ・エリアスとマルク・マルケス)と行ったこともある。
シンガーソングライターのロザリアは、バルセロナ市近郊の生まれなので、生え抜きのバルサファンと言える。観戦のため、バルサの宿敵レアル・マドリードの本拠地(エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウ)に足を運ぶこともある。音楽配信大手「Spotify」がバルサとスポンサー契約をしたことにより、ロザリアのアルバム『Motomami』とコラボしたクラブTシャツ(写真のロザリアが着ているシャツ)が2023年に販売されることになった。
『ターミネーター』シリーズなどで愛されるアメリカの俳優、アーノルド・シュワルツェネッガー。ボディビルディングの国際大会「アーノルド・クラシック・ヨーロッパ」のセレモニーに出席する関係で、同大会がスペインで開催されるときにはバルセロナの街にもよく足を伸ばし、クラブの本拠地カンプ・ノウや、スタジアム付属の博物館を訪問している。2017年にはクラブの選手たちや監督と面会し、自身の名前が入ったクラブTシャツを手にポーズをとった。
前出のオートバイレーサー、ホルヘ・ロレンソの好敵手であるマルク・マルケス。ライバル同士が共有しているのはFCバルセロナへの愛である。マルク・マルケスがクラブ主催のイベントに参加するのは恒例となっており、先にも触れたように、ホルヘ・ロレンソと共にキックオフセレモニーを行ったこともある。クラブの近況についてSNS上で解説している姿もしばしば見受けられる。
アメリカ人ゴルファー、タイガー・ウッズ。史上最高のゴルファーともみなされる男が「クレ」であることを明かしたのは、バルサが2017年にサマーツアーでアメリカ合衆国を訪れたときのことだった。ウッズはアメリカにやってきたバルサの選手たちに会いに行き、チームのシャツを着てジャラール・ピケとのツーショットに収まっている。そして、マイアミで行われたインターナショナル・チャンピオンズ・カップではレアル・マドリードとの戦いを見届けたのだった。
イギリス出身のF1レーサー、ルイス・ハミルトンはワールドチャンピオンに六度も輝いている。彼は2020年3月にSNSを通して、バルサファンであることを公表した。その投稿がこちら。エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウでの「エル・クラシコ」(FCバルセロナとレアル・マドリードの試合)を翌日に控え、ルイス・ハミルトンは青と臙脂(えんじ)色のクラブTシャツ姿でたそがれている。
今は亡きNBAスター選手、コービー・ブライアントは熱烈なサッカーファンだった。彼はロナウジーニョとメッシをとくに贔屓にする「クレ」であり、クラブの選手たちと一緒に何度か写真を撮ってもいる。クラブへの思い入れは深く、「もし僕がいずれNBAを去るとしたら、それはFCバルセロナのバスケットボールチームでプレーするためだ」と発言したことも。
コービー・ブライアンがバルサファンになったのは、ロサンゼルス・レイカーズのチームメイト、パウ・ガソルの影響でもある。パウ・ガソルはバルセロナ生まれ。かつてFCバルセロナ(バスケットボールのほう)でプレーしていた経歴があり、レイカーズに移籍してコービー・ブライアントの親友になった。その後もキャリアの締めくくりとして古巣のFCバルセロナに戻り、そこで現役生活を終えている。
2016年、ポップミュージシャンのジャスティン・ビーバーはバルサへの愛だけでなく、巧みなボール・コントロールも披露した。ジャスティン・ビーバーは短パンに着替え、クラブのスター選手たちに混じってトレーニング・セッションに参加したのである。
コロンビア出身のシンガーソングライター、シャキーラは、元スペイン代表のジェラール・ピケと長年にわたり交際していた。ピケはFCバルセロナのディフェンダーだったので、シャキーラも当然バルサファンとなり、カンプ・ノウに駆けつけてパートナーの応援をすることになったのである。二人の間には息子が二人生まれたが、シャキーラに連れられた子供たちの姿が会場で見られることもあった。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフロントマン、アンソニー・キーディスは、トレーニング中の選手たちを2016年に訪問している。キーディスの娘も付いていったが、なにしろ彼女はネイマールの熱狂的ファンなのだ。写真を見るとわかるように、三人が広げているTシャツには「EVERLY KIEDIS」という名前と、背番号のところにネイマールのものであろうサインが入っている。
スヌープ・ドッグことカルバン・ブローダスもバルサのファンであることを公言している。2013年にバルセロナの野外フェス(Festival Cruïlla)に出演したときの衣装はバルサのシャツだった。その翌年もやはり同じ格好で、今度はアンダルシア州マルベーリャの音楽フェスに登場した。
ラッパーでシンガーソングライターのドレイクはいつ頃「クレ」になったのだろう? 確かに言えるのは、FCバルセロナがクラブTシャツにドレイクが手がけるブランドの「フクロウ」ロゴを入れたとき、つまり遅くとも2022年にはクレであったということだ。その年、音楽配信大手「Spotify」がクラブのスポンサーについたことで、このコラボが実現したのである。
世界的レストラン「エル・ブリ」の天才シェフとして知られるフェラン・アドリアは、バルセロナ市近郊出身のカタルーニャ人で、すなわち生粋のバルサファンである。そんな彼にあるとき、自身の名を冠したレストランをエスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウに出店しませんかという誘いがかかった。彼の返事は、にべもない「ノー」。それはバルサファンの信念にもとることだったからだ。カタルーニャのラジオ「RAC1」で語ったように、シェフにとって「バルサは神聖な存在」である。
テレビドラマ『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』などで知られる俳優のパトリック・デンプシーは、2016年にバルサの試合を観戦するためカンプ・ノウのボックス席を訪れた。試合が始まる前、自身の名入りクラブTシャツをプレゼントとしてもらっていたのだが、それは当時のクラブ会長であるジョゼップ・マリア・バルトメウ本人からじきじきに手渡されたものだった。
カヌー競技のオリンピック・メダリストであるサウル・クラビオットは、アスリートという側面にくわえ、スペインで勤務する警察官としての顔と、テレビタレントとしての顔を持っている。テレビの料理対決番組で優勝したとき、知名度がさらに上昇した。そのような活動の幅を生かして、クラビオットはバルサのシャツをいろいろな場面で着用している。
ボリウッドのスター俳優、ランビール・カブールもFCバルセロナの大ファンだ。ミュージックビデオの撮影でバルセロナの街を訪れたさい、バルサの施設に足を運んでクラブのインタビューに応じている:「僕はずっとバルサのファンです。プレースタイルが好きなのです。下部組織もすばらしいし、サッカーにかける情熱には感服しますね」
ミレイア・ベルモンテはスペインの競泳選手。リオデジャネイロ・オリンピックの女子200mバタフライで金メダルを獲得している。ベルモンテはバルセロナ県バダロナ出身であり、うんと小さなころからバルサの熱心なファンだった。クラブもそのことを知っており、カンプ・ノウのボックス席に何度か彼女を招待している。この写真のベルモンテは、カンプ・ノウの芝生に描かれたのエスクード(エンブレム)にそっと手を置いている。
モデル・俳優のアンドレス・ベレンコソは、スポーツ情報メディア「SPORT」の一部門「Sport & Style」のインタビューで、「俺は骨の髄までクレだぜ」と語っている。カンプ・ノウを訪れたときには、「俺は世界で一番幸せな男だ」と感じたようだ。「仕事柄、世界を飛び回ってばかりだが、ちょっとした機会を見つけてバルサの試合を観に行くんだ」とも。
カロリーナ・マリンはスペインの女子バトミントン選手。リオデジャネイロ・オリンピックの女子シングルス金メダリストであり、世界ランクは最高1位、世界選手権で三度の優勝経験がある。そんな彼女はスポーツ情報メディア「Mundo Deportivo」で次のように語っている:「私のバルサ愛は父譲りです。父は筋金入りのクレでした」
2004年から2011年にかけてスペイン首相をつとめた、政治家のホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ。彼は首相在任中であってもバルサへの愛を慎むことなく、2006年のチャンピオンズ・リーグでクラブが優勝したときには自分もピッチに躍り出て喜びを分かち合った。
ノルウェー出身のラリードライバー、ペター・ソルベルグ。2003年のワールドチャンピオンであり、攻撃的なドライビングで知られている。そんな彼がカンプ・ノウのボックス席を訪れたのは2016年のことだった。試合観戦をぞんぶんに楽しみ、おまけにプレゼントとして自身の名入りクラブTシャツを持ち帰る。ペター・ソルベルクはその前年にも、トレーニング中の選手たちを訪問しており(そのときはラリー・ドライバーのマティアス・エクストロームが一緒だった)、アンドレアス・イニエスタ、そしてマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンとシャツ交換をしている。
ローリング・ストーンズとFCバルセロナがコラボした「ベロマーク」入りユニフォームが誕生するタイミングで、ローリング・ストーンズのミックジャガーとロン・ウッドが試合観戦に訪れた。2023年10月、モンジュイックのスタジアムで戦われた「エル・クラシコ」の一戦である。伝説的バンドの神話的メンバーたちはやはり「クレ」の立場から応援していたようだ。
そして、それはその場限りのことではなかった。数日後、ヘタフェCFのホームスタジアムで行われたバルサの試合でも、ローリング・ストーンズのギタリスト、ロン・ウッドの姿が確認されたのだ。クラブのマフラーにあごを埋めながら、ピッチに真剣な視線を注いでいる。
言わずと知れたマイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ。このコンピュータ王とバルサは手を取り合い、ポリオ撲滅のためのキャンペーンを展開している。キャンペーンのスローガンは、バルサが「クラブ以上のクラブ」と言われていることをもじって、「ゴール以上のゴール、ポリオを撲滅しよう」となっている。