パリ五輪でもメダルラッシュ!スケートボード日本勢の強さのわけは
スケートボード日本勢の快進撃が止まらない。女子パークで15歳の開心那(ひらき ここな)選手が、2大会連続で銀メダルを獲得した。これにより、日本勢のメダル数を4にのばした。
東京五輪で銀メダルを獲得していた開選手。12歳10ヵ月は夏季の日本選手で史上最年少だった。『NHKニュース』によれば、開選手は東京五輪後の3年間で身長が20センチ近く伸びてスピードが大幅にアップ。苦手としていたエアが高く飛べるようになり、滑りのバリエーションが増えていた。それが2大会連続での銀メダルにつながったという。
女子ストリートは14歳の吉沢選手が金メダルに輝いた。NHKによれば、ボードを縦と横に回転させてからレールを滑り降りる大技「ビックスピンフリップボードスライド」を決め、今大会最高得点となる96.49を叩き出したという。
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さらに赤間選手(15歳)が銀メダルを獲得。女子ストリートの日本代表3人はいずれも世界ランキング5位以内にランクインしている。表彰台を独占する可能性もあったが、中山楓奈(なかやま ふうな)選手が大技に失敗し7位に沈んでしまった。
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男子ストリートは25歳の堀米選手が東京五輪に続く連覇を達成した。空中で横に270度回り板の後ろをレールに引っかけて滑り降りる超大技に成功し、スケートボードの種目全体で最高得点となる97.08点を叩き出した。それにより暫定7位から逆転を果たし、ついに金メダルに輝いた。
2023年の世界選手権を制し、男子ストリート世界王者としてパリ五輪に臨んだ白井選手(22歳)。自身の名を冠したオリジナルの大技で東京五輪のリベンジを狙うも、惜しくも4位。悲願のメダル獲得は叶わなかった。
東京五輪で新たに競技に加わったスケートボード。男子ストリートの堀米選手、女子ストリートの西矢椛(にしや もみじ)選手、女子パークの四十住(よそずみ)さくら選手が初代チャンピオンとり、全4種目の3つを制す圧倒的な強さをみせた。
さらに女子ストリートの中山楓奈(ふうな)選手が銅メダル、女子パークの開選手が銀メダルを獲得し、東京五輪ではパリよりも多い5つのメダルを得ている。
『Number』誌によれば、スケートボードの日本勢が世界で勝てるようになったのは2016年頃からだという。堀米選手を中心に、多くの日本人が世界を舞台に活躍し始め、東京五輪で怒涛のメダルラッシュ。日本勢はなぜここまで強くなったのだろうか?
「Olympics.com」によれば、日本は騒音問題や道路交通法により、街中でスケートボードを楽しむのは難しい。ほとんどの人がスタート時から通りではなく専用施設で滑っているほか、スクールで基礎をしっかり習得している選手が多いという。
また、パリ五輪代表に選ばれた選手のほとんどが英才教育を受けている。吉沢選手と赤間選手は7歳、堀米選手は6歳、白井選手と開選手にいたっては5歳の時からスケートボードを始めている。
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Webメディア「JBpress」によれば、日本にスケートボードブームが到来したのは90年代。当時、スケートボードに夢中になっていた若者たちが親世代となり、自身の子どもにプロスケーターになる夢を託したことが英才教育につながったという。
そんな子供たちの成長が東京五輪と重なった。『毎日新聞』によれば、日本の選手が大活躍したことで、公設のスケートパーク数が全国243カ所から475カ所に増加。練習場所が増えたことで競技人口も多くなり、全体のレベルアップにつながったという。
現在、スケートボードのストリートは世界ランキングTOP5位内に日本の選手が4人いる。女子パークもしかりで、TOP6の4人を占めている。国内で切磋琢磨することで、スケートボード日本勢は更に強くなったという。
五輪の影響は計り知れない。『報知新聞』によれば、パリ五輪で吉沢選手が金メダルを獲得すると、インスタグラムのフォロワー数が一夜にして3千人から3万8千人に激増したという。(現在は7万4千人)
東京五輪に続きパリ五輪でも日本勢が大活躍したことで、更に多くの子どもたちがスケートボードを始めることになるだろう。そして、4年後のロサンゼルス五輪には新たな若きスターが誕生しているに違いない。