メッキがはがれたパリ五輪の各メダル:選手から100個以上が返品される

古色蒼然……?
早くも劣化
「メダルの嘆かわしい状態」
4ヶ月で100人以上が返品
大会期間中の指摘も
「まるで戦地から戻ってきたような……」
同様の異変が次々と発生
リン・ウィリアムズのレアケース
「ワニ革」
「問題の生じたメダルはすべて取り替える」
原因は?
オリンピック以前にも返品が
古色蒼然……?

このメダルは少しばかり古びているように見えないだろうか。しかしこれは、昨年8月にパリ五輪で授与されたばかりのほぼ新品の銅メダルなのだ。

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早くも劣化

この銅メダルの持ち主は、フランスの競泳選手、ヨアン・ヌドイブルアール。男子4x100mメドレーリレーで獲得したものである。五輪閉幕から4ヶ月後の12月、ヌドイブルアールは手元のメダルの現在の様子をXで公開、その傷み具合をフォロワーと共有した。

「メダルの嘆かわしい状態」

これはヨアン・ヌドイブルアールのメダルに限った問題ではなかった。100人を超えるメダリストが、パリ五輪で受領したメダルの嘆かわしい状態について不満を抱き、すでにメダルをパリ造幣局に返品していたのだ。フランスのデジタル紙『La Lettre』が今年1月、このことを報じている。

写真:X - Yohann Ndoye Brouard

4ヶ月で100人以上が返品

同紙が指摘するように、メダルのこのような返品は五輪閉会からわずか4ヶ月のうちに起こった出来事である。大会委員会は送り返されたメダルについて、「数週間以内に」すべて交換するとしているが、交換作業がいつまでに完了するかは不明だ。

大会期間中の指摘も

パリ五輪メダルのひび割れや変色。そのような欠陥をいちはやく指摘したのは、米国のスケートボーダー、ナイジャ・ヒューストンだった。同選手の場合、早くも大会期間中にメダルに異変が現れたのだ。

写真:Instagram - Nyjah Huston

「まるで戦地から戻ってきたような……」

パリ五輪のスケートボード男子では、2024年7月29日に行われたストリートの種目で日本の堀米雄斗が会心のトリックを決めて金メダルを獲得、大会連覇を達成したことが記憶に新しい。その種目の銅メダルに輝いたのが米国のナイジャ・ヒューストンだった。『ガーディアン』紙によると、ヒューストンは授与の10日後にはメダルの異変に気づき、表面にさびのような模様が浮き出たメダルの映像をインスタグラム(ストーリー機能)で共有、「まるで戦争に行って戻ってきたようなメダル」というコメントを付した。

同様の異変が次々と発生

ナイジャ・ヒューストンの銅メダルに異変が起きていたころ、前出のヨアン・ヌドイブルアールのチームメイトで、一緒にメドレーリレーで銅メダルに輝いた競泳のマキシム・グルセもまた、自らの銅メダルに同様の異変が起きていることに気づいたという。

リン・ウィリアムズのレアケース

これとはまた異なる問題が発生したのは、米国の女子サッカー選手、リン・ウィリアムズの金メダルである。「HUFFPOST」によると、彼女のメダルはリボンから外れ、床に落ちてへこんでしまった。メダルとリボンを留める金具が緩んでいたことを落下の理由としているウィリアムズは、「もっと丈夫に作っておくべき」とコメントしている。

「ワニ革」

リン・ウィリアムズのケースはさておき、似たような投稿は他の選手からも続いた。『La Lettre』によると、フランス競泳チームのクレマン・セッキはインスタグラムに自身の銅メダルの写真を投稿、「ワニ革」というタイトルをつけた。

写真:Instagram - Clément Secchi

「問題の生じたメダルはすべて取り替える」

このような事態を受けて、国際オリンピック委員会は先に触れたように、問題の生じたメダルはすべて取り替えるとするコメントを出している。では、いったいなぜこんなことが起きているのだろう?

原因は?

直接的な原因は、メダルに塗られた塗料である。『La Lettre』によれば、メダル製造元であるパリ造幣局は以前、三酸化クロムという化学物質を含んだ塗料を使用していた。しかし、オリンピック開催前にEUの化学物質規制に変更が加わり、従来の塗料は使えなくなった。造幣局はその対応に遅れをとり、メダリストたちの落胆を招いてしまったのだという。

オリンピック以前にも返品が

さらに同紙は、パリ造幣局がオリンピック前の2023年10月、中国の通信大手ファーウェイにメダルを納品したものの、不良品として1万2千個以上が返品されたことに触れている。これらのメダルは社員表彰用として発注されたということだが、オリンピックのメダルと同様の問題が起きていたのである。

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