ブレイキンの湯浅亜美(25)選手:パリ五輪でメダル獲得を目指す
今年のパリ五輪に登場した新たな競技、ブレイキン。DJがかける音楽に即興で動きを合わせ、技術や表現力、独創性などを総合的に競う。今回はそんな新種目ブレイキンで金メダルを狙う湯浅亜美選手(25歳)をおっていこう。
アクロバティックな動きを取り入れたストリートダンスで、1970年代初頭に米ニューヨーク州ブロンクス地区の若者たちの間で生まれた。日本ではブレイクダンスと呼ばれることが多い。
湯浅選手のダンサーネームは「B-Girl Ami」。ブレイキンを踊るダンサーのことを、B-boyまたはB-girlと呼ぶからだ。
1998年12月に埼玉県で生まれた湯浅選手。『メンズノンノ』誌によれば、小学生1年生の時に姉のAyu選手(現在同じダンスチームに所属)の影響でヒップホップを習い始め、10歳でブレイキンに出会うと、たちまちのうちにのめり込んでいったという。
画像:instagram, @gfc_ami
2018年、世界最強のブレイクダンサーを決定する大会「Red Bull BC One」にB-girl部門が新設され、湯浅選手が栄えある初代女王の座に輝いた。
翌年の「WDSF世界ブレイキン選手権」と「世界アーバン大会」でも初代女王の座を手にしている。
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『シュプール』誌によれば、湯浅選手はブレイキンの「正解がなく、自由なところ」に魅力を感じているという。しかし、ルールが曖昧で自由だからこそ背景を学ぶことで表現の幅が広がると考え、色々な人から昔の話を聞いたり海外ダンサーのワークショップに参加したりして、ブレイキンについて深く学んだという。
また、同誌に衣装へのこだわりも語っている:「同じ動きでも服が異なるだけで見え方が変わると発見しました。試合でのスタイリングはダンスが映えやすいように、色やサイズまで気を配ります」
画像:instagram, @gfc_ami
Webサイト「American Express」によれば、努力は絶対で、ここまでやってできないならもういい、次にいこう、と思えるくらいの努力をする。だからこそ練習中心の生活を送るが、週に1度は踊らない日を設け体を休めることだけに集中しているという。
湯浅選手は一流のブレイクダンサー達から指導を受けながら、滑らかなトランジッション、精確なフットワーク、強烈なパワームーブを特徴とする独自のスタイルを築き上げたと、Red Bull のサイトが伝えている。
画像:instagram, @gfc_ami
2022年、「WDSF世界ブレイキン選手権」で2度目の優勝を果たすと、2023年に「RedBull BC One World Final」でも再び頂点に立った。世界最高峰とされる2つの大会を、2回ずつ制しているのだ。
画像:instagram, @gfc_ami
ブレイキンには基本となる4つのスタイルがある。立って踊る「トップロック」、フロアーに手をついて下半身を動かす「フットワーク」、スピンなどのアクロバティックな動きをする「パワームーブ」、音に合わせて動きを止める「フリーズ」の4つで、これらのスタイルを組み合わせてオリジナリティのあるダンスを作り出す。
多くのメディアで語っているように、湯浅選手は「どんなに高度な技ができたとしても、自分自身が『カッコいい』と思えなかったら絶対に使わない」という。
『GQ Japan』誌で、ブレイキンを初めて見る人に向けてこうアドバイスしている:「パワームーブが勝つときもあれば大技をやらずに勝つこともあるんですけど、この選手の方がうまいと思って見るより、この選手の方がカッコいいという見方をするほうが楽しめると思います」
ブレイキンはパリ五輪の最後を飾る種目で、コンコルド広場で行われる。ただひたすらにカッコ良さを追求する湯浅選手のダンスは、会場を大いにヒートアップさせるに違いない。
ブレイキン男子には、現在世界ランク1位の「Shigekix(シゲキックス)」こと半井重幸選手がいる。男女揃ってのオリンピック初代王者ともなれば、日本中にブレイキンの大ブームが巻き起こるにちがいない。