プレミアリーグのユニークなスタジアム20選
サッカーの最高峰、イングランドのプレミアリーグのスタジアムから轟く歓声は、文字通り大地を揺るがせるほど。その地響きはサッカーファンの心を熱く沸き立たせる。グディソン・パークからトッテナム・ホットスパー・スタジアムに至るまで、いずれも強烈な個性に溢れており、その特別感を満喫しようと、毎週のように多くのサポーターが足を運んでいる。
そのようなスタジアムに順位をつけることは、したがって、とても厄介な作業になる。今回は試合観戦に訪れる一ファンの身になってみて、体験の質、その良さを評価してみたい。会場の雰囲気(観客の盛り上がりや歓声など)、アクセスのしやすさ、設備面に着目した。ちなみに各スタジアムの収容人数はプレミアリーグのウェブサイトに記載の情報を元にしている。
バイタリティ・スタジアムの収容人数は1万1,307人、リーグ最小のスタジアムだ。そのコンパクトな作りのおかげで、選手のプレーを間近で見られる。その反面、収容人数の少なさから、大観衆が一体となった熱量のうねりといったものは生まれにくい。ボーンマス市のはずれに位置し、アクセスはいまひとつ。施設は旧式で、新しいスタジアムの先進性とは無縁だ。
ポートマン・ロードは、収容人数2万9,813人の由緒ある多目的スタジアム。ここを本拠地とするイプスウィッチ・タウンは、2024-25年シーズンに悲願のプレミアリーグ復帰を果たしており、自然と会場の雰囲気も良くなっている。ただし施設は古びている。街の中心部からほど近いところに位置しており、観客にとって都合のよい立地である。
セント・メリーズ・スタジアムは、現代的なデザインとすばらしいサイトラインを備えている。つまり、どの席からも選手の姿がよく見える。収容人数は3万2,384人。ただ、サウサンプトンの街中心部からやや離れており、アクセスはいまいち。設備の面では不足のないサッカー専用スタジアムだが、歴史の重みのようなものは希薄だ。
Gtechコミュニティ・スタジアムは、収容人数が17,250人、リーグの中では現代的かつ規模の小さい会場で、こじんまりとした作りが親密な雰囲気を演出する。サッカー専用。ウエスト・ロンドンに位置しておりアクセスしやすく、街とよく馴染んでいる。
キング・パワー・スタジアムは、レスター・シティの中心部近くに位置しており、アクセスが良い。ただ、3万2,259人という平均的な収容人数、そして機能重視のごくシンプルなデザインは、あるいは驚きに欠けるかもしれない。
2012年のオリンピック・パラリンピックのメイン会場として、ロンドン東部のストラトフォードに建設されたロンドン・スタジアムは、2016年からウェストハム・ユナイテッドの本拠地となっている。収容人数は6万2,500人。特徴的な屋根のデザインは一見の価値ありだが、陸上トラックが観客と選手を隔てている。アクセスは良し。しかし古参サポーターは今でも、苦楽をともにしたアプトン・パークのことを思って感傷的になってしまう。アプトン・パークは2016年に閉場するまで、100年以上にわたり同チームの本拠地だったのだ。
テムズ川沿いにたたずむクレイヴン・コテージは、レンガを積んだ外観が印象的な、昔ながらのスタジアムだ。収容人数は2万4,500人とコンパクト、気の利いた音響設備などは望むべくもないけれど、サッカーの聖地、イングランドの地から立ちのぼる香気のようなものを理屈抜きで感じることのできる美しいサッカー場である。
モリニュー・スタジアムも歴史の古いサッカー場だが、近年の大規模な改修によって設備が充実し、歴史の重みと現代性がバランスよく表現されている。収容人数は3万1,750人とまずまずで、ウルヴァーハンプトンの中心部に位置しているのでアクセスもしやすい。
セルハースト・パークはクリスタル・パレスの本拠地で、ゴール裏のスタンドに陣取るサポーター軍団「ホームズデール・ファナティクス」が応援の声をかたときも絶やさない。というわけで、雰囲気はつねにたっぷりなのだが、2万5,194人という収容人数、そしてスタジアムのやや古めかしい作りは、現代の基準からすると見劣りしてしまう。ロンドン南部に位置し、他のスタジアムと比べるとアクセスに難があるものの、客席とピッチの距離はかなり近く、これは大きな魅力である。
オールド・トラッフォードの収容人数は7万4,197人。そのキャパシティはリーグ最大、華々しい歴史を誇るマンチェスター・ユナイテッドにふさわしい堂々たるスタジアムだ。グレーター・マンチェスターの市街地に位置しておりアクセスもしやすい。しかし、設備の老朽化はいかんともしがたく、悪名高い雨漏り屋根や、高騰しつつあるチケット代には、サポーターも苦言を呈さずにはいられない。改修の話はなかなか進まないようだ。
リーグで最も歴史あるスタジアムの一つ、グディソン・パークはノスタルジックな魅力を持っている。3万9,414人を収容するこのスタジアムは「熊の巣穴」にしばしば喩えられ、その巣穴にひしめくサポーターの気迫にはすさまじいものがある。リヴァプールの市街地に位置しており格好のロケーションといえるが、いかんせん古く、客席に立つ無骨な柱が時代を感じさせる。別の場所に新しいスタジアム「エヴァートン・スタジアム」がまもなく開場予定である。
アメックス・スタジアムは流線的なモダンなデザインが特徴的なスタジアムで、収容人数は3万1,876人。2012年にトリノ(イタリア)で催された「TheStadiumBisinessAward」では世界一のスタジアムに選ばれており、一番安いシートを含め、どの場所からでもピッチ全体を見晴らすことができる。周囲を自然に囲まれており、ブライトン市街地からは少し遠い。環境にやさしいスタジアム運営が行われており、公共交通機関の利用が推奨されている。
2002年のコモンウェルスゲームズのために建設されたエティハド・スタジアムは、収容人数5万2,900人という巨大なサッカー場で、クラブの意気込みが感じられる。市街地に程近く、アクセスはとてもいい。ただ、ときには空席が目立つこともあるとか。
スタンフォード・ブリッジは、イングランドのサッカー界を代表するスタジアムの一つであり、100年以上の歴史がある。ロンドン西部の一等地にあってアクセスはすこぶるよく、収容人数は控えめの4万173人、雰囲気が良い。サッカー専用スタジアムのため間近でプレーを見られるのもうれしい点だ。ただ、他のトップクラブのスタジアムに比べるとやや小さめなので、試合日の収益面において劣り、施設が多少古びていることもあって、現代的なニーズをこれからどう満たしていくかが課題となっている。
ヴィラ・パークは時代を超えたクラシカルなスタジアムだ。収容人数は4万2,918人。遠方からのアクセスもよく、FAカップの準決勝の舞台に長年にわたって選ばれてきた。
シティ・グラウンドはトレント川のほとりにたたずむ、景観の美しいサッカー場である。収容人数は3万404人と控えめで、詰めかけたサポーターの歓声が心地よく響き渡り、ノッティング・フォレストの奮闘を後押しする。プレミアリーグで最も小さなスタジアムの一つだが、1898年開場の長い歴史を誇り、川沿いの好立地もファンの愛するポイントになっている。
2006年に完成したエミレーツ・スタジアムは、現代サッカーを象徴するような洗練されたデザインのサッカー専用スタジアムで、収容人数6万704人を誇る。北ロンドンに位置し、万全の設備が整っている。
トッテナム・ホットスパー・スタジアムは、現代建築の傑作に数え入れていいだろう。収容人数は余裕の6万2,850人。単層構造の南スタンドは、その34度の傾斜の上に、1万7,500人の観客を支えることができる。それだけのサポーターが一斉に歓声を上げる様子はまさに壮観。天然芝のピッチは格納可能で、その下からは人工芝の競技場が現れる。北ロンドンに位置し、アクセスしやすいのも大きな魅力だ。
アンフィールドはサッカー界を代表するスタジアムの一つである。歴史の重みと、他では味わえない独特の雰囲気。伝説的な「kop」スタンドから送られる声援がリバプールを叱咤激励する(写真)。最近の改修で収容人数が6万1,276人と多くなった。ロケーションはリヴァプール市街地から近く、アウェイチームのサポーターにもアクセスしやすい。
ニューカッスルの市街地に鎮座するセント・ジェームズ・パークは、「マグパイズ」ことニューカッスル・ユナイテッドの本拠地だ。収容人数は5万2,258人、南側のスタンド、ギャロウゲート・エンドに陣取るサポーターは特に声を大にしてマグパイズを応援する。アウェイのサポーターにはリーズ・スタンドと呼ばれる高い位置のスタンドがあてがわれるが、ここからだとピッチの選手はかなり遠い。もともと丘だったところにサッカー場を作った関係で、ピッチが南北に少し傾斜しており、そういった癖の強さがこのスタジアムをさらにユニークにしている。ニューカッスルの市街地に位置するためアクセスしやすい。
Sports Unlimited News をフォローして世界のスポーツをいつも手元に
ほかのおすすめ
お見逃しなく

