プロテニス選手、大阪なおみの軌跡:アジア人初の世界女王
女子プロテニスの大阪なおみ選手は、日本人として史上初のグランドスラム優勝を果たしたばかりか、アジア国籍で初めて世界ランキング1位に輝いたことで知られる。今回は、そんな大阪選手の軌跡を追って行こう。
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「Olympics.com」によれば、1997年10月16日に大阪で生まれた大阪選手は、テレビで見たセリーナ・ウィリアムズとビーナス・ウィリアムズ姉妹の試合に感化され、姉と共にテニスを始めた。そして、3歳の時に移住した米国で本格的なトレーニングを開始したという。
『日刊スポーツ』紙によれば、幼少期に大阪選手のコーチをしていたのは、ハイチ共和国出身でテニス未経験者の父親。ウィリアムズ姉妹がテニスを知らない父親の指導を受け、公営コートから世界の頂点に羽ばたいたことから、大阪選手の父親は「自分たちもできる」と思ったのだという。
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そのため、世界ジュニアツアーに参戦したことのないウィリアムズ姉妹にならい、大阪選手はアメリカ国内の一般大会で力をつけていった。そして、プロツアー出場資格が得られる14歳になると、プロツアーの下部大会に出場するようになったと「Olimpics.com」が伝えている。
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大阪選手は16歳の時に大番狂わせで格上選手を倒す「ジャイアントキリング」を起こした。元全米オープン女王(2011年)で、当時の世界ランキング19位のサマンサ・ストーサー選手を相手に勝利を収めたのだ。大阪選手の当時の世界ランキングは406位で、まったく無名のプレイヤーだった。
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その後も順調に勝利を重ね、2016年には世界ランキングTOP50入りを果たした。そして2018年3月、グランドスラムに次ぐカテゴリーのプレミア・マンダトリートーナメントでWTAツアー初優勝を飾る。
大阪選手の快進撃は止まらない。2018年9月、日本人として初となるグランドスラム優勝を成し遂げた。全米オープン女子シングルス決勝で、元世界ランキング1位のセリーナ・ウィリアムズをストレートで下し、20歳で初優勝を飾ったのだ。
ところが、国民的スターであるセリーナの優勝を期待していた米国の観客から大きなブーイングが起きてしまう。表彰式で大阪選手は涙をながしこうコメントした:「みんなセリーナを応援しているのは分かっている。こんな結果になってごめんなさい」
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米メディアはブーイングした観客たち、そしてセリーナ選手が主審を罵倒することを甘受した大会関係者たちを酷評した。「全米テニスが大阪選手にしたことは恥ずべきことだ」と批判する記事を一斉に掲載したのだ。『報知新聞』が伝えた。
大阪選手は続く2019年の全豪オープンでも優勝を飾った。『スポーツニッポン』紙によれば、グランドスラム初優勝からの連覇は18年ぶり史上6人目の快挙だという。
こうして、大阪選手はついに世界の頂点に上り詰める。2019年1月28日付けの世界ランキングで、男女を通じてアジア人初となるシングルス世界1位の座に輝いたのだ。
2020年は新型コロナウイルス感染症の流行で、ツアーが一時中断。しかし、再開後の全米オープン(2020年9月)で、大阪選手は2度目の優勝を飾った。さらに翌年の全豪オープン(2021年)でも2度目の優勝を果たす。
「Olympics.com」によれば、大阪選手の強さの秘密は180㎝の長身から繰り出される角度のあるサーブ。時速200km近くにおよぶサーブ速度は大会1位になることが多い。また、メンタル成長と安定もテニスの強さにつながったという。
また『サンケイスポーツ』紙によれば、一般的には糸を引く強さを一定に揃えたラケットを数本試合に持ち込む選手が多い。しかし、大阪選手は状況によって使い分けられるよう、球がとびやすくなるよう糸を緩めに張ったラケットと、飛びにくくなるよう強めに張ったラケットの2種類を用意して試合に臨むという。
2021年はコートの内外でつまずいてしまう。その年の全仏オープンを棄権することを発表したほか、自身のSNSを通じ、2018年の全米オープン以降は不安症に悩まさるなど心の問題を抱えていることを告白。しばらくの間コートを離れる意向を明らかにした。
2022年1月に4ヵ月ぶりのツアー復帰を果たすも、ケガのため度々戦線を離脱することを余儀なくされた。この年は5年ぶりに優勝のないシーズンとなり、最終順位は42位に終わった。
2023年1月11日、自身のXとインスタグラムに超音波検査の写真を投稿し、妊娠していることを明かした。お相手は2019年から交際しているラッパーのコーデ―だ。
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2023年7月、長女シャイを出産した。『SPUR』誌によれば、破水して12時間経っても子宮口が1cmしか開かない長時間のお産となり、娘の首にはへその緒が巻き付いていたという。こうした出産体験がトラウマとなり「これ以上は欲しいと思わない」と語っている。
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2024年1月に実戦復帰を果たしたが、なかなか思うような結果を残せずにいる。自身のインスタグラムでも「一体何がおきているの?」と不安を綴っている。
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一方、大阪選手はファッション面でも注目を浴びている。8月の全米オープンに2年ぶりに出場した大阪選手のユニフォームは『めざましテレビ』によれば、大きなリボンとフリルが特徴で、原宿にインスピレーションを受けて作られたという。
度重なるケガにより、今期の成績は振るわなかったが、大阪選手の完全復帰を世界中のファンが待ち望んでいる。
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