ボクシング井上尚弥選手が”悪童”ネリ選手を撃退:人生初ダウンでヒヤリとする場面も

”悪童”ネリが”モンスター”井上に挑戦
人生初のダウンを喫した井上選手
実力を見せつけてタイトル防衛
昨年12月に4団体王座統一
『ザ・リング』誌の「ファイト・オブ・ザ・イヤー」
4団体王座統一に向けた1戦目
雪辱を誓うフルトン選手
2戦目の相手はマーロン・タパレス選手
タパレス選手のコメント
弟もボクサー
父の影響でボクシング開始
”モンスター”の誕生
ライトフライ級でプロデビュー
2階級制覇
「ノックアウト・オブ・ザ・イヤー」
ノニト・ドネア選手との好マッチ
バンタム級で4団体統一王者に
さらなる強敵を求めて
次の対戦相手は……
”悪童”ネリが”モンスター”井上に挑戦

2018年に行われた山中慎介選手との一戦で体重超過を犯した挙句、ドーピング疑惑まで吹き出し、すっかり”悪童”のイメージが定着してしまったルイス・ネリ選手(メキシコ)。そのネリ選手が”モンスター”こと井上尚弥選手に挑むとあって、5月6日に東京ドームで行われた4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチは注目の的となった。

 

人生初のダウンを喫した井上選手

とはいえ、下馬評では井上選手がネリ選手を圧倒して勝利するものと見られていた。ところが、第1ラウンドでネリ選手が思いがけない見せ場を作る。NHKをはじめメディア各社が報じている通り、ネリ選手は”モンスター”の顔面に左フックをお見舞いし、井上選手にとって人生初となるダウンを奪ったのだ。

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実力を見せつけてタイトル防衛

しかし、ここから”モンスター”の逆襲が始まる。第2ラウンドでダウンを奪い返し主導権を取り戻すと、第5ラウンドでも再びネリ選手をダウンに追い込む。続く第6ラウンドでは、強烈な連打を繰り出してネリ選手をマットに沈め、TKO勝ち。スーパーバンタム級4団体統一王者のタイトル防衛に成功した。

昨年12月に4団体王座統一

井上選手は昨年12月26日に東京で行われたタパレス戦でKO勝ちを収め、スーパーバンタム級4団体統一王者のタイトルを獲得していた。また、2022年にはバンタム級でも世界ボクシング協会(WBA)・世界ボクシング評議会(WBC)・国際ボクシング連盟(IBF)・世界ボクシング機構(WBO)から世界王者に認定されており、史上2人目となる2階級での4団体王座統一を成し遂げている。

 

『ザ・リング』誌の「ファイト・オブ・ザ・イヤー」

『日刊スポーツ』によれば、米国の大手ボクシング誌『ザ・リング』は、この活躍を受けて井上選手を年間最優秀選手に選出。日本人ボクサーとしては史上初の快挙だ。

 

4団体王座統一に向けた1戦目

井上選手の4団体王座統一は2度の戦いによって成し遂げられた。1戦目の相手はスーパーバンタム級のWBC・WBO世界王者だったスティーヴン・フルトン選手だ。2023年7月に行われた試合では、井上選手が第8ラウンドでフルトン選手に猛攻を加え、TKO勝ちを奪うという展開になった。

雪辱を誓うフルトン選手

『スポーツ報知』によれば、敗北を喫したフルトン選手は「悔しいけれど、しょうがない」とコメントしつつ、次は井上選手を打ち破って雪辱を果たすという決意を露わにしたという。

2戦目の相手はマーロン・タパレス選手

そして12月、今度はWBA・IBF世界王者のタイトルを保持していたマーロン・タパレス選手と対戦。NHK放送によれば、井上選手は序盤こそ攻めあぐねたものの、第4ラウンドにダウンを奪うと試合の主導権を握り、第10ラウンドには強力な右ストレートで再びダウンを奪って、KO勝ちを収めたという。

タパレス選手のコメント

メディア各社によれば、試合前のタパレス選手は「2,000%勝つ」と自信を見せていたが、KO負けを喫した試合後のインタビューでは、井上選手のスピードに脱帽した様子だったとのこと。

弟もボクサー

井上選手は1993年生まれ。神奈川県出身だ。弟の井上拓真選手もプロボクサーで、2023年にはWBAのバンタム級世界王者となっている。井上尚弥選手はスーパーバンタム級に階級を変更する前、バンタム級の4団体統一王者だったので、兄が返上したタイトルを弟が取り戻す形となった。

父の影響でボクシング開始

フジテレビによれば、井上選手がボクシングをはじめたのはアマチュアボクサーだった父がカッコよかったから。以来、父の指導のもと実力を蓄え、中学・高校時代からアマチュア選手として異例の活躍を見せはじめる。

写真左が父の井上真吾氏

”モンスター”の誕生

2012年には、大橋ボクシングジムに入門し、プロ転向を発表。井上選手に”モンスター”という愛称をつけたのは同ジムの大橋会長だが、このネーミングはかつて”怪物”と呼ばれた元メジャーリーガーの松坂選手にあやかったものだという。ちなみに、大橋会長は井上選手を含め、男女5人ものボクシング世界王者を輩出した名指導者として知られている。

ライトフライ級でプロデビュー

プロボクサーとしてデビューした当初、井上選手はライトフライ級の選手として王者たちに挑み、2014年にはWBC世界王座を獲得した。しかし、減量に苦戦したことなどから、階級を上げスーパーフライ級に転向する。

2階級制覇

そして同じ年、スーパーフライ級のWBO世界王者だったオマール・ナルバエス選手を下し、あっという間に2階級制覇を達成。王者となってからは圧倒的な強さで挑戦者たちを次々に退けたが、2018年にふたたび階級を変更、バンタム級に挑む決断を下した。

「ノックアウト・オブ・ザ・イヤー」

翌年、井上選手はバンタム級のWBA世界スーパー王者ファン・カルロス・パヤノと対戦。それまで負けなしだったパヤノを第1ラウンドでKOで沈め、『ザ・リング』誌から「ノックアウト・オブ・ザ・イヤー」を贈られている。

ノニト・ドネア選手との好マッチ

この年にはさらに、WBAのバンタム級世界スーパー王者だったノニト・ドネア選手と対戦。5階級制覇という記録をもつ相手に苦戦させられるものの、ダウンを奪って判定勝ち。ドネア選手とは2022年にふたたび相まみえ、今度はTKO勝ちを果たした。

バンタム級で4団体統一王者に

そして2022年、バンタム級のWBO世王者ポール・バトラー選手と対峙。4団体統一王者の座をかけた一戦だったが、防御に徹して勝負に出ないバトラー選手を井上選手が攻めあぐねる展開となった。しかし、最後は井上選手が第11ラウンドで連打を繰り出し、見事KO勝ちを果たした。

さらなる強敵を求めて

バンタム級を制覇した井上選手はさらなる強敵を求めてスーパーバンタム級に階級変更を行うが、ここでも圧倒的な強さを見せつけ、昨年12月にふたたび4団体王者統一を達成。

次の対戦相手は……

そして、今回のネリ戦でスーパーバンタム級4団体統一王者のタイトル防衛に成功した井上選手。『スポーツ報知』紙によれば、次の対戦相手はサム・グッドマン選手(オーストラリア)で、今年9月のマッチを視野に交渉中だとのこと。

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