メッシがパリ・サンジェルマンを退団:今後の行方は?
6月1日(木)、フランスサッカー1部リーグ、パリ・サンジェルマン(PSG)のクリストフ・ガルティエ監督は、リオネル・メッシの退団を明らかにした。かねて退団のうわさがあったものの、予定より早い決定となった。
「メッシにとり6月3日(土)の試合が本拠地パルク・デ・プランスでの最後の試合となるが、温かく見送られることを願っている」とした。メッシのファイナルマッチ、PSGはホームでクレルモンと対戦し2-3で敗れた。
メッシとPSGとの契約終了は6月30日であったが、終了を待たずに退団が決まった。今後、メッシはどこへ行くのだろうか?
ここ数週間(あるいは数か月)にわたり、PSGとメッシのコミュニケーションが円滑に行われておらず、契約も更新されないだろうと言われていた。
PSGに加入したメッシは2シーズンで74試合に出場、32ゴール34アシストという好成績を収めた。しかし、メッシはあまり居心地よいとは感じておらず、さらにPSGで優勝できるとは思えなかったようだ。では、アルゼンチン出身のスーパースターの新天地は果たしてどこになるのだろうか。
ここ数か月にわたり、メッシが古巣のFCバルセロナに復帰する可能性が取りざたされている。この可能性についてはさまざまなスポーツメディアが記事にしているだけではなく、FCバルセロナ自体もメッシ復帰を望むとしている。
FCバルセロナのジョアン・ラポルタ会長はさまざまな機会を通じ、メッシの復帰を願うコメントを出している。ジョー・ピンプラノのYouTubeチャンネル『スポーツの背後にあるビジネスと金』を通じ、「FCバルセロナはメッシに対し扉を開いており、彼もそれをわかっている」とコメント。
FCバルセロナの現監督、シャビ・エルナンデスも同様だ。今年3月の記者会見で監督は、「メッシが戻り、我々を助けてくれることを願っている。彼は世界で最高、そして史上最高の選手だからね。彼の復帰に向けて、だれよりも努力する用意がある」と旧友の獲得を願った。
しかし現実には、メッシが現在のFCバルセロナに再加入するのはむずかしいと考えられている。クラブには、世界的スター選手であるメッシに払う報酬を払うための予算的余裕がないのだ。
スペインの『アス』紙によれば、メッシがFCバルセロナに復帰するために何よりも必要な条件は、クラブの財政立て直しであり、これはラ・リーガの一員としても必要なことだという。
具体的には、FCバルセロナはクラブが支払う給与額を全体で2億500万ユーロ削減する必要があるという。ここにはサッカー部門はもちろんFCクラブが運営するほかのスポーツ部門も含まれ、選手放出も必要となることだろう。メッシの再獲得には大きな経済問題が立ちはだかっているのだ。
FIFAの認定エージェントの一人であるマルコ・キルデミルは「ラジオ・マルカ」のインタビューを通じ、メッシのFCバルセロナ復帰を否定。「メッシにはFCバルセロナに戻る考えはありません。戻るとすれば引退後でしょう」と明言。
こうした発言を受けて、メッシが新天地として選ぶ可能性が高い場所として中東リーグが挙がっている。実際、メッシの永遠のライバルであるクリスティアーノ・ロナウドも欧州を離れ、現在サウジアラビアリーグで活躍している。
実際、フランスの『レキップ』紙は、メッシに届けられた唯一の正式オファーは中東圏からだとしている。具体的にはサウジアラビアの「アル・ヒラル」がメッシに対し1シーズンで約4億ドルの報酬を提示、さらに同国政府も広告料として約3000万ドルを支払う用意があるという。
「アル・ヒラル」はサウジアラビアリーグの現チャンピオンであり、アジアチャンピオンズリーグで決勝に進出している。しかも現監督はメッシと同じくアルゼンチン出身のラモン・ディアスだ。
今年4月、フランスの『レキップ』紙は「メッシの代理人であるホルヘ・メッシは、契約条件交渉のためサウジアラビアに滞在していたようだ」と報じた。
サウジアラビアのサッカー界でアドバイザリーも行っているFIFAの認定エージェント、マルコ・キルデミルは「ラジオ・マルカ」に対し、数カ月前にマドリードで会合を行ったことを明らかにした:「現地ホテルでサウジアラビアの代表団と会合、メッシについて話し合いました。メッシがサウジアラビアを視察に訪れ、住まいを下見し、本人の家族がOKを出せば、サウジアラビアでプレーすることになるでしょう」
米国リーグMLSや、旧友イニエスタが所属した日本のJリーグといったアジア圏は選択肢から外されているようだ。さまざまなうわさがあるが、最も有力な説はサウジアラビアとされる。
また、イギリスの『The Times』紙によれば、数か月前からアメリカリーグMLSがメッシに接触を試みており、とくにデヴィッド・ベッカムがオーナーを務めるインテル・マイアミがメッシ獲得に乗り出しているとされる。
ただし、メッシは輝かしい引退を決める前に、いましばらく欧州のトップチームで戦いを続ける希望もあるようだ。欧州に残るとすれば、FCバルセロナに加えてプレミアリーグも魅力的な選択肢のひとつとなるだろう。
アルゼンチンのニュースサイト「TNTスポーツ」のアルトゥーロ・ブリアン記者は、メッシは2024年開催のコパ・アメリカにアルゼンチン代表で出場するなど重要な大会を控えていることから、レベルの高いエリアでプレーを続けるだろうと分析。技術面を重視するなら、米国リーグも中東諸国も対象外になるだろう。
「Goal.com」は、メッシがフリー宣言をするならプレミアリーグの有力クラブも獲得に名乗りを上げるだろうとしている。
ニュースサイト「Goal.com」によれば、メッシがプレミアリーグを選んだ場合ニューカッスル・ユナイテッドが移籍先の最有力候補となるという。同クラブは2021年にサウジアラビア系のコンソーシアムに買収され、リッチクラブの仲間入りを果たしている。
前倒しで発表されたメッシの退団、彼の新天地についてもここ数日で明らかになることだろう。引退にはまだ早いスーパースター、今後はどのチームで最高のプレーを見せてくれるのだろうか。