2024年サッカー界をリードするスペイン:その強さの秘密とは
サッカーのスペイン代表は、パスを主体とする独特なスタイルで2008年から2012年にかけて黄金時代を築き、「無敵艦隊」とまで呼ばれていた。ユーロ2024とパリ・オリンピックを制した今、スペインサッカーは当時の勢いを取り戻しつつあるのかもしれない。代表だけでなく、クラブに関してもレアル・マドリードとバルセロナが昨季、それぞれ男子と女子のUEFAチャンピオンズリーグを制覇。世界を席巻しつつあるスペインサッカーについて見ていこう。
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スペイン男子代表チームは、ドイツで開催されたユーロ2024決勝でイングランドを破り、ヨーロッパチャンピオンに。さらに、パリオリンピックでも男子代表は優勝を果たし、異次元の強さを見せつけた。
サンティ・デニア監督率いるスペイン男子オリンピックチームは、決勝で開催国フランスに5-3で勝利。サッカーでは史上2回目となるオリンピック金メダルを獲得した。延長までもつれこんだ試合は緊迫感あふれるスリリングな展開だったが、なかでもスペインの卓越したテクニックが光った。
これらのタイトルはスペインが獲得してきたもののごく一部に過ぎない。元サッカー連盟会長が同意なく女子選手にキスした「ルビアレス事件」で後味の悪さが残ったが、2023年には女子代表がワールドカップを制覇している。男女ともにスペイン代表が数多くのタイトルを独占していることは、ライバル国にとっては見過ごせない状況かもしれない。では、スペインはどのようにしてこれほどの圧倒的な強さを手にしたのだろうか?
意外なことに、ユーロ2024でのスペインの勝利は、2012年以来のユーロタイトルである。実際、「代表チームは2012年のタイトル以来、比較的不振な時期を過ごしてきた」と英放送局『BBC』は伝えている。それでも、スペイン代表は驚異的な勝負強さで見事に優勝を掴んだ。実際、スペイン代表の勝者のメンタリティを示す興味深い統計がある。
同放送局によれば、主要大会の決勝において、スペインのナショナルチーム・クラブチームは、他国の代表・クラブチーム相手に27連勝を飾っているという。具体的には、2001/02シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでレアル・マドリードが優勝して以来、ワールドカップやユーロといった主要大会の決勝に進出した場合、スペインのチームは必ず優勝を果たしているのだ。
同じような傾向は、過去10年間で目覚ましい進歩を遂げたスペインの女子チームにも見られる。サッカー専門サイト「トランスファー・マルクト」によると、スペイン女子代表は2023年のワールドカップとネーションズリーグで優勝。FCバルセロナの女子チームは過去2回UEFA女子チャンピオンズリーグで優勝している。
「スペインの女子チームの躍進は、スポーツ界に旋風をもたらしただけでなく、自国における女子サッカー人気も高めることになりました」とジャーナリストのマリア・ガリードは語っている。
スペイン男女代表チームの成功は、フル代表のみならず、育成年代の選手たちにも当てはまる。U-19とU-17代表がユーロ2024でともに優勝。ガリードいわく:「スペイン代表は非常に充実した結果を残していますが、育成年代についても同様です。あらゆるタイトルを総なめにしています」
スペインサッカーには非常に明確な独自のスタイルがある。現在は、かつて世界を席巻したパス主体の「ティキタカ」と、素早く前進するプレーがうまく融合している。この独特なプレースタイルは、それぞれの選手がポゼッションやプレス回避のための高度な技術、フィールド全体を俯瞰する視野を兼ね備えているからこそ実現できるものだ。
守備時のハイプレスと攻撃時の素早いパス回しは、スペインのプレースタイルの大きな特徴である。相手のラインを下げさせ、敵陣でのプレー時間を長くすることで、相手から自由を奪う。「相手チームがボールを持っていなければ、得点されることもない」というモットーは、2008年ころから黄金世代を築いた名監督ルイス・アラゴネスが考案したもので、スペインサッカーの基本であり続けている。
スペインサッカーの長期的な成功には、継続性も重要な要素になっている。スペイン代表を4度目のユーロ制覇に導いたルイス・デ・ラ・フエンテ監督は、多くの選手をU-19時代から指導してきた。選手に対する深い理解とチームの強い結束は、スペイン代表チームの大きな強みになっている。
「デ・ラ・フエンテ監督はアカデミー時代からほとんどの代表選手を知っていて、みんなでチームとして成長しているんだ」と元スペイン代表ミッドフィールダーのフアン・マタは『BBC』に語った。選手間の連携が基盤となるスペインサッカーのDNAは、「ファミリー」のようなチームの結束から育まれるのだろう。
クラブについても、スペイン勢は圧倒的な強さを発揮。ヨーロッパのクラブサッカーでスペイン勢は多くのタイトルを獲得しており、2024年のUEFAチャンピオンズリーグを制したのは男女ともにスペインのチームだった。
ヨーロッパの舞台では、レアル・マドリードが圧倒的な強さを発揮し、ヨーロッパサッカー史上最も多くのタイトルを獲得している。カルロ・アンチェロッティ監督率いる現在のチームは、2023-24シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ優勝に引き続き、4度目となるヨーロッパ・スーパーカップ優勝も果たした。
「白い巨人」の愛称で知られるレアル・マドリードの勢いは止まらない。今シーズンからは世界的ストライカー、キリアン・ムバッペが加入。さっそくヨーロッパ・スーパーカップではムバッペが2点目を決め、アタランタを降し、新シーズン最初のタイトル獲得に貢献している。
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