首位争いが白熱するラ・リーガ:久保建英・浅野拓磨選手の活躍を振り返る
数多くの熱戦が繰り広げられているスペインのラ・リーガ。開幕から、3強と呼ばれるレアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリードが白熱の首位攻防戦を繰り広げる一方、久保建英、浅野拓磨の両日本人選手も所属チームで奮闘している。ここでは、ラ・リーガ前半戦の首位争いと日本人選手の活躍を見ていこう。
今季就任したハンジ・フリック新監督は、見事な戦術的手腕でFCバルセロナに変化をもたらした。統率されたハイラインと高いインテンシティ、有機的な攻撃をチームに浸透させ、エースのレヴァンドフスキを中心にゴールを量産。チームを開幕から7連勝に導いた。
盤石の首位を維持していたバルセロナだが、シーズン中盤にはまさかの失速。第13節から第18節にかけて6戦未勝利(2分4敗)で、3位に転落。一部ではフリック監督の早期解任もささやかれる緊急事態となった。果たしてシーズン後半戦では、序盤に見せていたような圧倒的な強さを取り戻すことができるだろうか。
一方、FCバルセロナの永遠のライバルであるレアル・マドリードはバルセロナを猛追。第11節の直接対決エル・クラシコでは、バルセロナにホームで0-4の敗戦を喫したが、そこから勝利を積み重ね2位で折り返しを迎えた。トニ・クロース引退の影響も懸念されたが、モドリッチ、バルベルデ、ベリンガムといった中盤のタレントが穴を埋め、ヴィニシウス、ロドリゴらアタッカー陣も見事な活躍を見せている。
さらにポジティブなのは、今夏PSGから獲得したキリアン・ムバッペが徐々にフィットしつつある点だ。現在、得点ランキングでは10得点で3位となっているが、直近で出場した5試合では4ゴール1アシストを記録。2025年もこの勢いのまま得点を量産し、チームを優勝に導くような活躍ができるかに注目だ。
2024年終了時点で首位に立ち、「冬の王者」となったのはアトレティコ・マドリードだ。今夏、フリアン・アルバレスやコナー・ギャラガーといったタレントを積極的に補強した同チームは、シーズン序盤こそ躓いたものの、ディエゴ・シメオネ監督の三男ジュリアーノの活躍もあり、第12節以降はラ・リーガで7連勝を記録。
特に2024年の最終戦となった第18節FCバルセロナ戦では、試合終了間際に新加入のスルロートが劇的なゴールを決め、アウェイの地で2-1の逆転勝利。公式戦12連勝を飾り、バルセロナをかわして首位に立った。コケやグリーズマン、オブラクといったチームの核となる選手と新戦力が見事に噛み合いつつあるなか、後半戦もこの勢いを維持して優勝を果たすことができるだろうか。
久保建英が所属するレアル・ソシエダは、開幕から勢いに乗れず、ボトムハーフをさまよう厳しいシーズンに。そのなかで久保はチームの攻撃を牽引。幾度となく相手の守備陣をドリブルで切り裂き、決定的なクロスを上げている。久保自身もすでにリーグ戦3ゴールを記録。この数字をどこまで伸ばせるかにも注目だ。
しかし、出場すればチャンスメイクで大きく貢献する久保だが、今シーズンはベンチスタートとなることや途中交代でピッチから退く場面も多く見られる。90分通しての出場はわずか5試合にとどまっており、直近の第18節セルタ戦でも出番は26分間のみだった。この状況に、久保自身は満足していないとされている。
第2節では、途中出場でゴールを決めた後、スタメン落ちへの怒りとも受け取れるパフォーマンスをした久保建英。一時期はイマノル監督との確執も噂されていた。そのような状況もあり、冬の移籍の可能性が取り沙汰されている。アーセナルやアトレティコ・マドリードといった強豪チームが獲得に興味を示していると報じられているが、現状では残留が濃厚だ。
今季からマジョルカに加入したスピードスター浅野拓磨は、開幕戦からスタメンを掴み、コンスタントに試合に出場。ラ・リーガ初挑戦ながら、持ち前のスピードを活かし、チームに貢献。自陣でブロックを敷く守備も問題なくこなし、順調にスペインサッカーにフィットしているように見えた。
しかし、膝の怪我に悩まされ、第6節から10試合にわたって欠場。12月にようやく復帰を果たしたが、まだフィットネスの部分で本調子とは言えないようだ。ウィンターブレイク中に休養をとり、2025年からその爆発的なスピードを見せてくれることを期待したい。
ファンとしては浅野拓磨のラ・リーガ初ゴールが待ち望まれるところだ。直近の第18節ヘタフェ戦では、キーパーと1対1となる決定機を迎えたが、決めきれず。スペインでの初ゴールはお預けとなった。マジョルカは現在6位と好位置につけており、浅野拓磨のゴールでチームが上位進出を果たすことができるかにも注目だ。
ラ・リーガ後半戦の見どころは、なんといっても白熱の優勝争いだろう。三つ巴の争いを制して優勝を掴むのはどのチームなのか。はたまた3強以外のチームがそこに割って入るのか、熱戦が期待される。
そして、久保建英、浅野拓磨の両日本人選手の活躍も2025年のラ・リーガの見どころとなるだろう。4月13日にはレアル・ソシエダとマジョルカの対戦が予定されており、日本人対決が実現するかにも注目が集まる。
束の間のウィンターブレイクが明けると、待望のラ・リーガ再開だ。チームによっては1月初週にコパ・デル・レイ(国王杯)ラウンド32を戦い、リーグ戦の再開は2週目の1月11日からとなる。2025年のラ・リーガからも引き続き目が離せない。