レアル・マドリードの守護神ティボー・クルトワは史上最高のゴールキーパーなのか?
卓越したゴールキーパーと言えば、ジャンルイジ・ブッフォン、イケル・カシージャス、オリバー・カーン、ピーター・シュマイケルなどがすぐに思い浮かぶ。そして最近では、ティボー・クルトワがその仲間入りをしつつあるようだ。
ティボー・クルトワはベルギー出身のゴールキーパー。1992年生まれ。2018年からレアル・マドリードで6シーズン目を迎えている。昨シーズンは負傷に泣いたが、多くのファンから同クラブ史上最高のゴールキーパーと讃えられている。
ほんの少し前まで、多少の浮き沈みはあるにせよ、イケル・カシージャスがレアル・マドリード史上最高のゴールキーパーだとされていた。しかし今や、ティボー・クルトワのほうがカシージャスよりはるかに優れているとみなされている。
そして一部では、「クルトワはすでに史上最高のゴールキーパーである」と言い切る声もあるくらいだ。
クルトワを史上最高のゴールキーパーだとする人々は、その論拠としてゴール前での圧倒的な存在感を挙げる。身長200cmのクルトワは、長いウイングスパン(両腕を横に広げた幅)と俊敏な動きで、ゴールをほとんど隅から隅までカバーすることができるのだ。
くわえて、チャンピオンズリーグ決勝のリヴァプール戦(2022年)とドルトムント戦(2024年)などで、素晴らしいプレーでレアル・マドリードを勝利に導き、多くの観客を熱狂させたことも、ティボー・クルトワを史上最高のゴールキーパーだとする有力な理由となっている。
ともかく、ティボー・クルトワがすぐれて完成された現代的ゴールキーパーであることは間違いない。身長は文句なしの200cm、体もよく伸び、足元のスキルも相当だ。なにより、レアル・マドリードがかねてより苦手としていた空中戦で、圧倒的な成果を収めていることは特筆に値する。
また、ティボー・クルトワには致命的なミスが少ない。たしかに、2023年2月のチャンピオンズリーグ・ラウンド16ではミスを突かれ、相手リヴァプールFWのモハメド・サラーに点数を決められたことはあるけれど、それはあくまで例外だ。ちなみに、そのリヴァプール戦は5-2でレアルが歴史的大勝を収めている。
ティボー・クルトワを攻略するには、その裏をかく必要がある。そのことを知っている相手選手は、だから一瞬迷うことになる。その一瞬のスキが命取りとなり、決定機をむざむざと逃してしまうのだ。
クルトワについて特筆すべきは、1対1になったときの防御力である。クルトワはまさに壁として立ちはだかる。2024年9月18日現在、クルトワはレアル・マドリードの242試合に出場し、わずか222失点しか許していない。つまり、クルトワはチームの失点数を1試合あたり1点以下に抑えているのだ。
クルトワは2023年8月に左膝の靭帯断裂の重傷を負い、それが完治しかけた翌年3月に今度は右膝の半月板が断裂してしまった。しかしそれでも、5月に復帰を果たして5試合に出場、相手に1ゴールも許さなかった。しかも、5試合目はチャンピオンズリーグの決勝戦、ボルシア・ドルトムント戦だったのである。
大怪我を乗り越え、難しいシーズンをなんとか終えたティボー・クルトワ。「史上最高のゴールキーパー」の今シーズンの活躍から目が離せない。
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