ロシアの元金メダリストがロンドン爆撃を示唆:国内外から非難を浴びる
現ロシアのクロスカントリースキー連盟会長で、90年代に選手として活躍したエレナ・ヴァルベエレナ・ヴァルベが戦争を歓迎するような過激な発言で物議を醸している。
元オリンピック金メダリストとして知られる同氏の発言は、ロシアに課せられた制裁に反発する意図で出されたものと見られるが、その過激さから多くの批判を浴びることに。
同氏は、ロシアメディア「ニュース・ルー」のなかで、ウクライナ侵攻によりロシアが西側諸国から受けている制裁について持論を述べた。
「口にすべきではないかもしれませんが、思い切って言います。もしロシアがロンドン中心部に強力な爆弾を落としていたら、全てはすぐに解決していたでしょう。そうすれば、ロシア国民はどこに行くのも自由だったはずです」と彼女は同メディアに語った。
2016年のリオ五輪以来、ロシア選手はドーピング違反のため、国旗、国歌、国名を掲げて競技に参加することを禁じられている。さらに、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、国際オリンピック委員会は禁止期間を延長。ロシアとベラルーシは公式競技に参加できなくなった。両国の選手は、2024年パリ五輪では個人中立選手(AIN)として参加することを余儀なくされている。
同氏の発言は激しい反発を引き起こし、国外からだけでなくロシア国内でも危険で扇動的だと非難する声が多数上がっている。露紙『プラウダ』によると、ロシアのテレビ司会者ドミトリー・グベルニエフがこの発言にいち早く反対の意見を表明。
「良識ある人ならば、疫病から逃げるように今は彼女から距離を取るべきでしょう。ロシア代表チームのスキー選手、特に若い選手たちは、ヴァルベ氏の発言に怯え、ショックを受けているはずです」と同氏は語った。
英紙『Metro』によると、スピードスケートのロシア代表で五輪金メダリストでもあるスベトラーナ・ジュロワもヴァルベの発言を批判。「彼女はこのような発言から西側諸国を敵に回している。冗談のつもりかもしれないが、そうは受け取られていない。そのようなユーモアは受け入れられないだろう」と語った。
「ニュース・ルー」でのヴァルベの発言は、近年の制裁についてだけでなく、ロシアと西側諸国の関係全般についての意見でもあった。
「ロシアとそれ以外の各国との闘争は何世紀にもわたって続いています」とヴァルべは語った。「たとえ西側諸国がロシアに好意的なふりをしていたとしても、実際に好意を寄せていたことはありません。彼らは常に背後に鋭利な武器を隠し持っています。ロシアが強力で、全世界から恐れられているとしたら、それは好ましい状況です」
ロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国の対応により、同国のアスリートはスポーツ界で孤立を深めている。多くのスポーツ団体がロシア選手に対しての国際競技への参加を禁止しており、同国と国際社会の間では緊張が高まっている。
ウクライナ侵攻を声高に支持してきたヴァルべは、制裁そのものに不満を抱いていると思われる。英BBCが報じたところによると、2022年に同氏は「ロシアはウクライナと戦争状態にはなく、誰もウクライナを攻撃していない」と述べ、ロシアの侵略行為を否定。
現役時代のヴァルベは、世界的スキー選手として数多くのタイトルを獲得。1992年、1994年、1998年のオリンピックでは3大会連続で金メダルに輝いた。また、FISクロスカントリーワールドカップでは最多優勝 (45回)と最多表彰台(81回)の記録を保持。国際スキースノーボード連盟の記録によると、ヴァルベは 1988/89シーズン、1990/91シーズン、1991/92シーズン、1994/95シーズン、1996/97シーズンにワールドカップ制覇を成し遂げている。
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