史上初のパラ・トランスジェンダー選手にテニス界の伝説マルチナ・ナヴラチロワが不快感を示す

パラリンピックの歴を変えた選手
女子400メートル(視覚障害T12)
トランスジェンダー選手を好ましく思わない人も
元テニス選手マルチナ・ナヴラチロワ
「みじめな詐欺師」
トランス女性アスリートをどう扱うか?
「反吐が出そう」
大会ルールは完璧に満たしている
200m(視覚障害T12)にも出場
東京五輪は出場逃す
あるライバル選手の見解
「競技の世界は話が違う」
ペトリッロの考え
「オリンピックが待ち遠しい」
メラニ・ベルジェス・ガメスの抗議
国際パラリンピック委員会会長のコメント
組織としてルールを定めて前進を
パラリンピックの歴を変えた選手

パリ・パラリンピックでは史上初めてトランスジェンダー選手が出場を果たした。歴史を変えたのはイタリアの陸上選手、ヴァレンティーナ・ペトリッロ(51歳)だ。

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女子400メートル(視覚障害T12)

ペトリッロは、まず女子400メートル(視覚障害T12)に出場した。予選は58秒35のタイムで組2位となり、準決勝に進出。準決勝では自己ベストの57秒58を記録したものの、組の3位で決勝進出を逃している。

トランスジェンダー選手を好ましく思わない人も

ところで、トランスジェンダー選手がオリンピックに参加することを好ましく思わないアスリートもいる。チェコの元テニス選手、マルチナ・ナヴラチロワはその1人だ。

元テニス選手マルチナ・ナヴラチロワ

パリ・パラリンピックが始まる前、テニス界のレジェンド選手マルチナ・ナヴラチロワは、ペトリッロが今大会に出場することについて不快感を示した。

「みじめな詐欺師」

ナヴラチロワはX(旧Twitter)アカウントで、パラリンピックに出場する史上初のトランスジェンダー選手を「みじめな詐欺師」と呼び、ヴァレンティーナ・ペトリッロを容赦なくこきおろしたのだ。

トランス女性アスリートをどう扱うか?

ナヴラチロワはトランス女性アスリートがそうではない女性アスリートに混ざって競技することを間違いだと感じている。スポーツ系メディア「SportsKeeda」によると、彼女はトランスジェンダー選手が女性スポーツに参加することを禁じたアイダホ州の法律への支持を表明しているという。

「反吐が出そう」

さらにナヴラチロワは、Xに投稿されたペトリッロの紹介記事に反応して次のように書いている。「またひとり、男性が女性たちのトロフィーをくすねる。パラリンピックでも同じこと。反吐が出そう」。とはいえ、ペトリッロはパラリンピックに出場して新しい歴史を作りつつある。

大会ルールは完璧に満たしている

英紙『Metro』によると、ペトリッロは性別移行を5年前に終えており、世界パラ陸上競技連盟の定める出場要件を完璧に満たしているという。

 

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200m(視覚障害T12)にも出場

ペトリッロは2日に陸上女子400m(視覚障害T12)を終え、6日には200m(視覚障害T12)に出場した。この種目でも予選を通過したが、準決勝で敗退している。

東京五輪は出場逃す

ヴァレンティーナ・ペトリッロは1973年生まれの51歳。前回の東京パラリンピックは選抜から漏れてしまい、出場を逃した。パリ・パラリンピックは彼女にとって悲願の舞台である。

あるライバル選手の見解

もっとも、『デイリー・メール』紙によると、同じ種目のライバルであるカトリン・ミュラー=ロットガルト(ドイツ)はペトリッロの出場を歓迎してはいないようだ。ペトリッロは「これまで長きにわたり、男性として生活しトレーニングをしてきた」ので、生まれてからずっと女性として生活してきた自分のような選手よりも根本的に有利な立場にあるのではないか、とミュラー=ロットガルトは考えているという。

「競技の世界は話が違う」

ミュラー=ロットガルトはこうも言っている。「毎日の暮らしについては、すべての人が思い思いの仕方で快適に送るのが望ましいが、しかし競技の世界ではそう簡単にはいかないように思う」

ペトリッロの考え

ペトリッロは以上のような批判に対し、次のようにコメントしている。「私たちの自己表現は、自身のジェンダーと一体のものであるべきです。そしてスポーツは、インクルージョンの良い面を私たちに教えてくれるものであり、このことを基礎として人々の幸せは成り立つのです」

「オリンピックが待ち遠しい」

ペトリッロはパリ・パラリンピックの始まるまえに、こうも語っていた。「いますぐにでもパリに行って、あの美しい紫のトラックを走り、熱に浮かされた観客たちを肌に感じたいような気持ちです。そこでは想像を超えるような大きな愛を与えてもらえる気がします」

メラニ・ベルジェス・ガメスの抗議

しかしその一方で、ペトリッロが今大会の出場資格を得たことについて不服の申し立てが行われた。スペインのメラニ・ベルジェス・ガメス(Melani Bergés Gámez)は、ペトリッロが出場資格を得たことによってパリ・パラリンピックへの出場を逃してしまい、弁護士を立てて不服を申し立てたのだ。

国際パラリンピック委員会会長のコメント

BBCスポーツによると、国際パラリンピック委員会会長であるアンドリュー・パーソンズは、ペトリッロの出場を認めたことについて「批判を聞く覚悟はできている」と語る。

組織としてルールを定めて前進を

そして、「我々は自分たちのルールを尊重する必要があります。それを軽んじるわけにはいきません。個人としては意見があちこち揺れ動くこともありますが、しかし組織としては組織の規約に従う必要があるのです」と、毅然とした態度を打ち出している。

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