世界最高峰はエベレストではない?:学校常識を根底からくつがえす見解とは
小学生時代、だれもが「世界で一番高い山はエベレスト」と教えられてきたのではないだろうか。
しかし、実際は何を基準にするかで山の高さは異なってくる。世界最高峰を決めるのはそう簡単なことではないのだ。
『ナショナルジオグラフィック』誌によれば、標高約8,849メートルのエベレストは、海面より高い部分で世界一の高さを誇るという。
写真:Michael Clarke/Unsplash
しかし、地球にはふもとが海の中にある山も存在する。それを考えると、厳密にいえばエベレストは世界最高峰にはあたらないという専門家もいる。
写真:Neil Bates/Unsplash
たとえば米国ハワイ州のマウナ・ケアは海底から隆起した山であり、山のふもとは海の中にある。そのため海底から山頂までの距離を測ると1万205メートルとなり、エベレストを超えて世界で一番高い山となるのだ。ちなみにマウナ・ケアは約4,500年前に噴火した休火山だ。
ただし、アメリカ海洋大気庁によればマウナ・ケアの高さの半分以上が海中にあるため、標高はエベレストよりも低いのだそう。
写真:マウナ・ケアを背景にしたハワイ島
山の高さは海面からの距離で測るのが一般的だが、どこに基準をおくかによりマウナ・ケアが世界最高峰だとする人もいるわけだ。
写真:Observatorio Mauna Kea por Daniel Gregoire/Unsplash
BBCが発行する自然科学とテクノロジー専門マガジン『BBC Science Focus』によれば、地球は完全な球体ではなく、赤道部分がやや膨らんだ楕円形となっているため赤道付近の半径が最も長いという。
そのため地球の中心からの距離でいえば、赤道直下にあるエクアドルのチンボラソが世界で一番高い山とされる。
写真:Giovanni Poveda/Unsplash
チンボラソは標高6,310メートルの休火山で、赤道直下の南緯1度に位置しているため、地球上で最も太陽に近い山と称されている。
写真: Joris Beugels/Unsplash
とはいえ、山というものは通常、地球の中心からではなく海面、あるいは山のふもとから頂上までの高さで測定される。この測定方法をつかった場合、世界で一番高い山はどれだろう?
地球の表面はさまざまな形状をしていることから、アメリカ合衆国国立公園局によれば、山麓から山頂までの高さでいえばデナリの方がエベレストよりも914メートル高いのだという。ただし、デナリの海抜はエベレストより約2,743メートル低い。
いずれにせよ、世界最高峰とされる山々は登山者にとっては難関となる。高度が上がるほど気圧が低下して酸素が薄くなる。体に取り込める酸素の量が低下し、体内の酸素が不足してしまうのだ。
写真:Charlie Hammond/Unsplash
エベレストを世界で一番高い山だとすることについてはさまざまな意見があるが、複数の登山サイトが、エベレストを世界で最も登頂が困難な10の山のひとつに数えている。そして、トップ10の中に、本記事で紹介したほかの山は含まれていないのだ。
ヒマラヤのデータベースによれば、1922年に記録を取り始めて以来、エベレスト登山における死亡者数は少なくとも322人に上っている。年間平均死亡者数は4,4人だという。