中村俊輔から本田圭佑まで:日本が誇る名フリーキッカー5選
直接フリーキックからのゴールは観客を魅了するサッカーの花形とも呼べるプレーだ。目にも留まらぬ弾丸シュートや鮮やかな弧を描く芸術的なシュート、無回転シュートといった多彩なキックがファンたちを沸かせてきた。ここでは、日本を代表するフリーキッカーたちを見ていこう。
日本を代表するフリーキックの名手と言えば、まず思い浮かぶのは中村俊輔だろう。「黄金の左足」とも呼ばれた利き足から繰り出される変幻自在のキックで何度も直接フリーキックを決めてきた。Jリーグではフリーキックで歴代最多の24ゴールを記録している。
特に印象深いのは、2006/07シーズンにUEFAチャンピオンズリーグのグループステージ第5節マンチェスター・ユナイテッド戦で決めた直接フリーキックだ。ゴールから約30メートル、敵陣右寄りから放った一撃は、完璧な軌道でゴールに吸い込まれた。これが決勝弾となり、セルティックは1-0で勝利。セルティックは決勝トーナメント進出を決めた。このゴールは今でも多くのファンに伝説として語り継がれている。
ガンバ大阪やジュビロ磐田で活躍し、日本代表の中盤を長年牽引してきた遠藤保仁は、フリーキックの名手としても知られる。強い回転をかけた正確な右足のキックが特徴の遠藤は、クラブと日本代表の両方でフリーキックのキッカーを任され、多くのゴールを獲得。Jリーグでも中村俊輔に次ぐ歴代第2位の直接フリーキック得点数(17得点)を記録している。
日本代表として臨んだ2010年の南アフリカW杯では、重要な局面で直接フリーキックも決めている。グループリーグ第3節のデンマーク戦で自らキッカーを志願し、直接フリーキックでW杯自身初得点を挙げた。デンマークに勝利した日本代表は、アウェーで初となるベスト16入りを果たした。
鹿島アントラーズのレジェンドで、日本代表でも活躍した小笠原満男は、中盤で攻守に存在感を示すだけでなく、フリーキックでもチームを勝利に導いてきた。Jリーグの直接フリーキック得点数でも中村俊輔、遠藤保仁に続く歴代3位タイ(15得点)にランクイン。
小笠原満男のキャリアの中で最も劇的な直接フリーキックでのゴールは、2001年Jリーグチャンピオンシップ第2戦、ジュビロ磐田相手に決めた一撃だろう。年間優勝を賭けたライバル同士の一戦は、スコアレスで延長までもつれこんだ。Vゴール制(先に点数を決めた方が勝利)の延長戦で、小笠原は見事に延長前半100分で左寄りからのフリーキックを直接決め、鹿島アントラーズを前年からの連覇に導いた。
小笠原満男とともに15得点でJリーグ歴代3位タイの直接フリーキック得点数を誇るのが、東京ヴェルディやヴィッセル神戸などで活躍した三浦淳宏だ。中盤や左サイドバックなど複数のポジションをこなし、日本代表にも選出された三浦淳宏は、変化量の大きい「ブレ球」を得意とし、見事なフリーキックを決めてきた。
得意のブレ球で、無回転キックのパイオニアとも呼ばれる三浦淳宏。その才能が遺憾無く発揮されたのが、2001年のJリーグ開幕戦だ。東京ヴェルディ1969に移籍したばかりだった三浦は、開幕戦でFC東京と対戦。東京スタジアム(現:味の素スタジアム)の柿落としとなった重要な一戦で、見事なブレ球の直接フリーキックを決め、同スタジアムでの最初の得点者となった。
CSKAモスクワやACミランといった海外の強豪クラブで活躍し、日本代表にも大きな足跡を残した本田圭佑は、無回転フリーキックの名手で、予想外の軌道を描く魔法のようなキックを見せてきた。日本代表やJリーグ、海外クラブのそれぞれで直接フリーキックから得点をあげ、通算20ゴール以上を記録している。
ロシアの名門クラブCSKAモスクワで活躍を果たした本田圭佑は、2013年にイタリアの強豪ACミランに移籍。伝統あるチームで10番を背負った。ミラン時代で特に印象深いのは、2014/15シーズン第6節キエーヴォ戦で決めた直接フリーキックだ。78分にミランがフリーキックを獲得した際、多くの選手がボールに集まる中、本田圭佑は断固としてボールを譲らず。結果的に左足のシュートをゴールに突き刺し、見事な得点を決めた。本田圭佑の素晴らしい技術と物怖じしないメンタルを象徴する一撃だった。