卓球少女「愛ちゃん」 が送った波乱の半生:キャリアの成功から”長男連れ去り事件”まで
幼いころから「天才卓球少女」として注目を集め、現役引退まで日本の卓球界をリードし続けた「愛ちゃん」こと、福原愛選手。競技を離れてからは不倫疑惑や離婚騒動、長男連れ去りなどスキャンダラスな話題にも事欠かない。そこで、今回は愛ちゃんが現役時代に達成した輝かしい活躍を振り返りつつ、気になる現在の様子ものぞいてみよう。
愛ちゃんが日本中に知られるようになったのはわずか4歳のとき。年上の小学生たちを相手に連勝する一方で、負け試合になると見せる悔し涙が話題を呼び、一躍お茶の間のアイドルとなったのだ。
メディアからの(ときに過剰な)注目を一身に集めつつ、順調に活躍を続けた幼いころの愛ちゃん。その後、10歳の若さでプロデビューを果たした。
高校生になった愛ちゃんはオリンピック出場について「夢の夢の夢の夢」と語っていたが、15歳にして2004年アテネ五輪の出場権を獲得。ダブルスでは予選敗退を喫したものの、女子シングルスで4回戦まで進み、ベスト16入りを果たす。
はじめてのオリンピック出場で、いきなりベスト16入りを果たした愛ちゃん。しかし、本人はその結果に満足していなかった。五輪公式サイト「olympics.com」によれば、五輪は楽しめたかとのんきに尋ねる記者に対し、「楽しむために来たんじゃありません」と答え、悔しさをにじませたという。
さらなる高みを目指す愛ちゃんにとって、次の挑戦の舞台となったのは卓球の本場、中国だ。2005年に中国卓球スーパーリーグの遼寧本鋼チームと契約し、並み居る強豪たちと切磋琢磨してゆくこととなった。
写真は来日した中国の胡錦涛国家主席(当時)とともに(2008年)。
愛ちゃんにとって2回目となるオリンピック、2008年北京五輪。今回は日本選手団の旗手に選ばれ、入場行進を先導する立場に。『スポーツニッポン』紙によれば、大役を任された愛ちゃんは当時、団旗の「重さを感じる」とコメントしたそうだ。
北京五輪では4回戦でランキング1位の張怡寧(ちょう・いねい)選手と対戦。さすがに力負けしてしまったものの、全力を出し切った上での敗退であり、悔いはなかったようだ。また、2007年には早稲田大学に入学。在学中は日本卓球リーグや国際卓球連盟のワールドツアーで活動を行っていたが、大学の方は2010年に退学する運びとなった。
それまではシングルスでの活躍が中心だった愛ちゃん。しかし、このころからダブルスでも実力を見せつけるように。とくに、石川佳純選手とのペアでは、国際卓球連盟のワールドツアーでたびたび優勝を手にしている。
2012年ロンドン五輪ではシングルスで自身初となる準々決勝進出を果たすも、世界ランキング1位の丁寧選手と対戦し敗退。一方、団体戦では平野早矢香選手、石川佳純選手とともに決勝に進出し、日本史上初となる銀メダルを手にして笑顔を見せている。
ロンドン五輪後、かねてから負傷していた右ひじの手術を受け、しばし休養。すぐに復活を遂げて安定した強さを見せつけたが、2014年に今度は足の骨折に見舞われてしまう。
このような中、迎えた2016年リオデジャネイロ五輪だったが前回以上の奮闘を見せ、シングルスでは準決勝進出を果たした。ここで中国の李暁霞(り・ぎょうか)選手と対戦するも黒星。3位決定戦では北朝鮮のキム・ソンイ選手に敗れ、惜しくもメダルを逃してしまった。
また、オリンピックの舞台で連戦する中で足を故障。団体戦では思うような活躍を見せることができなかったものの、3位決定戦で勝利に貢献し、銅メダルを獲得している。
そして、サプライズはオリンピック終了後。台湾の卓球選手、江宏傑(こう・こうけつ)選手との結婚を発表したのだ。台湾で挙式した際にはウェディングドレス姿が話題になったほか、東京ディズニーランドでも披露宴を行うなど、日台双方の卓球ファンから大きな注目を浴びることとなった。
カメラの前で仲睦まじい様子を披露したばかりか、SNS上でも幸せな結婚生活を発信していた愛ちゃん夫妻。翌年には長女が誕生、2019年には長男が生まれるなど、円満家庭を築いたかに見えた。ところが……
2021年に『女性セブン』誌が愛ちゃんの不倫疑惑をスクープ。知名度抜群の夫婦だっただけに、思いがけない大騒動に発展してしまった。夫のモラハラから浮気に走ってしまったのではという風説も流れたが、真相は闇の中。結局、2021年7月に離婚が成立した。
しかし、騒動はこれで終わりではなかった。メディア各社によれば、愛ちゃんは元夫のもとから息子だけを日本に連れ出し、台湾に帰そうとしなかったというのだ。これに対し、東京家庭裁判所は長男の引き渡しを求める保全命令を下したが、愛ちゃんは強く反論、自らの正当性を主張した。
その結果、江宏傑選手は愛ちゃんを相手取って告訴する姿勢を見せるなど、かつての仲良し夫婦は不俱戴天の敵どうしに。一時は愛ちゃん逮捕の可能性が報じられる事態にまで発展したが、今年3月に本人が記者会見を開いて元夫側と和解に至ったことを報告し、”長男連れ去り事件”はひとまず幕を閉じた。ちなみに、長女は以前から江宏傑選手とともに台湾で暮らしているとのこと。
日台を股にかけた親権争いの影響を受けてか、新たな活動の場を求める愛ちゃんの視線は中国に向いているようだ。『東京スポーツ』によれば、中国のSNS上で「私の半分は中国人」と発言し、中国人ファンを喜ばせたとのこと。
写真:北京で開催された和食イベントで(2019年)
とはいえ、愛ちゃんの活動はいまのところ日本が中心だ。実際、2021年からは青森大学で客員准教授を務めている。『スポーツ報知』によれば、大学側は現在のところ教員としての愛ちゃんの活動を見直す予定はないと発表。一安心と言いたいところだが、これまでに1度しか講義を行っていないというのが少々気がかりではある。
また、2021年には社会貢献活動のために「omusubi」という企業を設立し、代表取締役に就任。ただし、具体的な活動はまだ始まっていないようだ。天才少女として幼いころから日本の卓球界をリードし続けた愛ちゃん。引退後は思わぬスキャンダルに見舞われることになってしまったが、持前の粘り強さを発揮し新たな舞台で活躍してくれることを期待しよう。