16億円を超える詐欺被害に遭ったウサイン・ボルト:世界最速のアスリートが被った悲劇とは
男子陸上短距離の元五輪金メダリストで、史上最速のウサイン・ボルトが、自身よりもさらにスピーディな人間に遭遇した。ボルトの口座から1270万ドルを盗んだ人物だ。
陸上競技のスーパースターとなったジャマイカ出身のボルトは、2022年の末に投資会社ストックス・アンド・セキュリティーズ社に預けていた1270万ドルが、わずか2か月の間に1万2000ドルにまで減少したのを目の当たりにした。
かなりの財産を失った後で『ジャマイカ・オブザーバー』紙の取材に応じたボルトは「破産した訳ではないが、大打撃を受けた」と語った。それではボルトには今、どれくらいのお金が残っているのだろうか?
『フォーブス』誌によれば、ボルトは今回の事件で大金を失う前に、1億ドル以上の純資産を持っていたという。
ウサイン・ボルトは人類史上最速のスプリンターだ。経済的な大打撃を受けたにもかかわらず、まだ9000万ドルほどの富を残している。
『ジャマイカ・オブザーバー』紙にボルトはこう語った:「大きな打撃です。私には3人の子供がいて、両親の面倒を見ていることは誰もが知っています」
また、ボルトは詐欺にあった額の一部は、ジャマイカでの社会活動のために使用されるはずだったとしている。ボルトは、常に自国のあらゆる種類の社会連帯活動に非常に力を入れているからだ。
写真:Instagram - @usainbolt
ボルトはジャマイカを離れるという噂を打ち消すために断言した:「どこにも行かないし、移住もしません。国を変えるつもりもありません」
写真:Instagram - @usainbolt
「今まで頑張って得たものを失ってしまったので悲しいです。しかし、どんなことがあっても、私は自分の国を愛しているし、これからもずっと愛し続けます。自分にできることは何でもするつもりです」と語った。
問題はボルトのお金がどこにあるのかだ。現時点ではFBI をはじめ誰もそのありかを知らないが、数百万ドルに及ぶ詐欺であるため調査が開始された。
ボルトの弁護士は、犯人がだれであれ盗んだ金を返却してほしいとして10日間という期間を設けていた。しかし、猶予期間が過ぎても戻ってくることはなかった。
一方、FBIはナイジェル・クラーク財務大臣を中心とするジャマイカ政府とともに捜査を進めている。クラーク財務大臣は詐欺の被害に遭った人々に謝罪し、国際的な支援を呼びかけた。
クラーク財務大臣によると、ストックス・アンド・セキュリティーズ・リミテッド (SSL)の詐欺被害にあったのは、ボルトの他に40人ほどいるという。
被害総額は現時点で30億ドルに達しており、ボルトの1200万ドルは、ほんの一部に過ぎない。
ボルトは自身のインスタグラムにこう投稿した:「世界は嘘にあふれている。真実はいったいどこにあるのだろう。これは歴史的悪事であり、その根っこにあるものは金だ。」
写真:Instagram - @usainbolt
幸いなことに、2023年のプーマ創立75周年に合わせ、ボルトはマイケル・ジョーダンがナイキとコラボしたように、自身のレーベルを立ち上げる予定だ。うまくいけば、失った財産を取り戻すことができるだろう。