バドミントン混合ダブルスの東野有紗・渡辺勇大選手:ペア歴10年を超える二人がメダルを狙う
男女平等を推し進める国際オリンピック委員会の意向により、東京五輪から男女混合種目が急増している。今回は、バドミントン混合ダブルスでパリ五輪代表となった渡辺勇大・東野有紗ペアをおっていこう。
「わたがしペア」の愛称で親しまれている二人は、東京五輪で銅メダルを獲得し、世界選手権でも4大会連続で表彰台にのぼった。この夏開催されるパリ五輪でも、優勝候補の一角にあげられている。
これまで混合ダブルスは各ダブルスで国際経験を積んだ社会人同士が組んで五輪に出場していた。しかし、「わたがしペア」は学生時代から組んでおり、ペア歴は10年を超えている。これは世界のライバル達と比べて最も長い年数だという。
二人は福島県のバドミントン強豪校、富岡第一中学時代からペアを組んでいる。東野選手の学年が1年上で年齢が異なることもあり、ほとんど話をしたことがなかったが、即席でペアを組み出場した大会でいきなり3位となった。東野選手は「勇大くんと組めたのは奇跡なんです。人生の中で運命の人なんです!」とベタ褒めしている。『スポーツ報知』が伝えた。
「テレ朝POST」によれば、お互いの第一印象は東野選手が渡辺選手に対し「メッチャ小さくて隅っこにいるような感じ」、1学年後輩の渡辺選手は東野選手に対し「ちょっと怖いなぁ」だったという。
高校時代に再びペアを組んだ二人は、2014年の世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得。東野選手はこの時はじめて「混合ダブルスで世界で戦っていきたいと思った」という。だからこそ高校卒業後に実業団入りしてからも、渡辺選手を熱烈に誘い続けたと『Number』誌が伝えている。
「テレ朝POST」によれば、同じ実業団に入りペアを組むことをすすめる東野選手に、「僕の人生なので考えさせて下さい。今行きますとは言えません」と返事をした渡辺選手。それでも東野選手は粘り強くラブコールを送り続けたという。
「テレ朝POST」によれば、最終的にペアを組む事を決心した渡辺選手はこう語ったという:「先輩とじゃないとオリンピックの金メダルはとれないなって元から思っていたので、諦めないで誘っていただいたのが嬉しかったですね」
『福島民友新聞』によれば、当初は阿吽の呼吸だけで成り立っていた連係が、試合を重ねるごとに変化していった。以前はそれぞれが個人技で戦っていた部分もあったが、試合中の苦しい時でも言葉を交わすことで連係を確立していったという。
『Number』誌によれば、東野選手は同性ではなく男子相手だと「これ言われたらやる気なくしちゃうかな。傷ついちゃうかな」と悩むこともあったという。それでもお互いにコミュニケーションを取りあうことで色々なことが改善された。しかし「プライベートは今も全く知らないし、適度な距離感というのがたぶんいいんだと思います」としている。
同誌によれば、混合ダブルスでは女子が狙われるため、東野選手はレシーブを強化してきた。ミスをしても渡辺選手は東野選手を決して責めず、「自分の球が甘かった」と言ってくれることに感謝しているという。
東野選手のXに中傷の言葉が書き込まれた時、渡辺選手はこうコメントした:「ダサいことやめようぜ。先輩は最高だぜ。言ってる奴試合映像見てねーだろ。ちゃんと見てみろよ。足引っ張ってんの俺だぜ。俺、頑張るぜ。いつもありがとう先輩」
画像:X, @aripei_ponpon
このコメントを受け東野選手はこう記した:「え、泣いた。私は素敵なパートナーに恵まれています。本当にありがとう!今日も笑顔で頑張ろう。ちなみに足引っ張てるの完全に私だから、大丈夫だよ!笑 」
画像:X, @aripei_ponpon
『VOCE』誌によれば、1年のうち300日ほど一緒にいるが喧嘩をしたことが一度もないという。また渡辺選手は「ほかの人にはわかんないことも、先輩には即バレます。家族より家族ですからね、もはや」と語っている。
さらに、めんどうくさがりで買い物が苦手な渡辺選手は「先輩は試合とか誕生日とかに『いつもありがとう』とオシャレなものをくれるからありがたい」としている。
『読売新聞』によれば、混合ダブルスの大会が少ない現状を憂いた渡辺選手には「いつか小中学生向けの大会を自分で開いてみたい」という夢があるという。パリ五輪でわたがしペアが金メダルを獲得すれば、その夢はおのずと現実のものになるだろう。