大谷翔平選手の元専属通訳、水原一平被告に拘禁4年9ヵ月の判決

莫大な契約金をともなうドジャース移籍で注目を集め、元バスケットボール選手、田中真美子さんとの結婚を発表して話題をさらった大谷翔平選手。キャリアにおいてもプライベートにおいても順風満帆に見えた大谷選手だが、2024年3月におもわぬ事件が待ち構えていた。

専属通訳だった水原一平氏が違法賭博に手を染めていた上、送金のために大谷選手の口座を悪用していたことが判明したのだ。そして、スキャンダル発覚からおよそ1年が経ったいま、米国の裁判所は水原被告に対する判決を下したようだ。

NHK放送によれば、水原被告は銀行詐欺をはじめとする不正行為を行ったとして2月6日に有罪判決を受け、4年9ヵ月の拘禁刑および、大谷選手に対する賠償金1,700万ドルの支払いを言い渡されたとのこと。

同放送によれば、今回の裁判では検察と被告側が司法取引を行っており、量刑もその範囲に含まれているため、控訴が行われることはないという。したがって、水原被告に対する判決はこれで確定したことになる。また、大谷選手にとっても、事件が区切りを迎えたと言えるだろう。

NHK放送によれば、水原被告は3月24日までに当局に出頭し、収監されることになるそうだ。また、刑期を終えた後は国外追放になる見通しだという。

司法取引がなされる一方で、水原被告は裁判の過程で情状酌量および、拘禁1年6ヵ月への減刑を求めていた。しかし、判事らは被告の嘆願書には虚偽や省略が多く含まれるとして、この嘆願を退けている。『日刊スポーツ』紙が伝えた。

同紙いわく、水原被告はスポーツ賭博に手を染めてしまった理由として経済的な困窮を挙げたそうだ。しかし、検察側は同被告が大谷選手から十分な経済的バックアップを受けており、情状酌量は認められないと指摘。裁判所も検察側の主張を支持する形となった。

実際、『日刊スポーツ』紙によれば、水原被告は大谷選手からポルシェを与えられていたほか、日本への渡航費や家賃も負担してもらっていたとされる。また、同被告は自身がギャンブル依存症であることを考慮するよう判事らに求めていたが、この主張も却下されることとなった。

さて、大物アスリートを巻き込んだ前代未聞の違法賭博スキャンダルとして世間を驚かせたこの事件だが、水原被告の罪状は違法賭博への関与そのものではない。裁判で問われたのは同被告が大谷選手の口座からおよそ1,700万ドルを盗み、これを賭博の胴元に不正送金したことだ。

一方、賭博を運営していたマシュー・ボウヤー被告も裁判の渦中にあり、今年4月には判決が下されることとなっている。NHK放送によれば、ボウヤー被告は司法取引に応じ、違法なスポーツ賭博を開帳した上、他人の口座を使用してマネーロンダリングしていたことを認めたという。

ボウヤー被告は水原被告に対する判決に先立って『ニューヨーク・ポスト』紙のインタビューに応じ、事件についてコメントするとともに、現在の心境を明かした。それによれば、ボウヤー被告は水原被告が賭博にのめり込むのを止めなかったことを、いまでは後悔しているそうだ。

また、ボウヤー被告は水原被告が大谷選手の了解を得ず、勝手に送金していることに感づいていたようだ。いわく：「すこし経つと、彼（水原被告）が大谷選手の許可を得ずに、お金を盗んでいることは明白でした」

さらに、同紙のインタビューによれば、ボウヤー被告は水原被告に本当に大丈夫なのかと尋ねたが、「彼は『下手なだけだ』と答えました。すこし、待ったをかけようと思ったのですが」とのこと。そして、「水原被告は深刻なギャンブル依存症に陥っていたと思います」と結論づけた。

しかし、ボウヤー被告は自身もギャンブル依存症に陥っており、その費用を賄うため、水原被告から賭金を巻き上げ続けることにしたのだった。

今回の事件では水原被告自身が起訴内容を認めた上、裁判の過程では大谷選手を装ってかけた電話の音声が公開されるなど、事件の詳細が明らかになっている。しかし、一部の野球ファンは水原被告による単独の犯行という説明に納得していない様子だ。

スポーツ専門サイト『Essentially Sports』によれば、水原被告は大谷選手の身代わりにされたのだと考える野球ファンは依然、少なくないのだという。さらに、大谷選手は同被告に口止め料を支払ったのではないかと勘ぐる向きもあるそうだ。

一方の大谷選手は思いがけないスキャンダルに巻き込まれてしまったにもかかわらず、事件後もプレーに集中。シーズン50本塁打・50盗塁を達成するなど大活躍を見せ、ドジャースのワールドシリーズ優勝に貢献した。今シーズンは、これまでケガで封印していた「二刀流」の復活が期待されている。

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