女子レスリング最重量級で日本に20年ぶりの金メダルをもたらした鏡優翔選手
今年7月から開催されるパリ五輪で、1つ以上の金メダルが期待されている女子レスリング。なかでも72kg級の鏡優翔(かがみ ゆうか)選手は、女子最重量級における初の金メダルが有望視されている。
東洋大学のオフィシャルサイトによれば、幼い頃から負けず嫌いだった鏡選手が、先にレスリングを始めていた兄のチームメートの家にメダルやトロフィーが並んでいたのを見て、自分も欲しいと思ったのがレスリングを始めたきっかけだという。
画像:Instagram, @yuuuuuuuuka_0914
小学校入学と同時に山形県から栃木県に引っ越し、下野市にあるレスリングクラブに入会した鏡選手。直ぐに結果を出すようになり、小学生時代に全国大会で5度の優勝を飾ったことを『東京新聞』が報じている。
所属していた「宇都宮ラグビースクール」のSNSによれば、小学生時代の途中までは、レスリングとラグビーの二刀流だったという。
中学生時代に全国中学選手権とクリッパン女子国際大会U17の部で優勝した鏡選手。高校進学後も各大会で優勝を重ね、インターハイを3連覇し、ユースオリンピックの開会式では日本選手団の旗手も務めた。
鏡選手は中学3年生の時に上京し、JOCエリートアカデミーへ入校している。将来国際大会で活躍できそうな中学生や高校生を集め、日本オリンピック委員会(JOC)の専任コーチの元で育成する全寮制の組織だ。当初はレスリングと卓球の選手だけが対象だったが、現在はフェンシングや飛び込みなど7競技に拡大されている。
アカデミーでの訓練を通じて東京五輪を目指していたが、願い叶わず日本代表にはなれなかった。悔しさをバネに進学した東洋大学で努力を重ね、2020年の全日本選手権で優勝。しかし全日本選抜選手権は2位となり、世界選手権出場を逃した。
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2022年、鏡選手は全日本選手権と全日本選抜選手権を制し世界選手権初出場を果たした。準々決勝で敗れたが、敗者復活戦を勝ち上がり銅メダルを獲得した。
そして2023年、鏡選手はついに世界選手権76kg級を制した。これまで日本の女子最重量級は、海外の選手と比較して小柄なことから苦戦を強いられてきた。浜口京子選手以来、20年ぶりの金メダルとなった。
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『スポーツ報知』紙によれば、鏡選手はこう嬉しさをあらわにしたという:「幸せです。20年も世界の金メダルがなかったと聞いて、本当に厳しい世界だったんだなって。そんな中で私がとることができて良かった」
世界選手権で金メダルに輝いたことで、この夏開催されるパリ五輪への切符を手にした。同紙によれば、「もっと成長して、絶対に金メダルを取りたい」と誓ったという。
日本レスリング協会公式サイトによれば、鏡選手の強みは強烈なタックルにあるという。本人も「崩しで左右に動けて、タックルもバシッと決まった時には調子がいいと思います」とタックルを自身の調子のバロメーターにしていることを語っている。
パリ五輪では、鏡選手の爪先やマウスピースにも注目してほしい。『東スポ』紙によれば、マウスピースには「カワイイ」の文字が書かれており、2022年の明治杯からもともと好きだったネイルをして試合に挑んでいるという:「私はおしゃれやかわいいがモチベーションになる人。試合中でも、少しでもモチベーションが上がったらいいなと思って始めた」
2024年、鏡選手が東洋大学を卒業した。『スポーツ報知』紙によれば、練習拠点を同大学に置きつつサントリーに入社。同社には東京五輪で姉妹優勝を果たした川井梨沙子選手や友香子選手などが所属している。「偉大な先輩方と同じ会社に行くので、私も後を追っていけるように頑張ります」と抱負を語ったという。
『スポニチ』紙によれば、同じくレスリング53kg級の日本代表で2学年下の藤波朱里(ふじなみ あかり)選手とはジュニア時代から大の仲良し。大会直前に一緒にサウナに行ったり、2人揃って世界選手権代表入りした暁には「お揃いの靴を買おう」と約束し合った仲だという。
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パリ五輪で、藤波選手は金メダルの最有力候補とされている。仲良く2人揃っての金メダルとなれば、お揃いの服で勝利者インタビューに登場するのかもしれない。
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