近代五種競技のメダリスト、エロディー・クルベルってだれ?:じつはフランス国家憲兵隊の中尉!
近代五種競技にかけるエロディー・クルベルの情熱は、2008年に水泳選手として北京オリンピック出場資格を逃したときの悔しさから来ているのかもしれない。
フランス水泳界の名コーチであるフィリップ・ルーカスの教え子だった19歳の若きクルベルは、夢だったオリンピックへの切符を逃し、深く落胆していた。そんなとき、フランス近代五種連盟がクルベルに声をかけ、この競技に挑戦することとなった。
5つの競技(水泳、フェンシング、ランニング、乗馬、射撃)を組み合わせたこのスポーツは、エロディー・クルベルの人生を一変させることとなった。
2016年にリオデジャネイロオリンピックで準優勝を遂げたクルベルの軌跡を振り返ってみよう。
エロディー・クルベルは、1989年1月14日にフランス中部のサン・プリエスト・アン・ジャレで生まれた。両親ともにトップアスリートであるクルベルは、幼い頃からあらゆる種類のスポーツに取り組んでいたが、特に興味を持ったのは水泳だった。
2008年のオリンピック出場資格を逃した後、エロディー・クルべルは、思い切って近代五種への転向を決意。乗馬、射撃、フェンシングを学び、結果的に全ての分野で才能を発揮することとなった。
近代五種の選手として活躍する一方、エロディー・クルべルは警察組織の一つである国家憲兵隊の兵長として任務に当たっている。 2017年4月1日に少尉に昇進し、2018年にようやく中尉となった。
近代五種競技デビューから6年後の2015年、エロディー・クルべルは欧州選手権で銀メダルを獲得した。最終目標である2016年リオデジャネイロオリンピックに向けて順調なスタートを切ることが出来たのだ。
2016年のリオデジャネイロオリンピックでは並外れたパフォーマンスを見せ、銀メダルを獲得した。クルベルはこの種目でオリンピックの個人メダルを獲得した初のフランス人女性となった。
2019年、エロディー・クルべルは同じく国家憲兵隊に所属するヴァランタン・ブローとともに近代五種世界選手権の混合リレーで銀メダルを獲得する快挙を果たした。
しかし、クルベルのキャリアに波乱が訪れる。東京オリンピックで6位という悔しい結果に終わった後、うつ病に陥ってしまったのだ。仏『ル・モンド』紙のインタビューで、「元気そうに振る舞ってしまったんです。どん底に落ちたとき、できる限り這い上がろうとしますよね。でも、気持ちが落ち込んでいることについて触れられたくなくて、何でもない振りをしてしまいました。その結果、これ以上ないところまで、気持ちが落ちてしまったんです」と語った。
直近では、2024年パリオリンピックで新たなスタートを切るために、所属チームを変更することを決意。クルベルは「もう一度表彰台に上がりたい」とリベンジに意欲を燃やしている。この夏のパリオリンピックでは、再びメダルを獲得できるだろうか。その活躍から目が離せない。