米国サッカーに革新をもたらし、メッシを獲得したデビッド・ベッカム
『GQ』の選ぶ「マン・オブ・ザ・イヤー」、カルバン・クラインの広告塔、世界各国の雑誌…… デビッド・ベッカムはサッカーの枠を超えたスターとして活躍の場を広げている。
ファッション界そしてビジネス界でも大きな影響力をもつベッカム、米サッカー界にも大きなインパクトをもたらしている。2007年にロサンゼルス・ギャラクシーに入団した彼は、現地のプロサッカーの仕組みを作り替えてしまったのだ。
渡米以前、デビッド・ベッカムは欧州サッカー界を代表する2つのクラブチーム、マンチェスター・ユナイテッドとレアル・マドリードでプレーした。
ベッカムはマンチェスター・ユナイテッド、のちにレアル・マドリードのMFとして活躍、6度のプレミアリーグ優勝とチャンピオンズリーグの優勝を含む、14のトロフィーを獲得した。
『Sportskeeda』によれば、デビッド・ベッカムは欧州サッカーで数々の栄誉を手にしたのち、ロサンゼルス・ギャラクシーと5年契約を3,250万ドルで結んだ。
1996年にスタートしたメジャーリーグサッカー(MLS)の歴史を通じて、ベッカムは最大のスター選手となった。
『Sportskeeda』によると、ベッカムはMLSの歴史において初めて特別指定選手制度が適用された選手となった。この制度は「ベッカム・ルール」とも呼ばれる。
ベッカム・ルールとはつまり、ベッカムの俸給がロサンゼルス・ギャラクシーのサラリーキャップ(年棒総額の上限制度)の制限を受けないための仕組みである。このような「特別指定選手」は2016年には50人にまで増えたと『Sportskeeda』は伝えている。
破格の報酬、そして世界中の注目を集めて始まったアメリカ西海岸におけるベッカムのキャリアは、栄誉ある称号に彩られてまばゆい輝きを放った。
ロサンゼルス・ギャラクシーとの5年契約が終了する2011年、ベッカムとチームメイトは悲願のMLSカップ優勝を達成。ベッカムは新たに2年契約を締結、翌年2012年にもチームを優勝へ導き、2年連続でMLSカップを手にした。
アメリカ西海岸に上陸した最初の欧州スター選手となったベッカムは、もたらした経済効果も桁違いだった。
『インデペンデント』紙によると、ベッカムがMLSでプレーしていた期間に、リーグのチーム数は12から19に増加、グッズによる収益は231%上昇した。
リーグへの加盟金も1,000万ドルから4,000万ドルに上昇。試合の放送規模も急拡大し、ヒューストン・ダイナモを相手に戦ったベッカム最後の試合(2012年のMLSカップ決勝戦)は、157の国と地域で放送されるまでになったと『インデペンデント』紙は伝えている。
ベッカムの移籍以来、彼の背中を追うようにして欧州の主なスター選手たちがひとり、またひとりとアメリカにやってきている。
ロサンゼルス・ギャラクシーでは、ベッカムの引退後もスティーヴン・ジェラード、ロビー・キーン、ズラタン・イブラヒモビッチといった欧州のスターが移籍して活躍、ハビエル・エルナンデスの参加でも知られる。
英紙『デイリー・メール』によれば、ベッカムがリーグと結んだ契約には、2,500万ドルという定められた価格でMLSへの加盟権を購入できるというオプションが付いていた。
ウェブサイト『CelebrityNetWorth』によると、2014年、ベッカムは共同経営者にサイモン・フラーを迎えて「ベッカム・ブランド・ホールディングス」を立ち上げた。インテル・マイアミCFを財政面から支えることが目的である。
2020年シーズンからリーグに参加したインテル・マイアミCFは、その存在感を示すべく挑戦を続けているが、この3年間、総合順位は19位、20位、12位にとどまっている。
リーグ成績こそふるわないが、ベッカムは順調に大物選手をチームに引き込んできた。ユヴェントスFCからはゴンサロ・イグアインとブレーズ・マテュイディ、プレミアリーグからはライアン・ショウクロス、キーラン・ギブス、デアンドレ・イェドリンといった選手がチームに加わった。
カナダ放送協会のウェブサイト『CBC.ca』は、MLSコミッショナーのドン・ガーバーの発言を伝えている:「あらゆるポイントにおいて、ベッカムは周囲の予想を超えるような成果を上げてきた。リーグの、そしてロサンゼルス・ギャラクシーのアンバサダーとして、彼はとびきりの存在感を放っているんだ」