110mハードルの泉谷駿介選手、日本初のメダルを目指す
現在、日本選手権の110mハードルを3連覇中の泉谷駿介選手(いずみや しゅんすけ)。現在24歳だ。13秒04の日本記録を持ち、東京五輪に続きパリ五輪に出場、輝かしい歴史を築きつつある。
今回は『世界から最も遠いスプリント種目』と称されていた110mハードルで、日本初のメダルを狙う泉谷選手をおっていこう。
『月刊陸上競技』誌によれば、陸上を始めたのは中学生の時。小学生時代はサッカーをしていたがあまり好きになれず、足が速かったので陸上部に入った。当初は短距離走を志していたが、結果を残すことができなかったという。
画像:Instagram, izumi12388
同誌によれば、高校に入学すると身長が伸び、筋肉もついたので苦手だった投てきの記録が伸び始めた。そのため八種競技(100m、走幅跳、砲丸投、400m、110mハードル、やり投、走高跳、1500m)に転向すると、直ぐにインターハイに出場できるまでになったという。
しかし、そのインターハイで14位に終わり悔しい思いを味わった。それを機に意識を変え、ジャンクフードや菓子パンをやめ苦手だった野菜を食べるなど食生活を改めると体格に変化が現れ、高校3年のインターハイ優勝につながったという。『スポーツニッポン』紙が報じた。
2018年、泉谷選手は順天堂大学に進学した。迷うところはあったが高校で結果を残した八種競技ではなく、自身の特徴をより生かすことができ、何よりも好きな種目に転向することにしたという。
「身体が大きくなかったですし、十種競技をやるには棒高跳に恐怖心がありました。だから混成競技は高校までにして、大学では三段跳をメインに、走幅跳と110mハードルも同じくらいやりたいなと......」『月刊陸上競技』誌が伝えた。
2019年の日本陸上競技選手権大会で、泉谷選手は110mハードルにおける当時の日本タイ記録、学生新記録、U20日本最高記録を樹立した。
さらに2021年の日本陸上競技選手権大会110mハードルで金字塔をうちたてた。日本新記録、そしてアジア歴代2位となる13秒06を叩き出し優勝したのだ。
『Sportiva』誌によれば、このタイムは日本陸上界にとって衝撃的な記録だったという。2019年の世界選手権優勝記録を0秒04上回り、過去の五輪記録でもメダル圏内となるタイムだったからだ。
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東京五輪の110mハードルで泉谷選手は、日本人として1964年の東京五輪以降57年ぶりとなる準決勝進出を果たした。しかしわずか0.03秒の差で史上初のファイナル進出には至らなかった。
2023年、陸上競技の最高峰リーグ「ダイヤモンドリーグ」に初参戦した泉谷選手が、13秒22で優勝を飾った。この大会を制したのは日本人としては女子やり投げの北口榛花(きたぐち はるか)選手に続いて2人目、男子では初となる快挙だった。
さらに翌月に開催された世界陸上競技選手権大会110mハードルで、泉谷選手は日本勢初となるファイナル進出を果たした。『日本陸上競技連盟公式サイト』によれば、スタートした瞬間に両ふくらはぎが攣ってしまうトラブルに見舞われながらも13秒19で5位に入賞したという。
専任コーチが泉谷選手の強さの秘密を『報知新聞』にこう語っている:「この競技はただ走るだけではないので、レース中で「加速」「緩める」のアクセルワークが必要。そのペースが絶妙で、すばらしく上手......試合中の状況判断能力にもたけている」
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また『スポーツニッポン』紙によれば、泉谷選手は100mを10秒3台で走るので、最後のハードルを越えてからが強い。さらには走り幅跳びでは8mを跳ぶバネをもち、世界のライバル達と比べて身長175cmと小柄ながらも、それを補う身体能力があるという。
『スポーツニッポン』紙によれば、泉谷選手は試合の1週間前から大好きなコーヒー断ちをし、勝負の日の朝に飲むことをルーティンにしているという。この夏に開催されるパリ五輪でも、カフェインパワーで日本初のメダルをもたらしてくれるだろう。