最新フォーミュラカーの製造費とは?:パーツごとにコストをチェック

F1マシンの製造費はいったいいくら
1. シャシー(100万~200万ドル)
2. エンジン(800万~1,000万ドル)
3. 力学的シュミレーション・研究(200万~400万ドル)
4. サスペンション(50万~100万ドル)
5. ホイールとタイヤ(1台あたり4万ドル)
6. ステアリングホイール(5万~10万ドル)
7. 電子機器およびセンサー(50万ドル)
8. ギアボックス(50万ドル)
9. ブレーキシステム(20万ドル)
10. 運転者安全装備(15万ドル)
シーズンを通して考えるとさらにコストは莫大に
F1マシンの製造費はいったいいくら

モータースポーツの最高峰F1ことフォーミュラ1では、最先端の技術を詰めこんだマシンで熾烈なレースが繰り広げられる。そうしたマシンの製造費は驚くほど高額だ。ここではハイスペックなフォーミュラカー1台の製造コストをパーツごとに見ていこう。

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1. シャシー(100万~200万ドル)

シャシーはエンジンを除く車体部分のこと。F1のマシンは非常に軽く強度に優れたカーボンファイバー複合材で作られている。製造工程には、精密成型とオートクレーブ(特殊なオーブン)での焼成が必要になる。このため製造には大きなコストがかかるが、空気抵抗を減らしながら衝突安全性を最大限に高めるためには必要不可欠だ。

2. エンジン(800万~1,000万ドル)

F1マシンの心臓とも呼ぶべきエンジンは最も高価な部品で、製造費の大きな割合を占めている。最新のF1エンジンは、高性能なエネルギー回生システム(ERS) を備えており、ブレーキや排気で出たエネルギーを効率よく回収可能。多くのチームが国際自動車連盟(FIA)の厳格な基準を満たしつつ最高のパフォーマンスを発揮するため、エンジン開発に巨額を費やしている。

3. 力学的シュミレーション・研究(200万~400万ドル)

空気力学はF1において重要な役割を果たし、スピードやコーナリング能力、燃費を左右する。チームは空気抵抗を制御するため、風洞試験や数値流体力学 (CFD) シミュレーションに数百万ドルを費やしている。米メディア「USA Today」によると、研究やシュミレーションを精密に行うため、約20万ドルの製造費がかかるリアウィングやフロントウィングといった実際の部品を使用しているという。

4. サスペンション(50万~100万ドル)

高速コーナリングでも車体を安定させるために重要なのがサスペンション。耐久性と軽量化を両立するため、チタンやカーボンファイバーなどの特殊な素材で作られる。各サスペンションの設定は、車の特性に合わせて細心の注意を払って調整されている。

5. ホイールとタイヤ(1台あたり4万ドル)

米メディア「Sporting News」によると、F1マシンはイタリアのピレリ社がF1用に開発した専属タイヤを使用。その価格はタイヤ1本あたり約2,000ドルだという。レースのなかで、チームはスリックやインターミディエイト、ウェットなど数種類のタイヤを使い分けるため、1台のマシンにつき10~13セットのタイヤを使用することがある。

6. ステアリングホイール(5万~10万ドル)

F1マシンのステアリングホイールは、単に方向を制御するだけでなく、ドライバーが車体のあらゆる部分を制御するためのコントローラーになっている。ボタンやスイッチ、ディスプレイが多数搭載されており、エンジンモードからブレーキバランスまでさまざまな機能の微調整が可能だ。それぞれのステアリングホイールは、ドライバーが使いやすいように個別にカスタマイズされている。

7. 電子機器およびセンサー(50万ドル)

最新鋭のF1マシンは、リアルタイムでマシンを制御し、状況をモニタリングするため、高度な電子制御システムやセンサーを多数搭載している。例えばデータ取得システムや電子制御ユニット(ECU)などでそれぞれが非常に高価だ。

8. ギアボックス(50万ドル)

F1マシンのギアボックスは、極限の負荷に耐えながら超高速のギアチェンジを実現できるよう特別に設計された8速シームレスシフトシステムだ。軽量かつ耐久性のある素材で作られており、約50万ドルの製造費がかかる。

9. ブレーキシステム(20万ドル)

F1マシンのブレーキシステムは、一般車に比べてはるかに高性能で、高温に耐えられるよう設計されたカーボンディスクとパッドを搭載。これによりドライバーは時速320km以上の速度からわずか数秒で停止することができる。

10. 運転者安全装備(15万ドル)

シートベルトや耐火スーツの装備も重要で、クラッシュの際にドライバーの安全を守れるように設計されている。それぞれの装備は、国際自動車連盟の安全基準を満たすため厳格なテストを重ねている。

シーズンを通して考えるとさらにコストは莫大に

これらのパーツごとの費用を合計すると、1台あたりのコストは平均で約1,200~1,500万ドルになる。さらに、保守点検のコスト、スペアパーツ、シーズン途中のアップグレードなど考慮すると年間の支出は膨れ上がり、トップチームの場合は1シーズンごと2億5,000~4億ドルに達することも珍しくない。

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