柔道の阿部詩選手がパリ五輪でまさかの敗退:これまでの輝かしいキャリアを振り返る

パリ五輪でまさかの2回戦敗退
号泣する阿部選手と無表情の対戦相手
ディヨラ・ケルディヨロワ選手
東京五輪できょうだいメダル
阿部 一二三(あべ ひふみ)選手
柔道を始めたきっかけ
小学生時代
中学入学後の変化
「一二三の妹」
史上最年少でワールドツアー優勝
兄妹揃っての優勝
世界ランキング1位
兄の教え
大学進学
まさかの敗北
世界最強の兄妹誕生
勝負アイテムはバナナ
東京五輪後の活躍
ロサンゼルス五輪にむけて
パリ五輪でまさかの2回戦敗退

パリ五輪の柔道女子52キロ級で、大会2連覇を狙っていた阿部詩選手が2回戦でまさかの敗退を喫した。東京五輪で金メダルを手にした後も、世界選手権を連覇するなど圧倒的な強さををみせていた阿部選手。金メダルの最有力候補としてパリ五輪に挑んでいた。

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号泣する阿部選手と無表情の対戦相手

試合後、泣き崩れた阿部選手は、号泣しながらコーチに支えられて会場を去った。一方で、大金星をあげたウズベキスタンのディヨラ・ケルディヨロワ選手は、表情を崩さず、喜びを表すことさえなかった。

ディヨラ・ケルディヨロワ選手

『朝日新聞』によれば、ケルディヨロワ選手はその理由をこう明かしたという:「彼女はレジェンドで、完璧なチャンピオンです。私は試合がすべて終わるまで表情を変えたくなかったし、彼女をとても尊敬しているから、喜びたくなかったのです」(最終的に、ケルディヨロワ選手はパリ五輪で金メダルを獲得した)

東京五輪できょうだいメダル

阿部選手は3人兄妹の末っ子で、次兄は同じく柔道の絶対的王者、負け知らずの一二三選手だ。東京五輪では兄妹そろっての金メダルが大きな話題となっていた。

阿部 一二三(あべ ひふみ)選手

一二三選手はパリ五輪で二連覇を果たした。「NHKニュース」によれば「詩は負けてしまったけど、決してむだじゃない。落ち込むとは思うけど、こんなところでは終わらない。4年後、絶対にきょうだいでオリンピックの舞台に立って、絶対に優勝したい」と意気込みを語った。

柔道を始めたきっかけ

2000年7月14日、阿部選手は兵庫県に生まれた。柔道を始めたのは5歳の時。最初は兄に付き添い見学するだけだったが、練習が楽しそうで自分も始めたくなったという。父親からは「女の子やからピアノとかにしとき」と反対されたと『デイリースポーツ』紙が報じている。

画像:Instagram, @abe_uta

小学生時代

『産経新聞』によれば、小学生時代の阿部選手は「天才肌」だったが波があり、練習嫌いだった。6年生までは道場に来ても「練習したくない」とだだをこねたり、母親の車から降りてこなかったりしたという。

中学入学後の変化

強豪校の夙川学院中学校に入学してからは、うって変わって真面目に練習に取り組むようになった。同紙によれば、一二三選手がさまざまな大会で優勝を重ねるようになり、褒められている兄を見てうらやましくなったからだという。

「一二三の妹」

兄の一二三選手は中学生の頃から頭角を現しており、将来の日本代表エースとして大きな期待を寄せられていた。そのため、当時の詩選手は「一二三の妹」としか見られていなかった。

史上最年少でワールドツアー優勝

ところが、高校1年の時に出場したグランプリ・デュッセルドルフ大会女子52キロ級で、詩選手が優勝を飾る。史上最年少の16歳でワールドツアーを制したことで、兄と同じように注目を浴びるようになった。

兄妹揃っての優勝

翌年の2017年12月には初のシニア国際大会となるグランドスラム・東京も制した。兄の一二三選手も同大会の66キロ級で優勝したため、兄妹揃ってのW優勝となった。

世界ランキング1位

高校3年生の時には柔道世界選手権(2018年)に初めて出場を果たす。そして、全試合オール1本勝ちという圧倒的な強さで栄光に輝いた。一二三選手も同大会を2連覇したため、日本柔道史上初となる世界選手権兄妹同時優勝となった。二人はさらに優勝を重ね、ついには揃って世界ランキング1位に躍り出た。

兄の教え

一二三選手から「がむしゃらにやるだけでは勝てない。その中に冷静さを持て」と駆け引きの重要性を教わった。袖釣込腰や大外刈りは兄の技を見て学び、忘れないように「詩日記」と呼ぶノートに書き込んでいたと『日刊スポーツ』紙が報じた。

大学進学

尊敬する兄を追うように、日本体育大学へ進学した。『デイリー新潮』誌によれば、阿部選手は両親やコーチがいくら言っても聞かないのに、兄の言うことなら何でも素直に耳を傾けたという。

まさかの敗北

2019年の世界選手権を制し、2連覇を達成。しかし、同年11月に開催された柔道グランドスラム・大阪大会でまさかの黒星を喫し、五輪内定を逃してしまう。2016年にシニアの国際大会デビュー以来、海外選手に負けたことがなかったが、その無敗記録は48でストップしてしまった。

世界最強の兄妹誕生

しかし、次のグランドスラム・デュッセルドルフ大会を確実に制し、阿部選手は東京五輪代表の切符を手にすることができた。そして東京五輪では52キロ級で金メダルを獲得。さらには同じ日に一二三選手も金メダルを手にしたことで、オリンピック史上初の兄妹同日金メダル獲得の快挙を達成した。

 

勝負アイテムはバナナ

優勝を手にした試合直後に出演したTBS『ひるおび!』で、阿部選手は「試合の直前まで履いています」とバナナ柄の靴下を披露した。高校1年生の時に全国大会で優勝した時に履いていたもので、それ以降必ず履くようにしているという。

東京五輪後の活躍

金メダリストとなった阿部選手は一躍時の人となった。その後も2022年と2023年の世界選手権を制し、絶対王者としての地位を固めていた。

ロサンゼルス五輪にむけて

パリ五輪での望みはただ一つ、金メダルだった。しかし、結果はまさかの2回戦敗退。そんな失意の中、阿部選手は前を向き、次の五輪へむけての第一歩を踏み出した。

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