氷点下52℃の「シベリアマラソン」、ランナーは凍死リスクと隣り合わせ?
氷点下52°Cという気温の中、マラソンをしてみたいと思ったことはあるだろうか。ロシア出身のアスリート38名が、極寒のシベリアでマラソンに挑戦していた。
マラソンが開催されたのは、北半球で最も寒い都市の一つ、シベリアにあるオイミャコンだ。
極寒のためランナー38名は全員、マラソンへの参加条件として、事前に行われる健康診断にパスする必要があった。このような極限状態でのランニングは、最悪の場合死に至る可能性もあるのだ。
レース中、ランナーにはエネルギー補給として、スープや温かいお茶、軽食が提供された。英ロイター通信は、これらの補給がなければ参加者たちは走り続けることができなかっただろうと報じている。
ランナーたちは寒さ対策として、頭からつま先まで体をすっかり防寒着で覆いつくした。コースを走破したランナーたちがゴールに着いたとき、ゴールラインは氷に覆われていたという。
「最初の10キロを走るのは大変でした。呼吸の仕方が分かってくるとその後は楽になりました。目元が氷で覆われてしまうので、その氷を取り除かないといけなかったことに驚きました」と、参加者のアリサ・マトベーエワは英ロイター通信に語った。
米ウェブサイト『Runnersworld.com』が報じたレース後のインタビューでは、「防寒性の高い下着を身に着け、シューズには保温用インソールを入れておいて本当に良かったです。おかげで助かりました」ともマトベーエワは話している。
英ロイター通信によると、最初にゴールしたのは、コンスタンチン・ドラグノフ、タイムは3時間7分だった。レース中盤では失神寸前まで追い込まれながら、最後まで走り続けた末の見事な優勝だった。
「33キロを過ぎたところで、危うく意識を失うところでした」とドラグノフは熱いお茶を何杯も飲みながら記者団に語った。
極寒の中でのランニングは、人体に想像もつかないほど大きな負担をもたらす。氷点下で運動をするだけでもかなりのエネルギーが必要となることに加え、冷たく乾燥した空気を吸い込むことで気道が急激に冷やされ、過剰な刺激にさらされることにあるからだ。全員無事にゴールできたのは大きな幸運だったといえよう。