アーティスティックスイミングの世界に飛び込んだ男子選手たち:五輪で初めて男子枠採用
かつてのシンクロナイズドスイミングから名称を改めた「アーティスティックスイミング」が大きな変革の時を迎えている。
変革というのは今夏開催のオリンピックパリ大会で、五輪史上初めて男性選手の出場が認められたのだ。今回はこの偉大な一歩に貢献したアスリートたちを追っていこう。
ビル・メイ選手(45)は男子シンクロナイズドスイミングのパイオニアとされている。2004年オリンピックアテネ大会では男子選手の参加はまだ認められておらず出場が叶わなかったが、2015年の世界水泳選手権カザン大会で混合デュエット種目が採用されたことから出場の機会を得る。結果、テクニカルルーティンで金メダル、フリールーティンで銀メダルを獲得という素晴らしい成績を収め、その後も記録を伸ばし続けている:銅メダル1個(2017年ブダペスト大会)、銀メダル(2023年福岡大会)、銅メダル(2024年ドーハ大会)。
1996年生まれのジョルジオ・ミッシーニは、元シンクロナイズドスイミング選手の母スザンナと元国際シンクロナイズドスイミング審査員である父ロベルトのもとに生まれ、6歳でシンクロナイズドスイミングを始めた。これまで世界水泳選手権で8つの銀メダルと2つの銅メダル、そして4つの金メダルを手にしている(2017年ブダペスト大会で1つ、2022年ブダペスト大会で2つ、2024年ドーハ大会で1つ)。2022年にローマで開催された欧州水泳選手権では金4つ、水泳ワールドカップで金1つ、イタリア選手権では14の金メダルに輝いた。名目ともに男子アーティスティックスイミング界のチャンピオンである。
1995年生まれのアレクサンドル・マルツェフも2015年世界水泳選手権カザン大会の混合デュエット種目でデビューを飾り、それから10年足らずの間に世界選手権で4つの金メダルと2つの銀メダル(2015年カザン大会、2017年ブダペスト大会、2019年光州大会)、欧州選手権で5つの金メダル(2016年ロンドン大会、2018年グラスゴー大会、2020年ブダペスト大会)を獲得したスター選手だ。
1993年生まれのアリトン・スウィーニーは2017年世界水泳選手権の男子200メートル個人メドレーに出場。2022年のブダペスト大会では南アフリカ初のアーティスティックスイミング男子選手として歴史に名を刻んだ。
ケニー・ゴーデットは2004年生まれ。ほかの選手と同じくさまざまなハードルを乗り越え2022年世界水泳選手権ブダペスト大会に出場すると、男女混合デュオのフリールーティンとテクニカルルーティンで5位に入賞。2023年の同選手権福岡大会ではソロテクニカルで銀メダル、ソロフリーで銅メダルを獲得するなど成長を続けている。
2004年生まれ、20歳になったばかりのデニス・ゴンザレス・ボネウは2023年世界水泳選手権福岡大会で金、銀、銅を1つずつ、2024年ドーハ大会で銀2つ、2023年欧州選手権クラクフ大会で金1つと銀1つ、そして歴代アーティスティックスイミングW杯では合計金3つと銀4つを獲得。今後のさらなる成長が楽しみだ。
2003年生まれ、カナリア諸島出身のフェルナンド・ディアス・デル・リオ・ソトもスペインを代表する選手の一人。2023年に開催された世界選手権福岡大会ではソロテクニカルで金メダルを手にし、ヨーロッパ選手権では2つの銀メダルを得た。
2003年生まれのクエンティン・ラコトマララも活躍が期待される若手選手の一人。2022年ローマで開催されたヨーロッパ選手権ではソロテクニカルで銅メダルを獲得した。
1982年生まれの安部篤史選手は、日本のアーティスティックスイミングにおけるパイオニアといえるだろう。2019年光州世界選手権の混合デュオ・フリールーティンと混合デュオ・テクニカルルーティンで銅メダルを手にした。
2005年まれのエドゥアルド・キムは、弱冠16歳で2022年の世界水泳選手権ブダペスト大会に出場、混合デュオのフリーとテクニカルルーティンで7位に入賞した。2023年の福岡大会で銅メダル、2024年のドーハ大会では金メダルと順位を上げたほかワールドカップで7度表彰台にのぼっており、大型新人として注目を集めている。