男子100m走歴代トップ10の記録を振り返る
オリンピックを象徴すると言っても過言ではないのが100m走だ。100mを走るその速さを競うというシンプルな競技だが、一流のアスリートたちが世界最速の座をめぐってしのぎを削っている。
パリオリンピックでも楽しみな競技のひとつだが、ここで今までの男子100m走の記録を復習しておこう。記録の数値は陸上競技の国際競技連盟、ワールド・アスレティックスのウェブサイトに従っている。
いま世界最速の座にいるのはウサイン・ボルトだ。オリンピックの100m走で3つの金メダルを獲得している。ベスト記録は2009年世界陸上競技選手権大会(ベルリン)での9.58秒だ。この記録でボルトはタイソン・ゲイやアサファ・パウエルを破って世界一位の栄冠を手にし、いまだその座を保っている。
2位となったのはアメリカのタイソン・ゲイだ。自己ベスト記録は2009年上海グランプリでの9.69秒。『SportsNet』のウェブサイトによると、記録を出したレースではライバルのアサファ・パウエルを破ったうえ、2008年オリンピックでのウサイン・ボルトの記録にも並んだという。
オリンピック銀メダリストのヨハン・ブレークは2019年のアスレティッシマ(ローザンヌ)で9.69秒という記録を出し、ウサイン・ボルトに次いで2位タイとなった。ちなみに、決勝ではタイソン・ゲイを破っている。
ブレーク同様、アサファ・パウエルの自己ベストもアスレティッシマでのものだ。パウエルのベスト記録は2008年、9.72秒だった。パウエルはボルトやブレークとともにジャマイカ代表としてリレーチームを組んでいたこともあり、2016年のオリンピックで金メダルを獲得している。
アメリカのジャスティン・ガトリンは2004年のオリンピックで金メダルを獲得。以降、全キャリアを通じてウサイン・ボルトに挑戦しつつづけた。ガトリンの自己ベストはドーハでの9.74秒だ。
アメリカのクリスチャン・コールマンは今回のパリ・オリンピックにも出場している選手。2019年の世界選手権大会(ドーハ)で9.76秒を記録し優勝、初の世界タイトルを獲得している。同大会ではジャスティン・ガトリンやアンドレ・ドグラスを大きく引き離して印象的な走りを見せていた。
トレイボン・ブロメルの自己ベストは9.76秒、2021年のキプチョゲ・ケイノ・クラシック(ナイロビ)でファーディナンド・オマンヤラを100分の1秒差で破って優勝したときの記録だ。オリンピックにも2度の出場歴があるが、今回のパリ・オリンピックでは出場権を逃してしまった。
『Oregon Live』によると、アメリカのフレッド・カーリーは2022年の全米陸上屋外選手権大会で9.76秒という世界レベルの記録を出して優勝している。カーリーは東京オリンピック銀メダリストだが、パリではどうだろうか。
ケニアのファーディナンド・オマンヤラはこのリストの中で唯一、自己ベストを出したレースで勝利していない。9.77秒の記録を出したレースで1位となったのは先述のトレイボン・ブロメルで、100分の1秒差で勝利を逃してしまった。近年でもまれにみる高レベルなレースだった。
ジャマイカのキシェーン・トンプソンは今回のパリ・オリンピック優勝候補のひとり。2024年6月のオリンピックに向けたトライアルで9.77秒というトップレベルの記録を出している。プロ2年目という若手だが、早くもメダル争いが視野に入る注目選手だ。