目指すは五輪4連覇:レスリング50kg級の須﨑優衣選手
この夏に開催されるパリ五輪で、女子レスリングは「全6級制覇」を目標に掲げている。24歳で女子代表最年長となった50kg級の須﨑優衣選手は、若いチームを引っ張る役割と、東京五輪に続く2個目の金メダルが期待されている。
時事通信社のWebサイトによれば、須﨑選手の強みはスピードで、反応が早いため技から技を流れるようにつなぐ。中学時代から名を知られており、出場する大会全てに勝利して「天才少女」の名をほしいままにしていたという。
画像:Instagram, yui106301susaki
日本レスリング協会公式サイトによれば、須﨑選手はレスリングの元選手だった父がよく見ていたビデオに感化され、小学1年の時に競技を始めた。そして、小学校3年生になる頃には全国大会で優勝するようになっていたという。
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中学時代は負けなしで、2年生になると実家を離れ、全寮制の「JOCエリートアカデミー」に入所した。中学生や高校生が将来国際大会で活躍できるよう日本オリンピック委員会(JOC)が設置した一貫教育組織だ。
『日刊スポーツ』によれば、五輪の金メダルを真剣に目指しはじめたのは小学校5年生の時。小学生を対象にしたレスリングの全国大会「全国少年少女選手権」で優勝し、憧れの吉田沙保里(よしだ さおり)選手のように金メダルを取りたいと思うようになったという。
日本レスリング協会公式サイトによれば、2012年に「ジュニアクイーンズカップ/中学生の部」で優勝して以降、須﨑選手は83戦負けなしの記録を持っていた。
同サイトによれば、東京五輪誘致が決定した際に、日本協会は強化プランの一環として「ターゲット選手」を高校生や大学生を中心に選出した。須﨑選手はその中で唯一、中学生でターゲット選手に選ばれたという。
高校に入学すると世界U17選手権(世界レスリング連合が主催する16・17歳の大会)で2連覇を達成。しかし、全日本選手権で入江ゆき選手に敗北を喫し、中学生1年の時から積み重ねていた83連勝の記録がストップしてしまう。
入江選手に連勝記録を阻まれたものの、翌年の全日本選手権では雪辱を果たし優勝。世界U17選手権で3連覇を果たすと再び負け無し状態となり、ついには高校生にしてシニア階級(20歳以上)の世界女王となった。
63連勝していた須﨑選手が、全日本選手権で再び入江選手に黒星をつけられた。「相手のうまさが上手で自分のレスリングが全くできなかった。2年前と同じ負け方をしてしまった」と号泣したことを『スポーツニッポン』紙が報じている。
2018年、早稲田大学スポーツ科学部に進学した。父親がこの大学のレスリング部出身のため憧れがあり、高校生時代から早大レスリング部の稽古に参加していたという。
東京五輪の日本代表をめぐる争いは熾烈を極めた。五輪につながる世界選手権代表の座を入江選手とプレーオフで争い敗北。一時は東京五輪出場の希望が途絶えたが、入江選手が世界選手権の準々決勝で敗退したことで再びチャンスが訪れた。
東京五輪代表を選ぶ最終決戦となった全日本選手権で、須﨑選手は準決勝でリオデジャネイロ五輪金メダリストの登坂絵莉(とうさか えり)選手を、決勝では入江選手を破って優勝した。さらには東京五輪アジア予選で1位となったことで、終に念願の東京五輪代表の座を手にした。
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須﨑選手は全試合無失点の圧倒的な強さで東京五輪を制した。早稲田大学のWebサイトによれば、1回戦から圧巻の強さを見せ、金メダルのプレゼンターで五輪4連覇を達成した伊調馨(いちょう かおり)元レスリング日本代表から「また次も、その次も頑張って」と声をかけられたという。
東京五輪後も須﨑選手の快進撃は止まらない。2年連続4度目の世界一に輝き、パリ五輪内定を決めた。『スポーツニッポン』紙によれば、2014年に国際大会デビューして以降、対外国人選手に負け無しの94連勝中だという。
須﨑選手は大きな決意を明かした:「東京、パリ、ロサンゼルス、そしてその次のオリンピック(ブリスベン)まで金メダルを獲得することが大きな夢です......周りの方に伝えたからこそ私もしっかり頑張らなきゃと思えるので、思っていたことを口にさせてもらいました」『産経新聞』が伝えた。
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「NHKニュース」によれば、須﨑選手はオリンピック連覇に向けて「史上最強」をテーマに掲げているという。「2連覇できるように人生をかけて頑張りたい」とする須﨑選手が、史上最強への道を驀進している。