抱腹絶倒のメジャーリーグ始球式:ハリウッド俳優から米大統領まで登場!
長い歴史を持つメジャーリーグの始球式。ただし現在のような有名人による始球式は、80年代のロナルド・レーガン大統領あたりから定着し始めた。
以来何人もの有名人がマウンドにのぼっており、意外とサマになることもあれば、苦笑いを誘うこともあった。
人気体操選手であるシモーネ・バイルズは、2019年ワールドシリーズ第2戦の始球式できわめつけの宙返りを披露した。
スティーヴ・アオキは始球式に臨むにあたり調整は怠りなく、マウンドで軽くウォーミング・アップを済ませると、大きく振りかぶって投げた。その体から発射されたボールはキャッチャーの頭上を飛び越し、ファンの待つバックスタンドへ吸い込まれた。
ビル・マーレイはシカゴ・カブスの熱心なファンとして知られている。カブスの本拠地、リグレー・フィールド。ビル・マーレイはマウンドに向かうかと思いきや、グローブを脱ぎ捨てて一塁に走りはじめる。そのまま順にベースを周り、最後はキャッチャーのブロックをかわすようにしてホームベースにスライディング。その後、マウンドにのぼって始球を投げた。
アメリカ野球史有数の感動的なナイトゲーム、2001年ワールドシリーズ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス対ニューヨーク・ヤンキース)の一戦、当時の米国大統領ジョージ・W・ブッシュはヤンキースタジアムに登場し、ストライクゾーンにきっちり投げた。
ビル・マーレイもそうだが、ウィル・フェレルも観客の沸かせ方を心得ている。2012年、シカゴ・カブズの始球式で、シカゴスタイルのディープディッシュ・ピザをマウンドにデリバリーさせたのだ。
たくさんのロボットがこれまで始球式のマウンドに上がってきたが、このロボットくらい感動的なロボットはいなかった。2013年、グーグル開発のロボットは、遠く離れたカンザスシティにいる野球少年がオークランド・アスレチックスの球場で始球式を行うことを可能にした。少年の名はニック・ルグランデ。難病を患い、球場を訪れるのが困難なのだという。その説明を聞いて観客たちは心を打たれた。
熱心な野球ファンが前衛的サーカス集団の愛好者になったり、あるいはその逆が起きたりすることは滅多にないかもしれない。ともあれ、シルク・ドゥ・ソレイユは始球式の舞台で自慢のショーをひたむきに上演した。
2013年4月15日、ボストンマラソンのフィニッシュ地点で爆弾テロが発生し、ランナーをはじめ多くの人々が死傷した。その翌月の5月28日、爆発で両脚を失ったジェフ・バウマンがフェンウェイ・パークで始球式を行う。痛ましい惨劇をなんとか乗り越えようとするボストンの街や市民にとって、それは象徴的な瞬間になった。
一方、おもに暴投によって、始球式に気まずい瞬間が訪れることもある。
2000年代を代表するラッパーであり、現在はビジネスマンとして途方もない成功を収めている「50セント」ことカーティス・ジェームズ・ジャクソン3世は、多忙のせいで満足な練習時間がとれなかったのだろう。始球式で投げたボールはあさっての方角へ向かっていき、これにはメッツファンも我が目を疑った。
モニク・エヴァンズは2014年のミス・テキサスに選ばれた人物で、優れたバレリーナでもある。テキサス・レンジャーズの始球式、彼女が下手投げで放った球は、バッターボックスめがけてころころと転がっていった。
世紀の歌姫マライア・キャリーは東京ドームで始球式を行った。ハイヒールとマウンドの相性が悪かったのか、ボールはのんびりと進み、捕球の瞬間を辛抱強く待ち受けるキャッチャーに届くか届かないかの瀬戸際だった。
見よ、コナー・マクレガーの筋肉。しかしこのタイトなスーツは窮屈な投球モーションを余儀なくし、ボールはとんでもなく狙いを欠いてしまった。
トラビス・ケルシーはスーパーボウルの大舞台も経験済みで、以前にクォーターバックをつとめていた経歴もある。メジャーの始球式くらい楽勝、のはずだった。しかし力みがあったのだろうか、投げたボールは鋭くバウンドし、キャッチャーも思わずこれを避けた。
タンパベイ・レイズの始球式、ジェプセンの手からボールがうまく離れなかったようで、こぼれたボールはゆっくり転がり、始球式を映像に収めるべく設置されていたおそらくはとても高価なカメラの方へてんてんと向かっていった。