米バスケットボール界の伝説、デニス・ロッドマンの娘はサッカー界の新星

トリニティ・ロッドマン
父から娘へ受け継がれた才能
アメリカで最も高給取りの女子サッカー選手
両親はデニス・ロッドマンとミシェル・モイヤー
4歳でサッカーをはじめ10歳でクラブに加入
コロナ渦で大学リーグが中止
プロ転向を決心
デビュー戦でゴール
素晴らしい成績を収めたルーキーイヤー
「彼女のような選手はこれまで存在しなかった」
女子サッカー選手の道しるべに
ジュニア、そしてユース時代からすでに活躍
CONCACAF U-20選手権
アメリカ女子代表に初招集
代表戦における初ゴール
CONCACAF女子ゴールドカップ
FIFA女子ワールドカップ・オーストラリア&ニュージーランド2023
代表戦で2得点をあげ最年少記録を更新
ソーシャルネットワーク
大手ブランドからも注目
なぜサッカーなのか?
サッカーを選んだ理由
自らの道を切り拓く
トリニティ・ロッドマン

運動神経は遺伝することから、プロアスリートの子供たちが親と同じスポーツで成功することはめずらしくない。NBAを代表するバスケットボール選手デニス・ロッドマンの娘トリニティもその一人だ。しかし、彼女はバスケットボールのコートではなく、サッカーのフィールドで自分の道を切り開いている。

父から娘へ受け継がれた才能

トリニティはアメリカ女子プロサッカーリーグ(NWSL)のワシントン・スピリットに所属してフォワードとして活躍するほか、アメリカ代表メンバーとして国際大会にも出場している。フィジカルの強さと競争心、練習熱心でチームをつねに勝利に導こうとする精神を父親から強く受け継いでいるようだ。

アメリカで最も高給取りの女子サッカー選手

2023年2月、20歳となったトリニティはワシントン・スピリットと契約を更新し、4年で総額110万ドルのNWSLで最も年俸の高いサッカー選手となった。同じアメリカ代表のスター選手アレックス・モーガンやミーガン・ラピノーを上回る、年間28万1000ドルというリーグ史上最高額を受け取っている。

両親はデニス・ロッドマンとミシェル・モイヤー

トリニティは2002年5月20日、カリフォルニア州ニューポートビーチで生まれた。母親はデニス・ロッドマンの3人目の妻ミシェル・モイヤーで、2人は1999年にカリフォルニアのパブで出会い恋に落ちた。トリニティには兄のデニス・ロッドマン・ジュニアがおり、父の足跡をたどり大学バスケで活躍している。

4歳でサッカーをはじめ10歳でクラブに加入

トリニティは4歳でサッカーをはじめ、10歳の時に南カリフォルニア・ブルース・サッカー・クラブ(SoCal Blues)に加入した。彼女が在籍した5年間クラブは無敗を誇り、エリート・クラブ・ナショナル・リーグで4度の全国優勝を果たしている。

コロナ渦で大学リーグが中止

サッカー選手として成長し続けたいという思いから、トリニティはまずはUCLAブルーインズ、さらにワシントン州立大学クーガーズに加入した。しかし、コロナ渦で大学リーグの開催が中止となり、1試合もプレーすることができなかった。

プロ転向を決心

2021年、トリニティは大学卒業を待たずプロ入りすることを決意した。その結果、アメリカ女子サッカープロリーグ(NWSL)の新人ドラフトでワシントン・スピリットから全体2位で指名され、リーグ史上最年少でドラフトされたサッカー選手となった。

デビュー戦でゴール

ワシントン・スピリットでの公式デビューは4月10日、NWSLチャレンジカップ2021のノースカロライナ・クラージュ戦だった。トリニティは、選手交代でピッチに入り、わずか5分後に初ゴールを決めていた。

素晴らしい成績を収めたルーキーイヤー

最終的に22試合に出場し7得点を挙げ、ワシントン・スピリットでリーグタイトルを獲得したトリニティ。さらにシーズン終了時には3つの選手賞も獲得。NWSL2021の年間最優秀新人賞とベストイレブン、そしてアメリカサッカー連盟の女子最優秀選手だ。

「彼女のような選手はこれまで存在しなかった」

トリニティの当時のコーチ、クリス・ウォードはアメリカのスポーツ専用チャンネル「ESPN」でこう語っている:「トリニティは競い合うことに生きがいを感じる選手です。敵のプレッシャーや接近戦に負けない身体能力、そしてチームの勝利に貢献したいという熱意が素晴らしい。ゲームチェンジャーとなる、これまでにない選手です」

女子サッカー選手の道しるべに

さらにこう続けた:「トリニティはすぐにレベルを引き上げ、このリーグの未来への扉を開けてくれました」トリニティは100万ドルの契約にサインした後、「私は若い選手たちの道を拓き、ベテランの選手たちにはあるべき姿を示したいと思っています」と語っている。

ジュニア、そしてユース時代からすでに活躍

多くのサッカー評論家は、トリニティの目覚ましい活躍を前にしてもそほど驚きはしなかった。なぜならジュニア時代、そしてウルグアイで開催されたFIFA U-17女子ワールドカップですでに頭角を現していたからだ。165分の出場時間で得点こそなかったものの際立った才能を印象付け、アシストも記録した。

CONCACAF U-20選手権

2020年に開催された北中米カリブ海サッカー連盟が主催するCONCACAF U-20選手権でもトリニティは圧巻のパフォーマンスを披露した。ホンジュラスとの一戦で4ゴール、メキシコを4-1で下した決勝戦で2ゴール、合計9ゴールを挙げてアメリカの優勝に貢献している。

アメリカ女子代表に初招集

2022年1月、トリニティはアメリカ女子代表の合宿に初招集された。正式デビューは2月17日、毎年米国で開催される女子サッカーの国際試合、「シービリーブカップ2022」におけるチェコ戦だった。

代表戦における初ゴール

デビュー戦からわずか2ヵ月後に、トリニティは代表戦初ゴールを決めた。2022年4月、自身3度目の代表戦にあたるウズベキスタンとの親善試合で初ゴールを決めたほか、米代表は9-0という圧倒的な勝利を挙げた。

CONCACAF女子ゴールドカップ

2022年6月、CONCACAF女子ゴールドカップ2022に臨む代表チームに招集され、アメリカの優勝に大きく貢献したトリニティ。キャリア初となるトロフィーを得て、20歳の誕生日を迎える頃にはすでに代表チームの主力選手のひとりとしての地位を確立していた。

FIFA女子ワールドカップ・オーストラリア&ニュージーランド2023

トリニティのFIFA女子ワールドカップデビューは、グループステージのベトナム戦だった。しかし、大会の優勝候補とされていたアメリカは、ベスト16でスウェーデンに敗れてしまう。

代表戦で2得点をあげ最年少記録を更新

ワールドカップに向けた壮行試合、ウェールズとの親善試合で、トリニティは試合の後半にアレックス・モーガンに代わり投入され2得点を挙げた。これはアメリカ代表の最年少記録で、「プレーヤーズ・オブ・ザ・マッチ」にも選ばれている。

ソーシャルネットワーク

ソーシャルネットワークを積極的に活用するトリニティ。特にインスタグラム(@trinity_rodman)では27万人以上のフォロワーを抱え、プライベートに関する近況報告やサッカーにおける活躍ぶりを投稿している。

大手ブランドからも注目

親の七光りではなく、自身の活躍で知名度を上げたトリニティは、アディダスやデオドラントのブランド「Degree」などのキャンペーンに起用されるなど、大手スポーツブランドから高い注目を集めている。

なぜサッカーなのか?

バスケット界のスーパースターを父親にもつトリニティが、なぜサッカーの世界へ飛び込んだのだろう?ESPNのインタビューでこう語っている:「バスケットボールは得意なのですが、居心地が悪かったです......ドリブルは好きではないし、バスケットの中にうまくボールを収めることもできませんでした」

サッカーを選んだ理由

さらにこう続けた:「ただ楽しむだけのスポーツに納得できなくなったとき、自分がしたかったことはサッカーだと気づいたのです......そして、夢中になれるこのスポーツに全力で取り組みたいと思いました」

自らの道を切り拓く

トリニティはESPNとFIFAのWEBサイトでこう語っている:「父の偉業を超えようとしているわけではありません。ただ自分自身の物語を築きたいだけです。今のところ、順調にいっていると思います」偉大な父親の名を背負った若きトリニティは、女子サッカーの歴史を作りつつある。

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