パリ五輪の判定ミス問題:判定が正しければシモーネ・バイルズが金メダルを獲得していた?
2024年パリオリンピックで、体操女子米国代表のジョーダン・チャイルズ選手がゆか種目で手にした銅メダルを取り消された。波紋が広がるなか、体操界でメダルをめぐる新たな騒動が巻き起こっている。
不正確な採点によって不利な影響を受けた米国の体操選手はチャイルズだけではないかもしれない。正確な採点が行われていた場合、シモーネ・バイルズは金メダルを獲得していた可能性があったという。
ジョーダン・チャイルズは銅メダル取り消しの無効を求めて提訴。その根拠として提出された証拠映像を検証したところ、体操女子ゆか決勝でシモーネ・バイルズの得点を判定する際にも審判がミスを犯していた可能性があることがわかった。
米紙『USAトゥデイ』によると、チャイルズが提出した証拠映像からバイルズもスコアに関する抗議を申し立てていたことがわかるが、それは結局処理されなかったという。
バイルズはこの種目で銀メダルを獲得したが、金メダルを獲得したブラジルのレベッカ・アンドラーデとの差は、わずか0.033ポイントだった。
この事実が明らかになってから、バイルズは自身のSNSに「正直にいえば、今回のことは私にとっては大したことではありません。レベッカの方が良い演技をしたのは事実です」と投稿。また、「抗議が受理されなかったのは残念だけど、結果には不服はありません」と語った。
証拠映像では、バイルズが米国体操代表のコーチであるセシル・ランディに「ローランは異議を申し立てているの?」と尋ねる声が聞こえる。このとき、ランディの夫でアシスタントコーチのローラン・ランディを通して得点の再計算を審査員に求めていたという。
その後、映像にはフランス出身であるローランとセシルがフランス語で話しているのが映し出され、セシルはバイルズの方を向いて「得点は再計算されなかったみたい」と伝え、悔しそうな表情を浮かべていた。
シモーネ・バイルズのオリンピックでの活躍はNetflixで配信予定であり、今回の騒動でその映像が注目されることに。この作品は今年中に公開される予定で、その際に再びこの出来事が話題になるかもしれない。
米メディア「VOX」は2021年に、バイルズが非常に優れた技を披露しているのに、十分に加点されていなかったと主張する記事を書いている。同記事によると、「非常に高難易度な技を披露したが、2つの技で十分に加点されなかった」という。
2020年東京オリンピックでは、精神的な問題から棄権し、批判も浴びたシモーネ・バイルズ。2024年パリオリンピックでは、ゆか種目では惜しくも銀メダルとなったものの、個人総合など2つの金メダルを獲得。復活した姿を見せた。オリンピックの公式サイトによると、これまでオリンピックで7個の金メダルを獲得しており、偉大なアスリートとして歴史に名を刻んでいる。