米バスケ界の暴れん坊たち:テクニカルファウル最多保持者とは
テクニカルファウルとは、NBAの細かい試合規則に抵触するなにかしらの事態が発生したことを意味する。たとえば、選手がレフェリーに抗議するにあたりいささか熱が入りすぎたり、しつこく絡みすぎたりした場合にこの反則をとられることが多い。選手と選手が言い争いになったり手を出し合ったりするケースにも適用される。テクニカルファウルを最も多くもらった選手たちを振り返ってみよう。
テクニカルファウル歴代ランキングの上位に入るためには、選手は長い現役生活を送り、かつ高いレベルのパフォーマンスを比較的長く維持することが必要となってくる。マローンはその二つの条件を満たし、NBA史上最多の332テクニカルファウルを記録している。口達者なほうではなかったから、そのぶん肘がよく飛んだ。アイザイア・トーマスもデビッド・ロビンソンもマローンの肘鉄を顔面にくらった。
現役引退後にもその発言でたびたび論争を巻き起こしているバークレーは、歯に衣着せるタイプではない。おしゃべりな傾向は現役時代に積み上げたテクニカルファウルにおいても判然としており、コートにて声の届くかぎり誰彼構わず喧嘩をふっかけた。最多記録保持者のマローンにわずか3つ及ばない329のテクニカルファウルを挙げている。
一定の年齢以上のファンならウォーレスの順位がこの程度であることに驚くかもしれない。なんといっても、彼は1シーズンにコールされたテクニカルファウル数におけるリーグ最多記録保持者なのだから(41回)。ともあれ、プロバスケ史においてウォーレスほど執拗にレフェリーを追及した者はいない。本人としてはどうして反則なのか分からず、あくまでレフェリーの側に問題があるといったスタンスだった。
相手をたちまちイラつかせる絶妙な発言をすることでペイトンの右に出る選手はいない。守備側でファウルをとられることが多く、体で相手を威嚇しながらよからぬことを口走りテクニカルファウルをもらうのが典型だった。ポジションはポイントガード、キャリアの大部分をシアトル・スーパーソニックスで過ごした。
キャリア後半の奔放な言動をはじめ、人の神経をさかなでせずにはいられないその性向は他の追随をゆるさないものがある。ロッドマンはNBA史を彩るほかのトラブルメイカーとは異なるアプローチを採用、本人にとってはユーモアあふれる一言を繰り出し相手選手を挑発した。ちょっかいを出された相手は手ずから彼を黙らせることになり、小競り合いに発展することもしばしばだった。
ノヴィツキーの名前がここで出てくるのは驚きかもしれない。いつも語り口穏やかな彼が自制心を失ったり相手選手と小突き合ったりした場面を思い起こすことは困難だからだ。ランキング入りはひとえに長命なキャリアが理由である。彼はいったい、どんなことを口にしてレフェリーの逆鱗に触れたのだろうか。
1990年代のNBAは今とだいぶ事情が異なる。当時、チームも選手も物怖じせずにことを構え、実力行使に出たものだった。メイソンはこの時代を代表する選手である。その取り扱いに相手チームはひどく手こずった。
ウェストブルックは今も現役のNBA選手だから、引退までにこの順位をさらに上げる可能性が高い。彼のプレーには常にむこうみずで開き直ったところがあり、それがプラスにもマイナスにも働く。怖いもの知らずのふるまいがときに行きすぎて痛い目に遭うこともある。
ペイントエリアで活躍する選手たちは、激しいコンタクトをつぶさに取り合う傾向がある。とりわけ若い頃のドワイト・ハワードはNBA史上まれにみる運動能力とパワーを備えており、対峙する相手DFとしばしば派手ないさかいを起こした。
ガーネットがコート内で口にした言葉の大部分は、おそらく家族連れに聞かせるような内容ではなかったはずだ。もっとも、それだけ「勝ち」にこだわっていたということでもある。味方からすると頼もしいかぎりだったが、相手からは忌み嫌われ、おまけに恐怖すら覚えられた。